生誕100年「井筒俊彦全集」東洋と西洋の叡知を極めた世界的碩学の全貌がついに明かされる。(慶應義塾大学出版会)
   
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刊行にあたって 井筒俊彦の生涯 本全集の特色 推薦のことば 全巻目次 配本予定 お問い合わせ
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刊行にあたって「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
     
 2013年は井筒俊彦の歿後20年にあたり、2014年には生誕100年を迎えます。この節目の年に、井筒俊彦が日本語で執筆し刊行したすべての著作を、執筆・発表年順に全12巻・別巻で刊行します。
     
 30を超える言語を自在に逍遥した井筒俊彦は、その天才的な言語能力を縦横無尽に駆使して、ギリシア哲学、イスラーム哲学、中世ユダヤ哲学、インド哲学、老荘思想、仏教、禅までをも含めた人類の叡知を時空を超えた有機的統一体として読み解き、東洋哲学と西洋哲学の「対話」を目指しました。  
鎌倉の書斎にて「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
鎌倉の書斎にて
   
 本全集は、その井筒哲学の全体像を明かし、思索の原点から構築への道程を辿るものです。井筒俊彦の言語哲学思想は、21世紀に生きるわれわれにとって重要な視座であり、広く共有されることを願うものです。  
2013年6月    
     
     
編集顧問
鈴木孝夫 鳥居泰彦 松原秀一    
 
     
編集委員
岩見 隆 鎌田 繁 坂上 弘 澤井義次 野元 晋
 
     
編集担当
木下雄介 若松英輔      
 
 
(50音順)
 
     
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井筒俊彦の生涯「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
     
1914年〜   1967年〜
 

 1914年5月4日、東京市四谷区に生まれる。

 西脇順三郎のシュルレアリスム詩論に触発された井筒俊彦は、慶應義塾大学で西脇に師事し言語学者として出発、「言語学概論」をはじめとするその新鮮な講義は、大教室から人が溢れるほど人気を博した。その他、「ギリシア神秘思想史」、「ロシア文学」などの講義を行なう。

 

 1941年、処女著作『アラビア思想史』、49年、『神秘哲学』など、初期代表著作を発表。

 

 

 

1956年〜

 1956年に発表した英文著作『Language and Magic』は、
ロシア・フォルマリストのローマン・ヤコブソンの目にとまり、彼の推薦を得てロックフェラー財団フェローとして、レバノン、エジプト、シリア、ドイツ、パリなど中近東・欧米での研究生活に入る(1959-61年)。

 

 これを機に、日本から世界へと活躍の場を広げ、マギル大学やイラン王立哲学アカデミーにおいてイスラーム学研究や執筆活動に従事した。1961年マギル大学客員教授、69年同大学イスラーム学研究所テヘラン支部教授、75年イラン王立哲学アカデミー教授。イスラーム思想や東洋哲学に関する英文著作・翻訳を多数刊行する。

 

 1967年、20世紀の心理学、宗教学の世界を代表するカール・グスタフ・ユングやミルチャ・エリアーデらの参加する「エラノス会議」(1933年スイス・アスコナで創始)に招聘された。人間の精神性を探求することを理念とした「エラノス会議」は、毎年夏、100人ほどの聴衆を前に、十人前後の宗教学者、哲学者、科学者、芸術家らが、それぞれの専門領域における新しい考えを発表するという学際的な精神運動で、井筒は鈴木大拙に次ぐ二人目の日本人正式レクチャーとして、以後15年にわたりほぼ毎日、老荘思想や禅、儒教など東洋哲学についての講演を行った。
 1979年、イラン革命激化のためテヘランより日本に帰国。長年の研究成果による独自の哲学を、日本語で著述することを決意、『意識と本質』(1980-82年)、『意味の深みへ』(1985年)、『超越のことば』(1991年)、絶筆となった『意識の形而上学』(1993年)などの著作を発表した。
 1982年日本学士院会員。同年、毎日出版文化賞、朝日賞受賞。1993年鎌倉の自宅にて逝去(78歳)。鎌倉市円覚寺に眠る。

 

エラノス会議の円卓(table rounde)「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
エラノス会議の円卓(table rounde)
世界中から集まった第一級の学者たちが、
マッジョーレ湖ほとりの円卓を囲んで語り合った。

 

 
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本全集の特色「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
     
存在と言語をめぐる広大無辺な思想コスモス
収録

1. 

井筒俊彦の英文著作・翻訳をのぞくすべての日本語著作を、執筆・発表年順に収録した初の本格的全集。
2.  『世界文学辞典』収録の40以上に及ぶ執筆項目、晩年の珠玉のエッセイ「風景」、「いま、なぜ、西田哲学か」など、単行本未収録の貴重な著作も網羅。
3.  第12巻に『アラビア語入門』や諸言語に関する論文を収録(横組み)。
4.  未発表作品、著作目録、年譜、総索引を別巻に収録。
5.  著者が手がけたすべての序文、後書、解説等も収録。
底本 6. 

原則として著者生前の最終版を底本に採用。さらに複数の版本を照合して校訂を行ない、精確さを極めた。

解題 7. 

各著作の基本的な書誌情報、改訂内容、執筆背景等を詳細に解説。(木下雄介執筆)

年譜 8.  世界での研究活動を含めた井筒俊彦の歩みを別巻に収録。(若松英輔執筆)
附録 9.  第9巻に講演「コスモスとアンティコスモス――東洋哲学の立場から」(天理大学主催「天理国際シンポジウム'86」)の音声CDを付ける。
各巻月報 10. 

井筒俊彦の作品・人柄を語る国内外の多彩な執筆陣。

     
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推薦のことば「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
     
 梅原猛 哲学者    
   

 日本の哲学者がほとんど研究しないイスラーム哲学を掘り下げ、それによって西田幾多郎の行なった東西哲学の統合を試みた井筒俊彦氏の思想的冒険は、驚嘆に値する。氏の著作の中に、戦後の日本の最も深い哲学的思弁があると言えよう。

 

 
     
 山折哲雄 宗教学者    
   

 古典的な哲学思想を、たんなる解釈や註釈の域から解き放ってより高次の比較と共存のレベルに転轍するためには、言語の壁をぶち破らなければならない。そうして風穴をあけ、新しい生命のエネルギーを装塡しなければならない。その大仕事をやりとげた二人の人間が、この日本列島にはいたと思う。一人が先達としての鈴木大拙、二人目がこんど生誕100年を記念して全集が出る井筒俊彦である。だがその二人に後続する人間は、この国にはまだ現われてはいない。なぜ現われてはいないのか、その秘密を解き明かす鍵が、井筒さんの文章の各所に豊かにちりばめられているにちがいない。井筒さんの孤独な仕事場である書斎は、そのままの姿で、世界各地で行なわれた国際会議の場に、地つづきでつながっていたと思う。

 ラカン派の精神分析家を東京に招いて開かれたシンポジウムの席上、ラカンは東洋の羅漢に通じますと、笑みをたたえていっておられた井筒さんの童顔が忘れられないのである。

 

 
     
 中村廣治郎 イスラーム学者    
   

 知の巨人・井筒俊彦の軌跡は広くかつ深い。言語哲学、ロシア人論、古典ギリシアの神秘哲学からコーラン、イスラーム神学・哲学の研究をへてイスラーム神秘主義、さらにそれと通底する仏教、インド哲学、老荘思想、ユダヤ教にいたる神秘思想を広く東洋哲学として捉え、比較哲学的にその深い意識の多層的な共時的構造とそこでの言語の意味分節作用の解明に及ぶ。早くからその成果を広く海外で紹介し、晩年には故国日本で精力的に執筆活動を続け、グローバル化の中で日本の読者に東洋人としての実存的自覚を促してきた。

 いまここに、日本語に限定されたものではあるが、その学問的業績とそれを背後で支えた思想的営為の軌跡、井筒俊彦の全テクストが年代順に提供されている。この全集には随所に、解説、序、後記、エッセイなどの形で、著者自身の心の内面を吐露した文章がはめ込まれていて、読者の読みを助けてくれるであろう。一読を強くお薦めしたい。

 

 
     
 吉増剛造 詩人    
 

吉増剛造 詩人 推薦のことば「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)

     
 安藤礼二 文芸批評家    
   

 井筒俊彦は20世紀の日本が生み落とすことができた最大かつ最高の思想家である。思索の対象としたジャンルと地域の多様性においても、その理解の深みにおいても、他の追随を許さない。柳田國男の民俗学と折口信夫の古代学さらには西脇順三郎の詩学を一つに総合し、西田幾多郎の哲学と鈴木大拙の宗教学に橋渡しした。 

 『コーラン』の読解によって宗教の起源を砂漠のシャーマニズムに探り、『神秘哲学』の構築によって哲学の起源を舞踏神ディオニュソスの憑依に探った。そしてユーラシア大陸の極西に生まれた神秘主義思想と、ユーラシア大陸の極東にまで達した神秘主義思想を一つに結び合わせた。東洋という視座から日本、アジア、世界を統一的に論じる道を拓いた。そのとき、もはや学問的な研究と詩的な表現の間の差異は消滅してしまう。グローバルであることとローカルであることの差異もまた。井筒俊彦を読み直すことから、次なる100年の思想と表現が始まる。

 

 
     
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目次「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
     
  緑色の文字=『著作集』未収録作品 / 青色の文字=新資料(単行本未収録)
     
第一巻

アラビア哲学 一九三五年 ― 一九四八年    【2013年9月刊行 】

   
 

ぴろそぴあはいこおん―philosophia haikon
松原秀治氏訳 ドーザ『言語地理学』に就いて
ハイドン編「回教の現在と将来」
ガブリエリ「現代アラビア文学の主流」
ザマフシャリーの倫理観?―『黄金の頸飾』の研究
ザマフシャリーの倫理観?―『黄金の頸飾』の研究
アラビア文化の性格―アラビア人の眼
『アラビア思想史』自序
イブヌ・マスカワイヒの社会的倫理説(『アラビア思想史』第二部第四章)
東印度に於ける回教法制(概説)
回教神秘主義哲学者 イブヌ・ル・アラビーの存在論
トルコ語
アラビア語
ヒンドスターニー語
タミル語
回教に於ける啓示と理性
マホメット
イスラム思想史
アラビア科学・技術
ロシアの内面的生活―十九世紀文学の精神史的展望
アラビヤ哲学―回教哲学

エラノス会議での講演風景(1979年夏)「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
エラノス会議での講演風景

(1979年夏)

 
   
  ――ああ僕も地平線が見える。だけど、僕は海が恋しいんだ。おおタラッタ。タラッタ。
(ぴろそぴあはいこおん)
 
     
     
     
第二巻

神秘哲学 一九四九年 ― 一九五一年    【2013年10月刊行 】

   
 

詩と宗教的実存―クロオデル論
神秘哲学(底本は一九七八年版)
『アラビア語入門』序文
神秘主義のエロス的形態―聖ベルナール論

   
  ――言詮不普及! それが神秘家の我々にたいする最後の言葉である。さればかかる体験の内実が哲学の対象となり得ぬことはいうまでもない。人間的ロゴスが思惟となり言語となって発動するところ、そこに甫めて哲学は成立するのであるから。
(『神秘哲学』)
 
     
     
     
第三巻

ロシア的人間 一九五一年 ― 一九五三年    【2014年1月刊行 】

   
 

露西亜文学
マホメット
トルストイに於ける意識の矛盾性について
ロシア的人間―近代ロシア文学史
クローデルの詩的存在論

 

 

   
  ――人類全体の宗教的救済ということを窮極の念願とするドストイェフスキーにとっては神秘家であれ癲癇患者であれ、「永遠の今」の直視を許されたごく少数の特殊な人達だけが救われても、そういう体験を得られない他の数千万の大衆がそのまま後に取り残されるなら、何にもならないのだ。
(『ロシア的人間』)
 
     
     
     
第四巻

イスラーム思想史 一九五四年 ― 一九七五年    【2014年3月刊行 】

   
 

『研究社世界文学辞典』執筆項目(アラビア文学・トルコ文学・ペルシア文学)
『愛のロゴスとパトス』訳者序
マホメットとコーラン  
『コーラン』はしがき  
『コーラン』解説  
記号活動としての言語 
コーランと千夜一夜物語 
レバノンから ベイルートにて 
カナダ・モントリオールにて
ボストンにて

『コーラン』改訳の序  
改訳『コーラン』後記  
哲学的意味論  
コーラン翻訳後日談  
東西文化の交流  
回教哲学所感―コルバン著「イスラーム哲学史」邦訳出版の機会に
  
禅における言語的意味の問題  
イスラーム思想史―神学・神秘主義・哲学

 

 

  ――ビザンチン的キリスト教の神学が、古代ギリシャ的哲学精神が、ゾロアスタ教的二元論が、シリアの秀徹した理性が、ヘレニズム的グノーシスと神秘主義が、目もあやに錯綜しつつ新しい思想を織り出して行く。しかも一方、沙漠精神を代表するコーランは一字一句が聖なる神の言葉として厳然としてそれらの思想潮流の前に立ちはだかる。
(『イスラーム思想史』)
 
     
     
     
第五巻

存在顕現の形而上学 一九七八年 ― 一九八〇年    【2014年5月刊行 】

 

 

『イスラーム古典叢書』監修者のことば
東西の哲学〔今道友信との対談〕 
モッラー・サドラー『存在認識の道―存在と本質について』解説  
『ルーミー語録』解説
『ロシア的人間』後書―新版発刊にさいして
『神秘哲学』新版前書き
対話と非対話―禅問答についての一考察
追憶
 
イスラーム世界とは何か〔岩村忍との対談〕
『イスラーム生誕』はしがき
イスラームとは何か
本質直観―イスラーム哲学断章
国際会議・学際会議
道程
慶應国際シンポジウム所感
武者修行
正師を求めて

イスラーム哲学の原像
師と朋友

 

 

慶應国際シンポジウム「地球社会への展望」にて(1979年12月)「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)

慶應国際シンポジウム
「地球社会への展望」にて
(1979年12月)

  ――「地球社会化」についての現代の我々の考えのなかに、「自己」をめぐる東洋哲学的視野を導入することは……我々自身の奥底にひそむ文化的ディアレクティークのエネルギーを活性化するための、きわめて有効で有意義な道なのではなかろうかと私は考えます。
(人間存在の現代的状況と東洋哲学)
 
     
     
     
第六巻

意識と本質 一九八〇年 ― 一九八一年    【2014年7月刊行 】

   
 

意識と本質
『意識と本質―精神的東洋を索めて』後記
神秘主義の根本構造―『イスラーム哲学の原点』をめぐって〔上田閑照・大沼忠弘との鼎談〕
イスラームの二つの顔―時局的関心の次元を超え、イスラームという宗教・文化の精神を把握するための方途を説く
転変を重ねて
第一級の国際人〔『鈴木大拙全集』への推薦文〕 
序詞〔『イスラーム神秘主義におけるペルソナの理念』〕
『みすず』読書アンケート(一九八〇年)への回答

イスラーム文明の現代的意義〔伊東俊太郎との対談〕

   
  ――神のコトバ――より正確には、神であるコトバ……
(意識と本質)
 
     
     
     
第七巻

イスラーム文化 一九八一年 ― 一九八三年    【2014年9月刊行 】

   
  イスラーム文化―その根底にあるもの
『みすず』読書アンケート(一九八一年)への回答
イラン・イスラムの黙示録
追憶―西脇順三郎に学ぶ
デリダ現象
幻影の人―池田彌三郎を憶う
行脚漂泊の師 ムーサー
「読む」と「書く」

コーランを読む
   
  ――コトバは透明なガラスではない。本来的に不透明なコトバが、自らの創造力でリアリティを描き出す、ただそれだけ。こういう形でのコトバの展開が、すなわち存在の自己形成なのである。
(「読む」と「書く」)
 
     
     
     
第八巻

意味の深みへ 一九八三年 ― 一九八五年    【2014年12月刊行 】

   
 

ユング心理学と東洋思想〔J・ヒルマン、河合隼雄との鼎談〕
西脇先生と言語学と私
デリダのなかの「ユダヤ人」
『みすず』読書アンケート(一九八三年)への回答
語学開眼
シーア派イスラーム
文化と言語アラヤ識
「書く」―デリダのエクリチュール論に因んで
単数・複数意識
スーフィズムと言語哲学
スーフィズムとミスティシズム〔H・ランドルトとの対談〕
渾沌―無と有のあいだ
文学と思想の深層〔遠藤周作との対談〕
『中央公論』と私
意味分節理論と空海
言語哲学としての真言
『意味の深みへ』あとがき

   
  ――人間のコトバを語る神、コトバを通じて人間の言語的実存の中心部にじかに踏みこんでくる神。そこにセム的人格神の異常な人間性が成立する、と私は思います。
(文学と思想の深層)
 
     
     
     
第九巻

コスモスとアンチコスモス 一九八五年 ― 一九八九年(講演音声CD付き)    【2015年2月刊行】

   
 

事事無礙・理理無礙―存在解体のあと
三田時代―サルトル哲学との出合い
『叡知の台座』まえがき
創造不断―東洋的時間意識の元型
イスマイル派「暗殺団」
エリアーデ哀悼―「インド体験」をめぐって
「開かれた精神」の思想家〔『プロティノス全集』への推薦文〕
『西谷啓治著作集』への推薦文
気づく―詩と哲学の起点

『みすず』読書アンケート(一九八六年)への回答
コスモスとアンチコスモス【講演の音声CD付】
風景
『図書』「私の三冊」への回答
いま、なぜ「西田哲学」か
中世ユダヤ哲学史における啓示と理性
下村先生の「主著」〔『下村寅太郎著作集』への推薦文〕
禅的意識のフィールド構造
『マホメット』「学術文庫」版まえがき
『コスモスとアンチコスモス』後記

著者の蔵書サイン「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
 

 

 

   
  ――「有」が窮極においては「無」であり、経験世界で我々の出会うすべてのものが、実は「無」を内に抱く存在者(「無」的「有」)であり、要するに絶対無分節者がそのまま意味的に分節されたものであることを我々が悟る時、そこに自由への「開け」ができる。
(コスモスとアンチコスモス)
 
     
     
     
第十巻

意識の形而上学 一九八七年 ― 一九九三年    【2015年5月刊行 】

   
 

言語現象としての「啓示」
アヴィセンナ・ガーザーリー・アヴェロエス「崩落」論争
思想と芸術〔安岡章太郎との対談〕
中公文庫『ロシア的人間』後記
編纂の立場から〔岩波講座『東洋思想』〕
東洋思想

TAT TVAM ASI (汝はそれなり)
テクスト「読み」の時代
マーヤー的世界認識
『エラノス叢書』の発刊に際して
中公文庫版『イスラーム生誕』後記
意味論序説―『民話の思想』の解説をかねて
『超越のことば』あとがき
マーク・テイラー『さまよう』推薦文
『著作集』刊行にあたって
「二十世紀日本の読書遍歴」への回答
意識の形而上学―『大乗起信論』の哲学
二十世紀末の闇と光〔司馬遼太郎との対談〕 

   
  ――要するに、存在には裏側があるということだ。存在の裏側、存在の深層領域。そこにこそ存在の秘儀がある。
(『エラノス叢書』の発刊に際して)
 
     
     
     
第十一巻

意味の構造 一九九二年    【2015年7月刊行 】

   
 

意味の構造
附録・牧野信也による解説

   
  ――『コーラン』の諸概念を『コーラン』自身によって他のいかなるテクストにも依拠することなく、解釈するということ。いわば『コーラン』を構成する鍵概念を、『コーラン』自身に解き明かさせる、ということなのである。
(『意味の構造』)
 
     
     
     
第十二巻

アラビア語入門    【2016年3月刊行 】

   
 

アラビア語入門
ヒンドスターニー語
アラビア語 ほか

   
  ――アラビア語……それは譬えてみれば、丁度、精巧を極めた、そして無限に複雑な機械を持つ時計のようなものである。
(『アラビア語入門』)
 
     
     
     
別巻

井筒俊彦全集 別巻(講演音声CD付き)    【2016年8月刊行 】

   
 

未発表作品
著作目録
井筒俊彦年譜
総索引

   
     
     
     
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配本予定「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
     
井筒俊彦全集  全十二巻・別巻/四六判・上製函入
「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)
「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)

装幀者 中島かほる

   

第一巻  

『アラビア哲学 一九三五年 ― 一九四八年』

  ISBN978-4-7664-2071-5
  本体6,000円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

井筒哲学“萌芽”の時代の著作。第一巻。

▼井筒の詩への若き情熱が感じられる「ぴろそぴあはいこおん」、古典言語論、ロシア人論、そして初期代表著作「アラビア哲学」等、井筒思想の原石がまとめられた一冊。

▼基本的な書誌情報に加えて、井筒と戦前から戦後という時代との関係をまとめた「解題」、多岐にわたる内容をカバーする詳細な「索引」付。

   

第二巻  

『神秘哲学 一九四九年 ― 一九五一年』

  ISBN978-4-7664-2072-2
  本体6,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

▼初期代表著作の『神秘哲学』を収録。その他、初期の思想形成期に特徴的な「詩と哲学」への考察を正面から論じたエッセイなど、井筒の神秘主義の理解を深めるのに必読の著作群を収録。

▼解題では、各著作の基本的な書誌情報に加えて、『神秘哲学』初版と人文書院版、著作集版の間の重要な校異を収録。

▼月報では、安藤礼二、高橋巖、納富信留といった豪華な執筆陣が多角的に『神秘哲学』を論じる。

▼充実した索引付き。

   

第三巻  

『ロシア的人間 一九五一年 ― 一九五三年』

  ISBN978-4-7664-2073-9
  本体6,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

井筒の若きパトス溢れるロシア文学論。

▼初期代表著作の『露西亜文学』『ロシア的人間』を収録。その他、初期の思想形成期に特徴的な「詩と哲学」の関係を論じたエッセイや、井筒の「ロシア」への若き時代のパトスに溢れた著作群を収録。

▼解題では、各著作の基本的な書誌情報に加えて、『ロシア的人間』初版と底本(著作集版)の間の重要な校異を収録。

▼山城むつみ氏、沼野充義氏、谷寿美氏ら豪華執筆陣による月報付。

   

第四巻  

『イスラーム思想史 一九五四年 ― 一九七五年』

  ISBN978-4-7664-2074-6
  本体6,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

日本から世界へ、井筒俊彦の第二期が始まる。

▼著作集、単行本未収録の『研究社世界文学辞典』への執筆項目「アラビア文学」「トルコ文学」「ペルシア文学」から始まり、レバノンやカナダ、ボストンから日本へ宛てた便りなどユニークな著作、そして代表著作『イスラーム思想史』を収録。

▼各著作の基本的な書誌情報に加えて、『イスラーム思想史』の各版の重要な校異を記載。

▼瀬戸内寂聴氏、小杉泰氏といった豪華な月報執筆陣に加え、本巻から井筒俊彦の数多くの著作を担当した元岩波書店編集者合庭惇氏の連載を開始、井筒との日々、その横顔を語る。

   

第五巻  

『存在顕現の形而上学 一九七八年 ― 一九八〇年』

  ISBN978-4-7664-2075-3
  本体6,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

世界から日本へ、井筒哲学第三期が始まる

イランから帰国し、長年に亘る海外での思索が日本語著作として結実する著作群(1978年−1980年)を、発表年月日順に収録しました。
今道友信らとの対談や、イスラーム哲学、禅仏教を論じる著作から、師や朋友を語るエッセイまで、日本語で自らの思想を紡ぎだそうとした第三期初動の巻。

池澤夏樹、山内志朗、合庭惇各氏の豪華な執筆陣による月報付き

   

第六巻  

『意識と本質 一九八〇年 ― 一九八一年』

  ISBN978-4-7664-2076-0
  本体6,000円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

井筒俊彦の最高傑作、いよいよ登場!

▼海外での20年に亙る活動をへて、「東洋思想」の新たな世界を切り拓こうとした主著「意識と本質」を収録。
また、解題では収録作品の基本的な書誌情報に加え、『意識と本質』各版の重要な校異を記す。

▼著作集、単行本未収録の「転変を重ねて」では井筒の意外な一面が語られる。

▼月報は三浦雅士、中根千枝、合庭惇各氏が寄稿、井筒像を多角的に語る。

   

第七巻  

『イスラーム文化 一九八一年 ― 一九八三年』

  ISBN978-4-7664-2077-7
  本体7,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

イスラームという宗教、文化を知るための、最適の書。

▼1981年〜1983年の思索が成熟しつつある時期に書かれた著作群を、発表年月日順に収録。

▼著作集・単行本未収録の「イラン・イスラムの黙示録」は、イランでの生活やホメイニ革命について語る貴重な逸品。旧友や師をセンチメンタルに語るエッセイも収録。

▼月報執筆は、井筒と知己であるヘルマン・ランドルト氏、湯川豊、河合俊雄各氏。

   

第八巻  

『意味の深みへ 一九八三年 ― 一九八五年』

  ISBN978-4-7664-2078-4
  本体6,000円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

東洋哲学と現代思想を懸け橋する一冊。

▼1983年〜1985年の思索の成熟期に書かれた著作群を、発表年月日順に掲載。

▼単行本・著作集未収録の「『中央公論』と私」を収録。

▼「デリダ論」等の現代思想を展開し、そこから東洋哲学を読み解こうとする野心的な内容。

▼月報執筆は、玄侑宗久(小説家)、島薗進(宗教学者)、野村喜和夫(詩人)各氏。

   

第九巻  

『コスモスとアンチコスモス 一九八五年 ― 一九八九年(講演音声CD付き)』

  ISBN978-4-7664-2079-1
  本体7,000円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

コトバと存在の深層領域へ――。

▼1985 年〜 1989 年の、井筒円熟期に書かれた著作群を、発表年月日順に掲載。

▼単行本・著作集未収録の『西田幾多郎全集』推薦文、「風景」などを収録。

▼貴重な講演音声 CD 「コスモスとアンティ・コスモス ― 東洋哲学の立場から」付き。

▼月報執筆は、山本芳久(哲学者)、澤井義次(宗教学者)、吉村萬壱(作家)各氏。

  ★井筒俊彦講演音声CDをご試聴いただけます。
   

第十巻  

『意識の形而上学 一九八七年 ― 一九九三年』

  ISBN978-4-7664-2080-7
  本体 7,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

▼井筒俊彦全集第十巻。一九八七年 ― 一九九三年に書かれた著作を、発表年月日順に収録。

▼生前単行本に収められなかった、アンケート「ギリシア悲劇と私」への回答、「二十世紀日本の読書遍歴」収録。

▼解題では、各著作の基本的な書誌情報に加えて、重要な校異を記す。

▼多岐にわたる内容をカバーする詳細な索引付き。

▼月報は、鏡リュウジ、鎌田繁、駒野欽一各氏による。井筒像を多角的に語る。

▼時代に則した写真を掲載。

▼底本には、著者生前の最終版を使用。

   

第十一巻  

『意味の構造 一九九二年』

  ISBN978-4-7664-2081-4
  本体5,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

井筒俊彦、必読のコーラン論。

▼井筒の代表的英文著作The Structure of the Ethical Terms in the Koran (1959)をもとに、日本向けに改訂された1992年の著作を収録。

▼解題では本著の基本的な書誌情報に加えて、重要な校異を記す。

▼多岐にわたる内容をカバーする詳細な索引付き。

▼月報執筆は、フセイン・ナスル(イスラーム科学史家)、宇野重規(政治学者)、島多代(絵本・児童書研究家)各氏による。井筒像を多角的に語る。

▼時代に則した写真を掲載。

▼底本には、著者生前の最終版を使用。

 

   

第十二巻  

『アラビア語入門』

  ISBN978-4-7664-2082-1
  本体7,800円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

井筒俊彦のもう一つの真骨頂である言語論集(1939-55)。

▼井筒哲学の根底を築く、言語へのまなざしが窺える一冊。

▼代表作「アラビア語入門」ほか、「アッカド語」「ヒンドスターニー語」などを収録。

▼月報執筆は、上田閑照(宗教哲学者)、斎藤慶典(哲学研究者)、池内恵(アラブ研究者)各氏。

 

   

別巻  

『井筒俊彦全集 別巻(講演音声CD付き)』

  ISBN978-4-7664-2083-8
  本体7,200円+税
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「井筒俊彦全集」(慶應義塾大学出版会)  

『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻)完結

▼これまで単行本には収録されることのなかった幻の著作をふくむ18篇を補遺として収録。
▼本全集初公開となる新発見原稿、井筒俊彦訳イブン・アラビーの『叡智の台座』(第一章)」、「東洋哲学の行方を考える」収録。
▼若松英輔氏による年譜ほか、著作目録、総索引など、充実した資料を収録。
▼月報は、ナダール・アルダラン(イラン人建築家)、黒田壽郎(イスラーム学)、互盛央(言語論・思想論)各氏。
▼附録として、高野山大学での1984年の講演音源「言語哲学としての真言」を収録。

 

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慶應義塾大学出版会
     
〒108-8346 東京都港区三田2-19-30  
電話 03-3451-3584  
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