日韓ポピュラー音楽史
歌謡曲からK-POPの時代まで

はじめに
第T部 歌謡曲の時代
第1章 演歌/トロットの誕生と音楽なき「日韓国交正常化」──李美子「トンベクアガシ」と倭色禁止 1 日韓国交正常化と「トンベクアガシ」 2 演歌の誕生──「アメリカ的なもの」と「戦後」をめぐる格闘 3 トロットと倭色歌謡──「従属」と「解放」のあいだ 4 「倭色」とは何か 5 音楽検閲としての倭色歌謡論
第2章 音楽大国日本への欲望──日韓のロックと「ヤマハ世界歌謡祭」 1 音楽大国化していく日本 2 日本語ロックと韓国語ロックの誕生とズレ 3 日韓の若者たちはなぜ出会えなかったのか 4 「韓国歌謡」の確立と日本の音楽的影響 5 日本の「世界歌謡祭」と「韓国歌謡」の国際化
第3章 「韓国演歌」の誕生と民主化前夜──李成愛、吉屋潤、チョー・ヨンピルの日本進出 1 李成愛の「カスマプゲ」と「韓国歌謡ブーム」 2 「よしや・じゅん」と「キル・オギュン」のあいだ 3 チョー・ヨンピルの「韓国演歌」 4 「朝鮮的なもの」の破壊 5 「倭色」という「認識=カテゴリー」──平岡正明がみた韓国
第U部 J‐POPの時代
第4章 J‐POP一極化と「アジアン・ポップス」──ソテジワアイドゥル以降の韓国ポップ 1 J‐POPの誕生と韓国演歌の衰退 2 「アジアン・ポップス」をめぐる欲望 3 「韓国語ラップ」という異質さ 4 「アイドル」の概念をめぐるズレ 5 日本というフィルターと韓国音楽の真正性
第5章 禁止と開放の中間地点──T-SquareからX JAPANまで 1 解放/開放の時代としての「90年代」 2 T-Squareとカシオペアのサウンド 3 「剽窃論争」にみる「禁止」からの解放 4 「大衆」の影響力を可視化した「X JAPANブーム」 5 「ポンチャックの誕生」にみる「解放/開放」
第6章 東アジアの文化権力を変えるK‐POP──「韓国型アイドル」の誕生 1 「日本とアジア」のあいだの壁 2 東アジアの韓流とK-POPアイドル第一世代──H.O.T.の衝撃 3 K‐POPアイドルの世界観──日本のアイドルと比較して 4 欲望の共有──SMとエイベックスの協業 5 BoAから始まる日本のK-POP史
第V部 K‐POPの時代
第7章 「J‐POP解禁」と2000年代日韓の軋轢──CHAGE and ASKA、安室奈美恵、嵐、そして渋谷系 1 「日本大衆文化開放」とCHAGE and ASKAの舞台 2 J‐POP解禁──安室奈美恵と嵐の上陸 3 渋谷系と弘大──「小さな日韓」のオルタナティブなムーブメント 4 なぜ「日流」は起こらなかったのか@――中島美嘉と草g剛の現地化 5 なぜ「日流」は起こらなかったのかA──禁止の維持とトレンドの変化
第8章 J‐POPとK‐POPの分かれ道──KARA、少女時代、TWICEが変えた秩序 1 K‐POPが与えたアイデンティティの動揺 2 2010〜2011年のK‐POPブーム 3 「コリアン・インベイジョン」の重層 4 ガールグループからみえたもう一つの分かれ道 5 TWICEがもたらした「移動」の転換
第9章 ポップの夢──BTS現象とシティポップ・ブーム 1 BTSがたどり着いた「アメリカ」 2 グローバルファンダムが示した「日韓」の超え方 3 シティポップ・ブームが体現する「アメリカ」と「東京」 4 「プラットフォーム」としてのK‐POP 5 ポップと日韓の軌跡
おわりに あとがき 注 参考文献 索引
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