ハンス・ヨナス 未来への責任
やがて来たる子どもたちのための倫理学

はじめに テクノロジーと未来/「本当に人間らしい生き方の永続」 先行研究の概観/本書の構成
第1章 人間と想像力――哲学的人間学T 1 動物と人間の境界 宇宙人の思考実験/想像力とは何か 2 反転する想像力 無限の反省/人間像の形成 3 墓と形而上学 なぜ人は墓を建てるのか/形而上学の起源
第2章 歴史をめぐる問い――哲学的人間学U 1 歴史とは何か 終わりなき歴史の運動/「自由の場は歴史である」 2 ユートピアに抗して ユートピア主義の論理/凌駕されえない過去 「未来は未来それ自身である」 3 歴史の予測不可能性 歴史が予測される条件/新しい眼で世界を眺めること
第3章 死の存在論とニヒリズム――哲学的生命論T 1 「死の存在論」の誕生 原始の生命観/魂と自然の分離/死の存在論 2 亡霊と化す精神 随伴現象説/シミュレーションされる思考 3 人間と世界の断絶 死の存在論の矛盾/ニヒリズムへの没落
第4章 テクノロジーの脅威――技術論 1 テクノロジーとはなにか? 無限の円環/終わりなき進歩 2 テクノロジーの脅威 予測不能・対処不能・回収不能/剣と鋤 3 テクノロジーと倫理 新しい倫理学の必要性/存在と当為の切断 形而上学的真理の否定/一つの突破口
第5章 生命とは何か――哲学的生命論U 1 新たな生命論を目指して アメーバが自由であるとしたら/哲学的生命論の方法 2 生命と自由 窮乏する自由/生命の空間性/生命の時間性 3 傷つきやすさと実存 生命の傷つきやすさ/死と実存
第6章 傷つきやすさへの責任――未来倫理学T 1 責任とは何か 二つの責任概念/他者への気遣いとしての責任 2 責任の対象 生命の「呼び声」/乳飲み子への責任/子どもの他者性 3 責任の主体 責任と自由/「呼び声」を聴くこと
第7章 未来世代への責任――未来倫理学U 1 未来世代への責任の基礎づけ すべてに先行する責任/「未来の人間は存在するべきである」 2 開かれた歴史への責任 形而上学の開放性/その時々に、別々の仕方で 3 未来の予見 不吉な予言/恐怖に基づく発見術
第8章 アウシュヴィッツ以降の神――神学 1 なぜ神話を語るのか 「神は沈黙した」/仮説としての神話 2 無力な神の神話 無力な神/宇宙創成の物語/行為の不死性 3 神と記憶 記憶する神/責任と記憶
おわりに――やがて来る子どもたちのために 註 あとがき 参考文献 索 引
|