ネルヴァルの幻想世界
その虚無意識と救済願望

まえがき 凡例 序論 《註》
第一部 試作品における二つの精神の流れ T 初期詩篇『オドレット』試解――「祖母」、「従妹」について 1.「祖母」≪ 1a Grand'mere ≫試解 2.「従妹」≪ La Cousine ≫試解
U 詩作品における生への意識と死への意識の変遷・交錯 ――「従妹」から「オリーヴ山のキリスト」をへて「エル・デスディチャド」へ/ 「ファンテジー」から「黄金詩篇」をへて「アルテミス」へ 1.「ファンテジー」 2.「宿駅」 3.「オリーヴ山のキリスト」 4.「黄金詩篇」 5.「エル・デスディチャド」 6.「アルテミス」 《註》
第二部 偶然・夢・狂気・現実─―ネルヴァルにおける認識論的懐疑 T アザール意識の変容――偶然の問題 U 「いまひとたび」の神話 V 夢・狂気・現実――認識論的懐疑へ 《註》
第三部 空間的・心理的動性への欲求――ネルヴァルの救済願望をめぐって T 「移動」への欲求の諸相とその意義 1.社会的・時代的な要因 2.個人的・本質的な要因 U 意識の運動・志向性とその諸相 1.意識の水平的運動性 2.意識の垂直的運動性 3.夢のもつ空間的・時間的凝縮作用 《註》 第四部 罪責意識について――『愛の書簡』『オーレリア』の精神的・宗教的意味 T 『愛の書簡』における罪責意識 U 『オーレリア』における罪責意識 V 倫理的罪責意識 W 形而上学的・宗教的罪責意識 X 最後に――罪責意識の精神的・宗教的意味 《註》
第五部 『シルヴィ』の世界から『オーレリア』の世界へ――虚無意識と救済願望の間 T 『シルヴィ』の世界とその〈虚無〉について――昼(生)の意識と闇(死)の意識の葛藤 1.『シルヴィ』の時間的構造と虚無意識 2.「オリーヴ山のキリスト」的虚無 3.虚無を超えて、喪失の意味づけへ 4.虚無と救済の間――『オーレリア』の世界へ U ネルヴァルの『シルヴィ』について――ヒロインシルヴィをめぐって 1.『シルヴィ』の主題をめぐる諸説 2.モーリス・サンド宛の手紙 3.カトリック的世界観への回帰の試みとその挫折 4.最後に 《註》
第六部 喪神意識と黒い太陽について――「オリーヴ山のキリスト」『オーレリア』の世界と喪神意識 T 喪神意識=虚無意識 U 「オリーヴ山のキリスト」とジャン = パウル・リヒターの『ジーベンケース』の断章その他との比較 V 「黒々とした底無しの眼窩」=黒い太陽 W 喪神意識=求神意識――ネルヴァルはニーチェの先駆者? 《註》
第七部 ネルヴァルの死について T 謎の死 U 矛盾 V 殉教 W 残された謎 《註》 ジェラール・ド・ネルヴァル年譜 あとがき 文献目録抄
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