新版 トルコ民族の世界史

序 章 イスタンブルに民族の問題を見る コスモポリタンな国際都市イスタンブル イスタンブルに押し寄せるイラン人 社会主義体制崩壊の余波 経済の要となるイスタンブル 留学生を通じた交流の拡大 ボスニアを助けるトルコ シリアからの難民問題 二つの顔を見せる民族の問題 トルコをキーワードにしてみる民族 トルコ民族史観の独善性を排す COLUMN:トルコ系諸民族はどの程度、意思の疎通が可能か?
第T章 トルコ民族とは何か 二重の意味をもつトルコという言葉 トルコ民族の外貌は同じでない 民族をくくる基準 民族の鍵となる言語 オルホン碑文の発見 フィンランドの民族精神 トルコ民族の故郷はモンゴル高原なのか 中国王朝のトルコ民族情報――鉄勒 ビザンツ帝国のトルコ民族情報――ブルガロイ 語族は民族なのか 民族移動によって生み出される多彩なトルコ系諸民族 COLUMN:ユダヤ人に改宗したハザール
第U章 ペルシャ=イスラーム世界への道 ペルシャ=イスラーム世界とは何か トルコ系遊牧民の侵入 『シャー・ナーメ(王書)』が暗示するもの 言語的に自立する中央アジア イスラームへの改宗 シャマニズムの世界観 シャマンはスーフィーに通じる スーフィー教団の発展と変質 分裂するイスラーム教徒としての意識 血縁,地縁に根ざす帰属意識 COLUMN:トルコ民族の郷土 トゥラン
第V章 東方キリスト教世界のトルコ化 多言語,多宗教のなかでの民族形成 文化的変容が及ばないアラブ世界 イコノクラスムから見る東方キリスト教 イスラーム化の先頭に立つスーフィー キリスト教の影響を受けたベクターシュ教団 バルカンのイスラーム化 ボスニアの異端キリスト教 イスラーム化の理由 アナトリアで進展するトルコ化 宗教別につくられたミッレト イスラーム教徒としての意識の強さ COLUMN:ドリナの橋
第W章 未完のトルキスタン国家 近代におけるトルコ民族世界のナショナリズム 帝政ロシアの征服と支配 クリミア・タタール出身の先覚者 中央アジアに波及するジャディードの運動 堕落するミール・アラブ神学校 パン・トルコ意識を生む共通トルコ語 トルキスタン人意識はチャガタイ・トルコ語から 民族の叙事詩『アルパミシュ』 ロシア市場に直結する中央アジアの綿畑 フェルガナ盆地に集中する矛盾 ロシア革命に夢を託す中央アジア コーカンドに集まるトルキスタン人 バスマチのゲリラ運動 民族的境界画定 変質する現代の民族主義 COLUMN:イスラーム世界の神学校
第X章 アゼルバイジャン 二つの顔 二つのアゼルバイジャン 帝政ロシアの征服 言語ナショナリズムの父 ザカフカスのモリエール イラン・アゼルバイジャンの状況 民族主義の二つの潮流 石油ラッシュに沸く町 バクーの光と影 政党が乱立するバクー バクー・コンミューン 民族主義政権の興亡 民族主義の復活とナゴルノ=カラバフ紛争 根が深い民族の憎悪 COLUMN:石油で財をなしたグルベンキアン
第Y章 変転するトルコ人の民族意識 ミッレト制の解体から生まれてきた民族 バルカン諸民族の独立 役に立たない「防衛のナショナリズム」 トルコ民族史の開拓者 言語の改革家シェムセッティン・サーミ― オスマン・トルコ語の改革 文化をキーワードにしてみたジヤ・ギョカルプ 青年トルコ人革命 肥大化するトルコ民族主義 エンヴェル・パシャの野望 オスマン帝国分割の危機 アナトリア・ナショナリズムへの道 クルド人の挑戦 COLUMN:トルコ民族の心 英雄叙事詩
終 章 灰色の狼はよみがえるのか チルレル首相の発言 シンボルとしての灰色の狼 一国ナショナリズムに固執するトルコ 旧ソ連邦トルコ系諸国家の事情 経済進出に意欲的なトルコ 苦しいトルコの台所事情 ヨーロッパに顔が向くトルコ人 中東イスラーム世界に回帰する人たち 発展の可能性を秘めたトルコ民族世界の関係 ゆるい統合に向かうトルコ民族の世界 COLUMN:石油パイプラインの建設で脚光をあびるトルコ
さらに深く知るための文献案内
あとがき
トルコ民族史 略年表 人名索引 事項索引 図版出典一覧・所蔵元一覧
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