マルクス派数理政治経済学

はしがき
第T部 階級闘争の個人合理的条件と実現可能性
第1章 個人合理性に基づく社会運動の数理モデル はじめに 2人ゲームによる被支配階級団結の条件分析 N 人ゲームにおける囚人のジレンマ、チキンゲーム、非問題状況 大集団が団結しにくいという問題について
第2章 社会運動モデルに多数決政治を組み込んだ場合 はじめに 社会的最適解と運動参加者、フリーライダーの利害関係 多数決政治と運動参加者、フリーライダーの利害関係 分析結果の政治的含意
第3章 個人合理的にも過半数が決起する特殊条件について はじめに 必ず「革命」が失敗するゲーム 勝ち馬に乗る者へのペナルティ むすびに代えて
第U部 中間層、階級同盟と政治の両極分化
第4章 中間層を考慮した社会運動モデル はじめに 本書第1章モデルへの非対称性の導入 16ケースの識別と帰結 諸ケースのパターン別整理 まとめとインプリケーション ■数学付録1 諸ケースのパターン別計算
第5章 2争点で分割された4階級の同盟と対抗 はじめに 2つの争点を持つ2次元一様分布の状況を表現する 1社会集団(階級)がそれだけで全人口の過半数を占めるケース 階級同盟の人口的条件 階級同盟間のありうる対抗合戦 結論と含意
第6章 「第2の争点」が階級対立の主要な争点となるケース ――ドイツの移民問題を事例に はじめに 外国人問題をめぐる戦後ドイツの階級間対立 数理モデル@――モデル設定と標準形ゲーム 数理モデルA――展開形ゲームへの拡張
第V部 所得再分配をめぐる政権選択と政権交代
第7章 所得再分配政策を争点とした政権選択のモデル はじめに 政権選択モデルの基本構造 「平等志向」の分布についての設定 所得分布についての設定 政権選択モデルの解釈 モデル分析の結果とインプリケーション むすびに代えて
第8章 所得再分配の結果としての周期的政権交代と政権の中立化 はじめに 平等化・反平等化政策の内容について 所得分布と政権選択の相互関係モデルの基本 離散時間による差分方程式 動的モデルの解釈 むすびに代えて ■数学付録2 政権選択と中位所得の変化に関する式の数学的証明
第9章 累進課税/逆累進課税の「強度」と政権交代 ――「負の所得税」の各種のパターン はじめに Friedmanの「負の所得税」理論 所得再分配政策における個人の所得変化と所得税率 想定する所得再分配の検討 政権選択との関係性の検討 むすびに代えて ■数学付録3 本章における関係式の数学的証明と代入値の計算
第W部 覇権システム、帝国主義と世界再分割戦争
第10章 新興・先進国間の不均等発展、帝国主義戦争モデルと覇権交代モデル はじめに レーニン『帝国主義論』の不均等発展モデル クルーグマンの反不均等発展モデル クルーグマンからレーニンへ 京大環太平洋計量経済モデルの軍事負担分担モデル 『帝国主義論』的世界再分割モデルの試み 第1章モデルの覇権交代モデルへの応用 非覇権国数が多数の場合および「多数決政治モデル」からのインプリケーション
第11章 不均等発展する先発/後発帝国主義の世界再分割モデル はじめに 先発帝国主義の後発帝国主義に対する対抗と後者のリアクションとしてのブロック化=世界再 分割モデル 経時的に変化するD1,D2およびT, C の定式化について まとめと含意 ■補論 後発帝国主義が先手をとる場合
第X部 前近代帝国主義の奴隷調達と国内搾取
第12章 古代ローマにおける奴隷の搾取と調達の微分方程式モデル はじめに ローマ市民と奴隷の搾取者・非搾取者モデル 帝国拡張期のイメージ 帝国衰退への転換イメージ 奴隷の地位向上、搾取の緩和に注目する別シナリオ
第13章 古代ローマ奴隷制の捕食者・被食者モデル 捕食者・被食者モデルとしてのローマ市民と「周辺民族」の関係 捕食者・被食者モデルに沿ったローマ市民と「周辺民族」の人口変動 ローマ市民、奴隷、「周辺民族」の被食者・捕食者モデル むすびに代えて ■数学付録4 (5)式が閉曲面であることの証明 ■数学付録5 体系(6)(7)(8)式がらせん状の運動をすることの説明 説明
参考文献 索 引
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