映画のなかの上海
表象としての都市・女性・プロパガンダ
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実際の都市としての性格より、「モダン都市」、「魔都」の強烈なイメージがつきまとう〈上海〉。この〈イメージ〉はどのようにして形成されたものなのだろうか。 中国で生まれ育った著者が、日本で学んだ〈表象文化論〉の発想をもちいて独創的な考察を展開。 @西洋対東洋・ハリウッドと中国映画の対照性、A上海映画における女性像の変遷、Bハリウッドの「上海イメージ」の反復と差異(化)の三部にわけ、ハリウッド・中国・日本映画の複数の視点から、上海イメージの歴史・変遷を緻密に分析している。 また、それぞれの映画分析をとおして、西洋・東洋、人種、ジェンダー、プロパガンダ、都市・農村、ポストコロニアリズムなども包括的に論じ、多彩な上海の〈イメージ〉を浮かび上がらせている。 映画の場面カットを一〇〇点近く掲載。

日本文化交流 2005年1月1日号「本・評と紹介(23頁)」で紹介されました。

序 なぜ上海か 第1部 ハリウッドの上海 上海のハリウッド 第1章 ハリウッドの上海―ハリウッド映画の上海イメージ 第2章 上海のハリウッド ―上海映画におけるハリウッドの影響と見返す視線 第2部 女の都・上海―上海映画における女性像の変遷 第1章 二〇、三〇年代の上海映画における三つの女性像 第2章 女性共産党員―文革期(一九六六― 一九七六) ―中国プロパガンダ演劇とその映画化
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
一九六七年中国山東省生まれ。山東省映画評論協会会員、済南市青年映画評論協会副会長として映画評論活動を行う。映画学の方法論の習得を目的として一九九四年に来日。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学(表象文化論)博士課程修了。現在は、早稲田大学演劇博物館COEプログラムに加わり研究活動を続けている。 主要論文として、「上海の映画表象」(『表象のディスクール・メディア』、東京大学出版会、二〇〇〇年)、「メロドラマの作法―上海時代の卜万蒼」(『NFCニューズレター』第36号、東京近代美術館フィルムセンター、二〇〇一年)、「集団ヒステリーの身体表象―文革期中国のプロパガンダ演劇とその映画化」(『表象文化論研究2』、東京大学表象文化論研究室、二〇〇三年)ほか。
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