山川方夫は精緻である。 言葉を選び、構文を磨き、美しい物語を織り上げる。 自伝的な作品のなんと誠意にあふれていることか。 池澤夏樹
▼空襲の激しくなった昭和19年、14歳の時に日本画家の父が急逝し、終戦後の混乱の時代に青少年期を過ごした山川方夫。芥川賞と直木賞のふたつの賞の候補になりながら、受賞にいたらぬまま34歳で交通事故のため急逝した山川方夫。没後50年にして、山川方夫のショートショートと純文学作品は新生する。

北海道新聞 2016年1月24日(14面)にて書評が掲載されました。評者は、吉田伸子(ライター)氏です。
毎日新聞 2015年12月13日読書面(9面)に書評が掲載されました。評者は、湯川豊氏です。
読売新聞 2015年12月8日 「記者ノート」(待田晋哉氏)にて紹介されました。

T 夏の葬列 夏の葬列 あるドライブ 三つの声 未来の中での過去 蛇の殻 頭の大きな学生 クレヴァ・ハンスの錯誤 遅れて坐った椅子
U 展望台のある島 ある週末 煙突 最初の秋 展望台のある島 Kの話
解説と年譜 坂上弘
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 山川 方夫(やまかわ まさお) 1930年、日本画家山川秀峰の長男として東京に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科仏文専攻中退。1954年第3次「三田文学」創刊。創作活動も始め、芥川賞候補4回、直木賞候補1回となるが、受賞に至らず。1965年2月20日交通事故のため逝去。享年34。主な著書に『海岸公園』『親しい友人たち』『愛のごとく』『山川方夫全集』などがある。
【編者】 坂上 弘(さかがみ ひろし) 1936年、東京生れ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。第3次「三田文学」で山川方夫より、小説を書くよう勧められ、19歳の時「息子と恋人」が芥川賞候補になる。『優しい碇泊地』で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞、『田園風景』で野間文芸賞、『台所』で川端康成文学賞を受賞。
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