日々賭けをする人々
フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界

まえがき――賭博の魅惑
序 章 彩色の精神 1 なぜ、賭博なのか:日々をあやなすということ 2 どのように賭博を論じるのか――日常をアクティベートさせる賭け 3 どうやって賭博を捉えるのか――浮かんでは消える事物、賭けが放たれる先 4 本書の展開
第I部 賭博が根差す場、その基層
第1章 賭博との出会い、フィールドワークの輪郭 1 四つの調査地と家族たち 2 ミンダナオをいかに論じるのか 3 調査の内実
第2章 フィリピン賭博の歴史 1 国家と賭博 2 植民地主義による賭博の規制・管理・制度化 3 国家に庇護される賭博産業の成立 4 違法賭博と国家の共謀 5 加速する国家の賭博胴元化
第3章 規律訓練されない賭博者たち 1 法が善悪を定めるのか――数字くじ合法化「以前」と「以後」 2 行使される公権力、恐れる/恐れない/憤る人々 3 違法運営の崩壊と維持
第4章 善悪と神 1 善い賭博、悪い賭博 2 日常的賭博実践における善悪の境界線 3 善き状態をあらわす分かち合い「バラト」 4 何が幸運をもたらすのか――賭博における神
第II部 闘鶏――人間と鶏が織りなす伝統的熱狂の円環とリズム
第5章 闘鶏のエコノミー――鶏と関係を結び、鶏に生活を賭ける人々 1 フィリピンの闘鶏――産業化されたナショナル・スポーツ兼賭博 2 闘鶏を解釈の道具から解放する 3 闘鶏の仕組みと諸アクター 4 鶏と関係を結び、鶏に生活を賭ける人々 5 「蹴爪をつけるための鶏」の生涯 6 「戦士」から「食用」へ──闘鶏場の一日 7 ポリティクスではなくエコノミー――人間−鶏関係再考
第6章 充満する「負けの理由」――鶏に賭ける技法と不運の制御 1 闘鶏場を沸騰させる賭けの熱狂 2 トラビシヤの賭けの技法 3 鶏を選択し賭けを決断する知 4 闘鶏場の反復的時間と賭けのリズム 5 前景化する不運 6 「わからない」現実と賭けの不運――鶏が他者として浮かび上がるとき
第III部 数字くじ――無根拠性の内に増殖する自己と世界の接続
第7章 つまらない賭博への没頭――数字で世界を埋め尽くす 1 つまらない賭博、数字くじ 2 「人はなぜ賭けるのか」をめぐる応答 3 遊戯の面白さと没頭 4 ラストトゥーの日常 5 数字を予想し、解釈する 6 数字で世界を埋め尽くし、偶然性に深入りする 7 世界の謎を解き、幸運を狩りたてる
第8章 確率的思考の流転と現実性への接近――異なるレイヤーを往還する 1 当たらないとわかっている、けれど賭ける 2 確率的思考 3 賭博における確率的思考と認知バイアス 4 確率的存在としての賭博 5 確率的思考の流転 6 現実性への肉薄
終 章 意味に満ち満ちた世界 1 賭博者の世界 2 醸成する運の観念、自らの側に引き寄せる世界 3 創出する特異的現在、先鋭化する現実 4 現実に驚く 5 賭博者的な生
注 フィリピン賭博用語解説 あとがき 参考文献 索引
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