朝鮮出版文化の誕生
新文館・崔南善と近代日本
序 章 「一国史」を超える朝鮮出版文化史――研究の対象と課題 1 韓国出版文化の起源 2 新文館の創設者・崔南善とは 3 研究史 4 研究方法と史料 5 内容構成
第一章 出版社新文館の設立と『少年』の創刊 1 崔南善の日本体験 二度の日本留学/日本での活動と出版界の衝撃 2 新文館と『少年』にみられる日本の影響 新文館の運営方式/『少年』の誌面構成とレイアウト 3 啓蒙の手段としての日本書の受容 「少年」の概念および目指す少年像の違い/『少年』における翻訳記事の底本/翻訳にみ られる特徴
第二章 新文館の児童雑誌と日本の児童文学界――朝鮮の植民地化と武断政治のなかで 1 児童雑誌の刊行の背景と崔南善の児童観 韓国併合の余波――「少年」から児童へ/新文館の目指した児童教育 2 児童への接近手段としての日本書 崔南善の日本滞在と当時の児童文学界/教訓の要素を含んだ童話/「子どもらしさ」を表 す構成物 3 「朝鮮的なもの」を通した民族的自負心の涵養 朝鮮の昔話と歴史上の人物/ハングル表記と固有語の創造 4 児童雑誌から「総合教養」雑誌『青春』へ 新文館の方針転換――『アイドゥルボイ』第13号/児童雑誌が果たした役割と『セビョル』
第三章 『青春』が目指したもの――「世界的知識」の発信と民衆啓蒙 1 「総合教養」雑誌『青春』の世界性 2 執筆者たちの世界認識と日本経験 主要執筆者たちの世界認識/主要執筆者たちの日本経験 3 「世界的知識」の発信方法 『青春』にみられる日本の出版物の影響/底本の選択と使い方の変化――『少年』から 『青春』へ/朝鮮の世界化の試みとその底本 4 『青春』の終焉
第四章 新文館の刊行物と女性 1 近代朝鮮の女性向け刊行物と新文館 2 保護国期における女性観と『少年』 保護国期の新聞記事や雑誌などにみる女性観/『少年』における「女子」/日本の少年雑 誌における「少女」 3 1910年代における女性をめぐる言説と新文館の児童雑誌 1910年代の新聞記事や雑誌などにみる女性観/新文館の児童雑誌における女子像/ 崔南善の女性読者 4 近代朝鮮の出版史上における画期性
第五章 シリーズ書籍という試み――韓国併合前後の単行本 1 多種多様な新文館の単行本 2 叢書企画とその背景 朝鮮初のシリーズ書籍「十銭叢書」/『少年』との関係/叢書企画の由来 3 翻訳小説シリーズと日本の出版社 翻訳小説について/日本の出版界との関係/翻訳にみる雑誌事業との関連性
第六章 新文館初のロングセラー『時文読本』の編集過程――三・一独立運動前夜の単行本 1 朝鮮初の現代文教科書『時文読本』 2 日本の中等国語教科書との関係性 『中等国語読本』について/翻訳物の底本とその再構成 3 『時文読本』の独自性 翻訳上の工夫と自社の刊行物の再活用/『時文読本』と雑誌事業 4 『自助論』にみる再構成と啓蒙の手法 『自助論』刊行の背景とその概要/崔南善の弁言による再構成
第七章 時事週報『東明』と新文館の終焉――三・一独立運動後の崔南善の出版活動 1 三・一独立運動と新文館 2 新文館から東明社へ 主なき新文館――印刷所としての活動/東明社の設立と『東明』の創刊 3 『東明』の概要と刊行目的 4 「民族的完成」に向けた取り組み 民族意識の高揚を企図した時事報道/民主主義と社会主義/多様な見解の提示 5 『東明』のなかの娯楽要素――新文館の残像
終 章 朝鮮出版文化の誕生 1 東明社のその後 2 新文館・崔南善と近代日本 3 今後の課題
注 付録 崔南善年譜 参考文献 あとがき
付表 新文館および東明社の雑誌における翻訳記事の底本一覧 付表1 『少年』における翻訳記事の底本一覧 付表2 児童雑誌における翻訳記事の底本一覧 付表3 『青春』における翻訳記事の底本一覧 付表4 『東明』における翻訳記事の底本一覧
索引
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