都市から学ぶアジア経済史

はじめに――本書の構成と特徴
第1章 米とシルクと歓楽街――17〜18世紀の蘇州 岸本 美緒 はじめに/1 蘇州の地理的位置と歴史/2 「姑蘇繁華図」に見る清代中期蘇州の経済/ 3 全国的米穀流通の要――蘇州城外楓橋鎮/4 製糸・絹織業の中心地――農民と職 人/5 蘇州市民のレジャーと消費――贅沢は経済を活性化できるか?/おわりに
第2章 プネー インド西部における政治都市の経済発展 ――マラーター同盟下の18世紀 小川 道大 はじめに/1 プネーの台頭/2 18世紀におけるプネーの経済発展/おわりに
第3章 バタヴィア ハイブリッド・シティの発展と変容 ――16〜19世紀半ば 太田 淳 はじめに/1 バタヴィアの成立/2 バタヴィアの人々と文化的混淆/3 地域分業の変容 と経済構造のハイブリッド化/おわりに
第4章 シンガポールと東南アジア地域経済――19世紀 小林 篤史 はじめに――東南アジア経済史とシンガポール/1 アジア域内貿易と東南アジア産品― ―18世紀末から19世紀初頭/2 イギリスの進出とシンガポール貿易の成長――19世紀中 葉/3 東南アジアの一次産品輸出の拡大における域内交易の役割――19世紀末/おわ りに――長期の19世紀における東南アジア地域経済の変容
第5章 満洲≠ニ中国本土を繫ぐ都市 ――18〜19世紀の山東半島登州府 荒武 達朗 はじめに/1 清代登州府の地域経済――地方志に書かれた世界/2 登州府をめぐる物流 と人口移動/3 19世紀初の転換点――清朝の曲がり角の満洲/おわりに 登州の終焉― ―煙台・芝罘と青島
第6章 上海 交易と決済、市場と国家――18〜20世紀初頭 古田 和子 はじめに/1 上海の成り立ち/2 19世紀後半東アジアのエンポウリアム――交易中心とし ての上海/3 20世紀初頭の上海と日本/おわりに――交易と決済、市場と国家
第7章 長崎と高島炭鉱――19世紀後半 杉山 伸也 はじめに――国際貿易都市長崎の誕生/1 世界史のなかの幕末「開港」/2 明治日本の 産業化/3 グラバー商会と高島炭鉱の開発/4 オランダ貿易会社による高島炭鉱の経 営/5 後藤象二郎への払下とジャーディン・マセソン商会/6 三菱経営下の高島炭鉱/ おわりに――納屋制度の廃止と鉱業条例の制定
第8章 香港 躍動するゲートウェイ都市の歴史的文脈 ――19世紀半ば〜21世紀初頭 久末 亮一 はじめに/1 開港から香港ドルによる対外決済機能の確立まで/2 華僑世界の形成によ るヒト・モノ・カネ・情報の中継/3 20世紀前半のマクロ環境転換と香港の位相変化/4 高 度経済成長の時代、そして再び「開かれた中国」の出現/5 香港の将来/おわりに
第9章 台南 帝国日本の形成と台湾――20世紀前半 平井 健介 はじめに/1 日本統治前の台湾/2 「南進基地」としての台湾(1890年代)/3 「食料原料 基地」としての台湾(1900年代〜1920年代)/4 「南進工業基地」としての台湾(1920年代〜 1930年代)/おわりに
第10章 羅津 北鮮鉄道と朝鮮社会――20世紀前半 竹内 祐介 はじめに/1 北鮮ルートの形成過程/2 満鉄委託経営期の羅津・北鮮鉄道/3 満鉄貸付 経営期の羅津・北鮮鉄道/おわりに
第11章 イノベーションの首都 深圳 ――20世紀末〜21世紀初頭 丸川 知雄 はじめに/1 概要/2 深圳の変遷/3 イノベーションの震源地への歩み/4 深圳のイノ ベーションをリードする華為/5 草の根のイノベーション/6 多様なイノベーションと創業の 場へ/おわりに
第12章 バンコク―ホーチミン ――生産ネットワークへの参加、産業集積の形成、イノベーション・ハブの構築(20世紀末〜21世紀初頭) 木村 福成 はじめに/1 グローバル・ヴァリュー・チェーンと都市・産業集積/2 バンコク首都圏の成 長/3 国内労働移動と貧困撲滅/4 メコン―インド経済回廊/5 新たな挑戦/おわりに
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