大著『神学大全』で知られる盛期スコラ学の代表的神学者トマス・アクィナスの政治思想論文"De Regno Ad Regem Cypri"の全訳。あるべき君主像、統治の形態などを、伝統的な「君主の鑑」の文芸ジャンルの体裁に則って論じる。クセノフォン『キュロスの教育』からマキアヴェッリ『君主論』にいたる帝王学の系譜のなかでも最も著名なものの一つで、中世政治思想の特質のみならず、トマス思想全般の理解にも不可欠の書。


毎日新聞 2006年1月15日朝刊「書評」欄で紹介されました。 読売新聞 2005年11月27日朝刊で紹介されました。

凡例 献辞
第一巻 第一章 生活を共にする人びとは誰か王によって慎重に統治されるのが必要であること。
第二章 生活を共にする人びとにとっては、一人の人間によって統治されるほうが、複数の人間によって統治されるよりも、いっそう有益であること。 第三章 一人の支配が正しいがゆえに、最善であるように、その反対は最悪であること、それは多くの理由および論拠によって証明される。
第四章 ローマ人の間で支配権はいかに変遷したか、またかれらの間ではむ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
柴田平三郎(しばた・へいざぶろう) 1946年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。獨協大学法学部教授。西欧政治思想史専攻。 主要業績:[著作]『アウグスティヌスの政治思想』(未来社、1985年)、『モダーンとポスト・モダーン』(共著、木鐸社、1992年)、『中世の春――ソールズベリのジョンの思想世界』(慶應義塾大学出版会、2002年)。[翻訳]J.B.モラル『中世政治思想』(未来社、1975年)、G.H.セイバイン『デモクラシーの二つの伝統』(未来社、1977年)、A.P.ダントレーヴ『政治思想への中世の貢献』(共訳、未来社、1979年)、R.M.ハッチンス『聖トマス・アクィナスと世界国家』(未来社、1984年)、M.I.フィンレイ『民主主義――古代と現代』(刀水書房、1991年)、H.リーベシュッツ『ソールズベリのジョン――中世人文主義の世界』(平凡社、1994年)。
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