アジアの大国・中国が経済成長を遂げれば、「空」から越境汚染による酸性雨が、いずれ日本の「森」を衰退させるのではないか・・・。1980年代半ばに現在の中国の経済発展と環境問題を予見し、環境保全活動を始めた日本人研究者たちによる、活動の記録。日中協力のもと、環境保全計画「プログラム2025」の一環として行われた、東アジア大気測定網建設、四川省成都市都市児童の環境絵画コンクール実施などの多彩な活動を紹介し、今後の展望を示すとともに、現代の消費経済や人間の心のありかたにも言及する。


プロローグ I 中国環境四〇年戦略−橋本 芳一
1 プログラム2025―環境SDIの試み― 第一期 /第二期 /第三期 /第四期 2 環境と文化の問題 大陸文化をとり入れた日本 /日本の文化を守ろう アメリカ文化では環境問題は乗り切れない /中国を正視しよう 3 越境大気汚染 大気汚染はやってくるか /中国は経済発展をするだろうか /汚染ガスの下流にある日本 4 酸性雨の影響 流れてくる汚染ガス /なぜ木 ……
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橋本芳一(はしもと よしかず) 1927年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。工学博士。現在、慶應義塾大学名誉教授。主要著作として『放射化分析法・PIXE分析法』(共立出版、1986年)、『中国環境研究――四川省成都における事例研究』(共著、勁草書房、1995年)、『中国の環境問題――研究と実践の日中関係』(共著、慶應義塾大学出版会、2000年)、『「豆炭」実験と中国の環境問題』(共著、慶應義塾大学出版会、2001年)。
関根嘉香(せきね よしか) 1966年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程修了。理学博士。現在、東海大学理学部化学科助教授。主要著作として『中国環境研究――四川省成都における事例研究』(共著、勁草書房、1995年)、『中国の環境問題――研究と実践の日中関係』(共著、慶應義塾大学出版会、2000年)、『「豆炭」実験と中国の環境問題』(共著、慶應義塾大学出版会、2001年)。 『Chemistry』(東海大学理学部、2001)。
王雪萍(おう せつへい) 1976年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程在籍。現在、慶應義塾大学産業研究所特別研究員。主要著作として『注目の巨大市場(省別・地域別)――中国のすべてがわかる本』(共著、PHP研究所、2002年)、「日本と中国の大学生の環境意識の比較研究――2002年に両国8大学で共同実施したアンケート調査を中心に」(『公益学研究』Vol.3 No.2、2003年)。
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