▼独自の小説世界によって、今もなお新しい読者を魅了し続けているスタンダール。19世紀フランスに生きた作家は、なぜ不朽の傑作を生み出すことができたのか。日記や備忘、書簡など一次資料の綿密な考証を通じて『赤と黒』『パルムの僧院』の成立過程に斬新な視角をひらき、〈民衆〉〈手紙〉〈まなざし〉にテーマ構築の独創性を探ることで、同時代への批判的感性と自己の探求【エゴチスム】とが分かちがたく結びついた、文学的戦略と創造の美学を解明する。
本書は、日本図書館協会選定図書です。

序 第T章 小説創造の戦略 『アルマンス』における主人公像の造型 『赤と黒』の創作過程―着想と制作時期の再検証 『リュシアン・ルーヴェン』における〈衣装〉 『パルムの僧院』冒頭部の制作
第U章 民衆・手紙・まなざし スタンダールにおける〈民衆〉 ジュリアン・ソレルの〈手紙〉 『ラミエル』における社会諷刺 スタンダールにおける〈まなざし〉 『チェンチ一族』における〈まなざし〉
第V章 創作と自己認識 『エゴチスムの回想』における自己認識 『 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
木信宏(たかき のぶひろ) 九州大学大学院人文科学研究院准教授。博士(文学)。 1963年熊本県生まれ。九州大学大学院文学研究科博士後期課程中退。九州大学文学部助手、九州産業大学芸術学部専任講師を経て、現職。
|