中世イスラーム国法学の祖、アル = マーワルディー(974年-1058年)の古典的名著をアラビア語原典より邦訳。 マーワルディーは、本書において、スンナ派神学のイマーム(カリフ)制というシャリーアに適う統治制度を、統治契約の合法的な締結形式として法学的に定式化した。また、そのイマームを頂点とする統治システム(国家)の正統性の源としてのシャリーアの施行の重要性を説き、統治に関わるシャリーアの施行の中核は、理念そのものよりも実際の運用と執行にあると唱えた。マーワルディーは、本書によって、預言者ムハンマドの正統性を根拠とする法理論を樹立し、イスラーム法学の礎を築いた。
みすず 2007年1-2月号「2006年読書アンケート」(26頁)で紹介されました。 東京新聞 2006年12月24日朝刊読書欄(11面)「私の3冊」で紹介されました。
序 第1章 イマーム制の締約 第2章 ワズィールの任命 第3章 地方のアミールの任命 第4章 ジハード(聖戦)の司令官の任命 第5章 公共の安寧のための戦争の司令官 第6章 司法 第7章 不正の監視 第8章 高貴な血統の人たちにたいするナキーブ制度 第9章 礼拝のイマームの任務 第10章 巡礼の引率 第11章 サダカの管理 第12章 ファイとガニーマの分配 第13章 ジズヤとハラージュの課税 第14章 地域によって異なる規則 第15章 不毛地の開墾と水の開掘 ……
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[著者] アル=マーワルディー(974-1058) シャーフィイー法学派の法学者として、各地のカーディー(法官)を勤めた後、バグダードでアッバース朝カリフのザーヒルに仕えた。本書『統治の諸規則』によりスンナ派イスラームの代表的な政治思想家として評価される。
[訳者] 湯川 武 1941年生まれ。慶應義塾大学教授。中東イスラーム史専攻。主な著作 (編著)『イスラーム国家の理念と現実』(栄光教育文化研究所、1995)、(共編著)『世界史事典』(角川書店、2002)(監訳・A.ホーラーニー著)『アラブの人々の歴史』(第三書館、2003)、など。
[協力] 社団法人日本イスラム協会 日本イスラム協会 Association for Islamic Studies in Japan は1963年6月にイスラーム研究とその調査及び発表、イスラーム諸国との文化交流を目的に、松田壽男、前嶋信次、嶋田襄平氏などにより再建され、1967年には外務省から社団法人としての認可を受けた。機関誌『イスラム世界』を通じてイスラーム研究の成果を発表するとともに、イスラーム世界に関する研究会、講演会を随時開催している。
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