国家公務員の中途採用
日英韓の人的資源管理システム

序 章 謎に包まれた中途採用 1 開放型任用制は「開放的」なのか? 2 問題設定と本書の構成 3 本書の特色
第1章 公務員制度のモデルと課題 1 公共部門の人的資源管理モデル (1) NPM以前の公務員制度モデル (2) NPM以後の公務員制度モデル (3) 行政改革研究からの視座 (4) 公務員制度のモデルに関する議論の変遷 2 民間部門の人的資源管理モデル 3 先行研究の課題 (1) 開放/閉鎖二項対立モデルの構成原理と運用の乖離 (2) 公務員制度と組織の業績に関する研究蓄積の不足 (3) ポジションシステムの不透明な運用実態 4 本書のアプローチ
第2章 知識・技能と中途採用の運用パターン 1 公務員の知識・技能 (1) 政治学・行政学における公務員の専門性概念 (2) 労働経済学・経営学における知識・技能概念 2 ポジションシステムにおける任用の類型 3 ポジションシステムの下位類型
第3章 韓国のポジションシステム 1 改革以前の韓国の公務員制度 2 開放型職位制度の概要 (1) 対象職位の指定 (2) 職務遂行要件 (3) 任用の手続き (4) 給与と評価 3 運用実態の分析 (1) 職歴の調査方法 (2) 運用の実態 4 開放型職位制度と組織の業績 5 韓国の事例分析からの知見
第4章 イギリスのポジションシステム 1 イギリスの公務員制度の変遷 2 イギリスの公務員制度 3 運用実態の分析 (1) 政府公表資料の分析 (2) 職歴調査の結果 (3) イギリスの制度運用の特徴 4 職員のキャリアパスと業績 5 イギリスと韓国の比較
第5章 民間部門からの中途採用事例 1 中途採用までの職歴 2 貿易産業省の政策目標 3 任用当時のイノベーション政策を取り巻く状況 4 デイビッド・ヒューズ任用後のイノベーション政策 5 デイビッド・ヒューズの退職とその後 6 政策変化とヒューズの中途採用
第6章 公共部門からの中途採用事例 1 マッカーシーの中途採用までの職歴 2 副首相府の政策目標 3 イギリスの住宅政策の歴史と住宅協会の役割 4 任用当時の住宅政策を取り巻く状況 5 リチャード・マッカーシー任用後の住宅政策 6 政権交代による予算削減と住宅政策の変化 7 リチャード・マッカーシーの退職 8 政策変化とマッカーシーの中途採用 9 2つの事例からわかる中途採用の実像
第7章 局長・課長の職歴と省の業績 1 先行研究における公務員制度の計量分析の課題 (1) 公務員制度指標の問題点 (2) 公務員制度と組織の業績に関する先行研究 2 Public Service Agreementsの分析 (1) 各省の業績を表す指標(従属変数) (2) 局長・課長の職歴を表す指標(独立変数) (3) 目標の難易度に影響を与えるその他の要因(コントロール変数) (4) データの構造と分析手法 3 上級公務員の職歴と業績の関係 4 政策形成の職位において有用な職歴は何か
第8章 執行エージェンシー長官の職歴と組織の業績 1 執行エージェンシーの業績の分析 (1) エージェンシーの業績を表す指標(従属変数) (2) 長官の職歴を表す指標(独立変数) (3) 目標の難易度に影響を与えるその他の要因(コントロール変数) (4) データの構造と分析手法 2 エージェンシー長官の職歴と業績の関係 3 ポジションシステムの運営類型と業績の関係
第9章 日本の国家公務員制度の変化と働き方改革の動向 1 日本の国家公務員制度に対する分析視角 2 中途採用経路の増加 (1) 人事院規則1-24に基づく中途採用 (2) 任期付職員法に基づく中途採用 (3) 任期付研究員法による採用 (4) 経験者採用試験 (5) 官民人事交流 (6) イギリスにおける中途採用との比較 3 昇進管理の変化 4 給与システムの変化 5 職務区分のあり方 6 近年の公務員制度改革の影響 7 日本型雇用と働き方改革 8 働き方改革の方向性 9 霞が関における働き方改革 10 働き方改革と最大動員システムの行く末
終 章 明らかになった中途採用の実像 1 本書の分析結果 2 韓国・イギリスと日本の比較 3 ポジションシステムの理論的精緻化 4 本書の分析の限界と課題 5 公務員の中途採用に関する政策的示唆
補 論 公務員制度のモデルに関する先行研究の議論 1 西尾の開放型・閉鎖型任用制 2 Silbermanの専門・組織志向の官僚制 3 Auer et al.(1996)の研究背景 4 OECDの公務員制度モデルの概要と変遷 5 OECDによる公務員制度モデルの指標化
初出一覧 参考文献一覧 あとがき 索 引
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