小津安二郎 サイレント映画の美学
序論 小津とサイレント映画の地平 1 小津のサイレント作品を辿ること 2 グローバルな規模で共有されたサイレント映画の地平 3 本書の構成
第一部 ローカルな文脈
第一章 小津映画の起源―― 一九二〇年代後半日本のハリウッド映画受容 1 「ソフィスティケーション」の意味 2 小津によるハリウッド映画の模倣 3 ノエル・バーチとデヴィッド・ボードウェルによる小津論
第二章 近代による征服――松竹蒲田撮影所と監督たち 1 「蒲田調」の発生過程 2 スペクタクルとしての〈動き〉――牛原虚彦 3 ふたつの映画内映画シーン――『隣の八重ちゃん』と『東京の女』
第二部 グローバルな文脈
第三章 フォトジェニー的宙吊り――ルビッチ映画の〈動き〉について 1 『東京の女』の冒頭シーン――小津による『結婚哲学』冒頭シーンの再構成 2 「空間および時間内に同時にある動き」――エプスタインのフォトジェニー論再考 3 〈視線の一致しない切り返し〉の発生過程
第四章 はかない事物――ヴァナキュラー・モダニズムとしての小津サイレント映画 1 雄弁な事物 2 アジェの写真にたいするクラカウアーの評言 3 小津によるジョセフ・フォン・スタンバーグへの言及
第三部 〈動き〉と〈明るさ〉の美学を超えて
第五章 小市民映画の限界――岩崎昶の批判 1 「小市民映画」のもうひとつの意味 2 「来る可き映画の時代の望み」――岩崎昶の映画論 3 『生れてはみたけれど』の映画内映画シーン
第六章 一九三四年以降の小津――トーキーへ、さらにトーキー以降 1 トーキー化の問題――巨匠への欲望と「日本的なもの」への回帰 2 〈断片的編集〉と〈演出〉のあいだで――戦後作品における「認めること」のための空間
注 あとがき 参考文献 索引
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