悲しい曲の何が悲しいのか
音楽美学と心の哲学
はじめに
第1章 音楽美学と心の哲学 1 聴取経験の分析 問題となる聴取経験/情動とのアナロジー/概念分析と心の分析 2 音楽美学の自然化 哲学的自然主義/反自然主義に関して
第2章 「美しい音楽」は人それぞれ? 1 基本概念の整理 判断と経験/美的判断と美的経験/美的性質と非美的性質 2 実存性と客観性を分ける 客観主義と主観主義/色をめぐる議論
第3章 「美しい音楽」の客観性 1 正しい美的経験の条件 ゼマッハ/ウォルトン 2 なぜ評価が重要なのか ゴールドマン/レヴィンソン/ベンダー/評価と行為
第4章 心が動く鑑賞 1 情動とは何か 身体反応の感じ/感情価/評価 2 情動なしに「鑑賞」できない 感受性の学習
第5章 心が動けば聴こえが変わる 1 知覚と情動は独立か? 認知的侵入可能性/知覚と情動の複合体 2 考えることと感じること 情動以外の評価的状態/美的判断の個別主義
第6章 音を見る、音に触れる 1 音はどこにあるのか 出来事としての音/誰もいない森で木が倒れたら音はするのか 2 現象学と知覚システム 音が定位する場所/環境を聴く/知覚のマルチモダリティ
第7章 環境音から音楽知覚へ 1 音楽とは何か 芸術としての音楽/合目的性の鑑賞 2 音楽を見る、音楽に触れる 音楽パフォーマンス/マルチモーダルな音楽鑑賞
第8章 聴こえる情動、感じる情動 1 音楽の悲しみと聴き手の悲しみ 表出的性質/問題点の整理/問題となる事例 表出的性質に関する四つの理論 2 表出説と喚起説 作者の情動と表出的性質/聴き手の情動と表出的性質
第9章 なぜ悲しい曲を聴くのか 1 二つの問題と音楽情動 負の情動のパラドックス/対象の欠如/キヴィーの音楽情動 2 悲しむべきことがあるのか 情動と気分の違い/自分の情動を間違える
第10章 悲しい曲の何が悲しいのか 1 類似説とペルソナ説 類似性と擬人化傾向/想像と物語的解釈 2 二つは本当に対立しているのか 表面上の対立点/擬人化と想像の違い/高次情動の表出性
結論 美学の自然化
あとがき 文献一覧 索引
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