犬に話しかけてはいけない
内陸アラスカのマルチスピーシーズ民族誌
はじめに――ある日の野帳から
第1章 マルチスピーシーズ民族誌へようこそ 現代人類学への道 マルチスピーシーズ民族誌の誕生 人新世と環境人文学――マルチスピーシーズ民族誌との関連から
第2章 ニコライ村への道のり ニコライ村 フィールドワークの始まり 本書のおもな登場人物 個人主義的な人々? 徒弟的なフィールドワーク フィールドワークの身体性
第3章 ワタリガラスのいかもの食い──ある神話モチーフを考える トリックスターとしてのワタリガラス 神話は子育てによく効く? 犬の屠畜とワタリガラス神話 犬屠畜モチーフが他地域からもたらされた可能性はあるか? 〈ワタリガラス〉の犬肉食は、動物行動学で説明できるか? 〈ワタリガラス〉の犬肉嗜好モチーフは修辞戦略としてみなしうるか? 多種の因縁を語る神話
第4章 犬に話しかけてはいけない──禁忌から考える人間と動物の距離 ある禁忌の語りから 運搬・護衛・狩猟 犬ぞりの受容と二〇世紀初頭の変化 犬ぞりの現在 犬―人間のハビトゥス
第5章 ビーバーとともに川をつくる──「多種を真剣に受け取ること」を目指して ビーバー論争 生態学・生物学と対話するマルチスピーシーズ民族誌 ビーバーとディチナニクの人々の関わり ビーバーダムとギンザケ ビーバー擁護派と反対派の二項対立を超えて キーストーン種とともに考える マルチスピーシーズ民族誌が目指すこと
第6章 「残り鳥」とともに生きる──ドムス・シェアリングとドメスティケーション ドメスティケーションの周辺から考える 野鳥の餌づけ・保護・飼育 「残り鳥」と住まう 野鳥とのドムス・シェアリング ドムス・シェアリングとドメスティケーション
第7章 カリブーの毛には青い炎がある──デネの共異身体をめぐって 北方アサバスカンの身体 共異体と社会身体 サイボーグ・インディアン カリブーの民とオーロラ 巨大動物と超自我 ぬくもりの共異身体
第8章 コウモリの身内──環境文学と人類学から「交感」を考える 悪魔からロールモデルへ 目的としての「交感」と実用的な「交感」 生きものとの会話と非会話 「交感しすぎない」という知恵
おわりに――内陸アラスカ先住民の知恵とは何か? マルチスピーシーズ民族誌の射程 各章の概要 アラスカ先住民の知恵 第三の道を探る
あとがき 注 初出一覧 図版一覧 動物の名称一覧 参考文献一覧 索引
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