1605年イギリスで、圧制下にあったカトリック教徒が、国王ともども国会議事堂を爆破しようとしたとされるのが、「火薬陰謀事件」です。イギリスでは今日にいたるまで、政治と宗教の問題として検証され続けている歴史上の大事件です。 本書は、この事件を、宗教とテロリズム(当時はまだなかった言葉)との関係という角度から新たに客観的に綴った歴史読物です。 弾圧されているマイノリティにとって、テロに道徳的基盤は見出せるのか?という今日的視点で事件を読み解きます。 著者は本国英国では人気のある歴史小説家。『スコットランド女王メアリ』等、邦訳もあります。

〈目 次〉
口絵 系図・地図 口絵図版一覧
著者覚書き
プロローグ 恵み深い治世の始まり
第一部 機が熟すまえに T だれの頭に王冠を U 誠実なパピスト V 意見の相違
第二部 聖ジョージの馬 W 王とその子供たち X スペインの慈悲 Y ファエトンの如きケイツビィ
第三部 火が燃え猛り狂う道 Z 荒療治 [ 有害 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
<著者紹介> アントニア・フレイザー(Antonia Fraser) 1932年イギリス生まれ。オックスフォード大学(レイディ・マーガレット・ホール)卒。歴史文学者。主な著書に、Cromwell: Our Chief of Men, 1973、Charles U, 1979、Marie Antoinette, 2001、邦訳に『スコットランド女王メアリ』(中公文庫、1995年)、『ヘンリー八世の六人の妃』(創元社、1999年)など。
<訳者紹介> 加藤弘和(かとう ひろかず) 1934年東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了(英文学専攻)。慶應義塾大学教授を経て、名誉教授。現在、東北公益文科大学教授。主な翻訳書に、バトラー『《通夜》のあとに』(共訳、芸立出版、1983年)、ガードナー『想像力の擁護』(共訳、みすず書房、1985年)、エルマン『リフィー河畔のユリシーズ』(共訳、国文社、1985年)、エリクソン『アン・ブリンの生涯』(芸立出版、1990年)、アレグザンダー『マルク・シャガール』(芸立出版、1993年)など。
|