ピアノの抒情詩人とヴァルスの邂逅。 ▼「ヴァルス」(valse)とは「ワルツ」のフランス語読みである。舞踏曲「ヴァルス」は19世紀にはロマン主義の流れにおいて芸術的舞曲としても多数作曲された。この「ヴァルス」の発展と稀代の作曲家フレデリック・ショパンの創作時期は軌を一にしている。近代ヨーロッパ文明の産物である「ヴァルス」はショパンの才能によって開花した。 ▼本書では、「ヴァルス」の特性や歴史的変遷について考察しながら、ショパンの「ヴァルス」について精緻な分析を試みる。芸術史・舞踏史の観点から接近することで、ショパンをヨーロッパの普遍的作曲家として捉え直す。
本書は、日本図書館協会選定図書です。
第一部 ヴァルスの諸相 第一章 フランスの詩とヴァルス 第二章 舞踏としてのヴァルス 第三章 舞曲としてのヴァルス 第四章 音楽劇におけるヴァルス 第五章 演奏会用ヴァルス
第二部 ショパンとヴァルス 第六章 民族性と普遍性 第七章 喜悦と悲哀 第八章 ショパンとサロン 第九章 ショパンのヴァルス 第十章 『ヴァルス』嬰ハ短調
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平林正司(ひらばやし まさじ) 慶應義塾大学法学部教授。専門は十九世紀バレエ史、近代ヨーロッパ芸術史。 著書に、『「胡桃割り人形」論―至上のバレエ―』(三嶺書房、1998年)、『十九世紀フランス・バレエの台本―パリ・オペラ座―』(慶應義塾大学出版会、2000年)がある。
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