『クルアーン』
神の言葉を誰が聞くのか

序 この聖典は誰のもの?
生きている書物 誰がクルアーンを読むのか――読者のタイプの六分類
本書の目指すこと
T 「作者」は神か人か? 1 「作者」をめぐって――ムスリムと非ムスリムの間 「聖典」としてのクルアーン ムスリムから見たムハンマドの生涯 神の声を聞く ヒジュラ(聖遷)――メッカからメディナへ 啓示が下された状況 身の回りの状況の反映 非ムスリムにとってのムハンマド ムハンマドの同時代人 神の言葉の「創造」という神学問題の難しさ 2 議論を生む書物としての成立と展開 ムスリム伝承の伝える編纂経緯 「ウスマーン版」の誕生 クルアーン編纂の研究史 初期の写本を読み解く 書承媒体の変遷――写本から印刷、そしてデジタルへ 印刷はヨーロッパから 3 異文化との邂逅――翻訳と受容 「翻訳」の是非 西洋諸言語への翻訳 アジア諸言語への翻訳 日本語への翻訳 西洋社会と日本社会での受容
U 生の言葉による「説得」 1 生の言葉が訴えること 構成と文体 クルアーンは退屈か? 言葉の「まとまり」として読む 飲酒は完全に禁止? クルアーンの章構成 散文と韻文の間 二つの祈禱句の章 メディナ期の文体の特徴 謎の残る分割された文字 頻繁に変化する人称 井筒俊彦のクルアーン研究の意義 ムスリム側からの学問的アプローチ クルアーンの主要なテーマ 唯一神アッラー 九九の美称をもつ神 天使や悪魔、ジン ムハンマド以前の預言者たち 預言者たちが遣わされた理由 ムハンマドの周囲の人物たち 2 「神の言葉」が開いたもの 格差社会メッカから平等社会メディナへ 努力としてのジハードと戦闘の容認 ユダヤ教徒・キリスト教徒をどう認めるか アラビア語とクルアーンの相関関係 クルアーンから展開する諸思想潮流 イスラーム神学――神をどう把握するか イスラーム法――神にしたがって生きる イスラーム神秘主義――神を心の内面で体得する
V 「説得」から「共有」へ――二元論を超えて 1 「説得」のための時間軸 警告と吉報 アッラーによる天地創造 来世のための現世――人はどう生きるべきか 男女の関係性 飲食などの禁止規定 戦闘とジハード 終末から来世へ 2 今なお解釈される書物として 前近代のクルアーン解釈(タフスィール) 伝承によるクルアーン解釈 シーア派のクルアーン解釈 個人見解によるクルアーン解釈 スーフィー的クルアーン解釈 近代以降のタフスィール――科学的思考とイスラーム主義 英国支配下のエジプトとインド 科学的クルアーン解釈 文学的クルアーン解釈 イスラーム主義的クルアーン解釈 現代のクルアーン解釈――西洋文明の影響下で 3 見るクルアーン、聞くクルアーン 日々のなかのクルアーン 芸術作品のなかで
注
参考文献
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