No.1244(2020年5月号)
特集
No.1244(2020年5月号)
特集
三田評論
2020年5月号表紙
古来5月は「恋の月」。フランス最古の恋愛詩に、12世紀吟遊詩人ジャウフレ・リュデルの「5月に日が長くなるとき」がある。まだ会ってもいない貴婦人に恋い焦がれる十字軍戦士の煩悶。脚韻の「遠い」という語「lohn」(ローン)がしつこく反復され、何とも物憂い気分を醸し出す。キャンパス閉鎖を背景に編集された本五月号は、特集「新・読書論」を組み、アナログからデジタルまで、「古典」を中心にいつにない多様な世界を現出させた。リュデルの詩をはじめ、古典作品は「遠い」過去に連なる文学である。翻って今回の災害は、私たちの空間感覚を一挙に地球規模にまで拡大し、人同士の間隔を広げ、「テレワーク」(「テレ」は「遠距離」を意味するギリシア語系の接頭語)や「遠隔授業」を余儀なくさせた。「lohn」は刻々鳴り響いている。時間の懸隔にせよ、空間の距離にせよ、本号の取り組みは、文化の新しい形をめぐる貴重な提言になりそうだ。
鷲見洋一
「ステイホーム」を強いられ、不自由な日々が続いています。このような期間、じっくりと読書に取り組むのも一案です。特に「古典」という普段はなかなか触れにくいものに接してみるよい機会かもしれません。ITが発達し、AI時代に入るとも言われる今日、読書の形はどのように変わる/変わらないのか。様々な形で「読書」を論じてみた特集です。
櫻井 翔さん
タレント・塾員
インタビュアー:石川俊一郎(慶應義塾名誉教諭)
幼稚舎から義塾に学び、普通部時代より芸能活動をおこなってきた嵐の櫻井翔さん。15年近く「news zero」のキャスターも務めるなど、活躍の場を多方面に広げてきました。慶應義塾でつちかった「独立自尊」の精神がどのように生かされてきたのか。嵐の活動休止が予定されている本年、その20年の軌跡を語っていただきました。
緑深まる5月。本来なら慶應のキャンパスの緑を眺めるにももってこいの季節ですが、残念ながら閉鎖中のキャンパスではそれも適いません。そのような時期だからこそ、三田、そして日吉の植栽について、樹木医の方も交えて語ってみました。慶應の歴史は三田の大イチョウや日吉のイチョウ並木など、その植栽にも深く刻まれています。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。