文・武にわたる国力増強で独立主権国家・日本の確立をめざした福澤諭吉の外交政策論。維新から十余年、一国の独立維持と経済発展を図るための内政と外交のプログラムを綴った渾身の力作『時事小言』。西洋列強に蝕まれつつある清国、属領意識をぬぐえない朝鮮など、東アジア諸国との葛藤を脱するまでの曲折と、安政条約の改正に関する時事論を収録する。
第T部 時事小言 時事小言 第U部 東アジアの外交政策 朝鮮の交際を論ず 東洋の政略果して如何せん 牛場卓造君朝鮮に行く 我輩の所望空しからざるを知る 脱 亜 論 朝鮮人民のためにその国の滅亡を賀す 朝鮮の滅亡はその国の大勢に於て免るべからず 第V部 外交論・条約改正論 外交の思想養成せざるべからず 外 交 論 通俗外交論 条約改正始末 法典と条約 非内地雑居論に就て
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岩谷十郎(いわたに じゅうろう) 1961年生まれ。1984年慶應義塾大学法学部法律学科卒業、1989年同大学院法学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学法学部教授。専攻は近代日本法史、法文化論。 主な著作に『福澤諭吉の法思想』(共編著、慶應義塾大学出版会、2002)、『法社会史』(共著、山川出版社、2001)、『法と正義のイコノロジー』(共編著、慶應義塾大学出版会、1997)など。
西川俊作(にしかわ しゅんさく) 1932年生まれ。1955年慶應義塾大学経済学部卒業、1961年同大学院経済学研究科博士課程修了、1972年同大学商学部教授。現在、慶應義塾大学名誉教授、経済学博士。『福澤諭吉書簡集』(全9巻、岩波書店、2001〜2003)編集委員。 主な著作に『福澤諭吉の横顔』(慶應義塾大学出版会、1998)、『経済学〔第4版〕』(東洋経済新報社、1994)、『日本経済の成長史』(東洋経済新報社、1985)など。
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