テロリズムとは何か
――〈恐怖〉を読み解くリテラシー

はしがき 凡 例
第T部 リテラシーを得る――テロに関する学術理論は何を語るのか?
第1章 「テロリズム」とは何なのか 1 テロの定義の様々な例 (1) 日本、米国における主な法令上のテロの定義 (2) 学説上の主な定義 2 テロの基本的な要素――最低限のコンセンサス (1) コンセンサス (2) テロと一般犯罪の違い 3 定義の困難性と必要性 (1) なぜ定義が困難なのか (2) なぜ定義が必要なのか 4 論争のある点――「国家テロ」という概念を認めるか? Column 「テロリズム」と「過激主義」 Column 「テロリズム」と「ゲリラ」「インサージェンシー」 Column 「国家テロ」と「国家支援テロ」
第2章 テロの歴史――新しいもの、古いもの? 普遍のもの、変化するもの? 1 近現代以前 2 近現代(19世紀以降)――「4つの波(Four Waves)」 3 第1の波――「無政府主義者の波」 (1) 概要 (2) 手法、特徴 (3) 主な事例 4 第2の波――「反植民地主義の波」 (1) 概要 (2) 手法、特徴 (3) 主な事例 5 第3の波――「新左翼の波」 (1) 概要 (2) 手法、特徴 (3) 主な事例 6 第4の波――「宗教の波」 (1) 概要 (2) 手法、特徴 (3) 主な事例 7 結 論 Column 過去約100年間の世界の主要テロ事案
第3章 テロの特徴(その1)――非対称性 1 総 論 ―テロに関する非対称性とは 2 テロ組織等の有する優位性 (1) 情報の非対称性 (2) 財政的コストの非対称性 (3) 政治的コストの非対称性 3 他の論点との関係 (1) テロの未然防止策との関係 (2) テロの定義をめぐる議論との関係
第4章 テロの特徴(その2)――資金、攻撃手法、形態等 1 テロ組織等の資金 (1) 資金の規模 (2) テロの未然防止策との関係 (3) テロの資金源 2 テロの攻撃手法 (1) 概観 (2) 自殺テロ 3 テロの形態――「自立型」攻撃の広がり (1) 総論 (2) 経緯・背景事情 (3) テロ組織中枢との関係性―様々な形態 (4) ホームグローン」と「ローンウルフ」 Column テロとメディア
第5章 テロ発生のメカニズム――テロはなぜ発生するのか? 1 分析の基本枠組み ―原因と機会 2 攻撃を実行する側に関する要因 (1) 攻撃実行の能力 (2) 攻撃実行の意図 3 攻撃実行の機会に関する要因 Column 貧困とテロの関係 Column 精神障害とテロの関係
第6章 テロの発生を未然防止するための諸施策 1 攻撃を実行する側に関する要因に着目――原因論的アプローチ (1) 「攻撃実行の能力」に対する施策 (2) 「攻撃実行の意図」に対する施策 2 攻撃実行の機会(標的及び環境・現場空間)に関する要因に着目――機会論的アプロー チ
第U部 現実と理論の対話――テロに関する学術理論は現実の理解に役立つのか?
第7章 近年のテロ情勢の概観 1 事案数、死者数の時系列的な推移――テロの事案数や死者数は増えているのか? 2 テロの発生地 ―テロはどこで発生しているのか? (1) 地域別の状況 (2) 国別の状況 3 テロ組織――最も多くの犠牲者を出しているテロ組織はどこか? 4 その他の地域 (1) アジア・大洋州(主に東南アジア) (2) 西欧及び北米 【引用、参照した統計、資料等】 Column フィリピン南部におけるイスラム過激派勢力の動向 Column テロと統計データ
第8章 アルカイダとISIS 1 思 想 2 アルカイダ (1) 略史 (2) 911事件、アルカイダの変容 (3) アルカイダの現在の脅威 3 ISIS (1) 略史 (2) ISISの変容 (3) ISISの現在の脅威 (4) ISISの急激な伸張、衰退の背景 4 アルカイダとISISの類似点、相違点 5 理論的なインプリケーション (1) テロの発生のメカニズムに関連するもの (2) 諸対策の効果に関連するもの
第9章 米国の国内テロをめぐる情勢――国際テロより深刻かもしれない? 1 概念整理 (1) 「国際テロ」と「国内テロ」 (2) 「極右テロ」と「極左テロ」 2 極左テロ (1) 略史 (2) アンティーファ 3 極右テロ (1) 概念整理 (2) 極右テロ略史 (3) 極右テロの特徴 (4) その他 Column ヘイトクライムと極右テロ
第10章 日本のテロ情勢の歴史 1 「4つの波」以前 2 「無政府主義者の波」――1880年代〜1920年代 3 「反植民地主義の波」――1920年代〜1960年代 (1) 反植民地主義の事例 (2) その他の事例――右翼関連のテロ 4 「新左翼の波」――1960年代〜1990年代 (1) 概観 (2) 日本国内でのテロ (3) 日本国外でのテロ 5 「宗教の波」 ――1980年代〜現在 (1) 概観 (2) イスラム過激派関連以外――オウム真理教のテロ (3) イスラム過激派関連 6 日本の情勢を分析する上で、理論は有用か? Column 戦後の右翼テロ等
第11章 日本におけるテロの発生を未然防止するための諸施策 1 政府の施策、体制 (1) 包括的な政策文書 (2) 統括組織 2 攻撃を実行する側に関する要因に着目した施策@――「攻撃実行の能力」に関する施策 (1) 武力的な施策 (2) 非武力的な施策 3 攻撃を実行する側に関する要因に着目した施策A ―「攻撃実行の意図」に関する施策 (1) 社会レベルの問題に着目した施策 (2) 個人レベルの問題に着目した施策 4 攻撃実行の機会(標的及び環境・現場空間)に関する要因に着目した施策
第V部 総 括――テロに関する学術理論は将来をどのように見るのか?
第12章 テロ研究とテロ対策の将来 1 テロに関する学術研究の主要論点 (1) ジャクソン等の見方 (2) シュミッド、フォレスト等の見方 (3) 通底する課題 2 ホームグローンとローンウルフの時代のテロの未然防止――「安全と権利自由の両立」 は可能か? (1) 欧米諸国における近年のテロの脅威 (2) 問題の所在―「両立」の実現の困難さ (3) 治安機関に対する民主的統制制度の充実 3 そもそも「テロ対策」の目的とは何なのか?――テロに対する社会の心理的強靭性(レジ リエンス)の強化 (1) テロリストの真の目的は何か? (2) 「テロ対策」の真の目的とは何か? (3) テロに対する社会の心理的強靭性(レジリエンス)の強化 4 終わりに
本書注/引用文献一覧/写真出典/初出
あとがき 索 引
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