スペイン語の世界
はじめに
T スペイン語の歴史 1 スペイン語の系統 2 スペイン語の誕生 ラテン語以前の言語状況(〜前3世紀) 古代ローマ帝国のラテン語(前3世紀〜5世紀) 俗ラテン語の実態を知る手掛かり 西ゴート時代(5世紀〜7世紀) イスラム時代(8世紀〜15世紀) モサラベ語 3 中世スペイン語 スペイン語の発祥(10〜11世紀) 俗語文学の確立(13世紀) 俗語文体の洗練(14〜15世紀) 4 スペイン語の変容と確立 ネブリハの登場 カスティーリャ語への自信――俗語擁護論の展開(16世紀) 言語研究を促進したロペス・マデラの「原始カスティーリャ語」説 スペイン語の絶頂期(17世紀) 5 スペイン語のグローバル化 啓蒙主義と王立言語アカデミー(18世紀〜19世紀) スペイン語単一主義から多言語主義へ(20〜21世紀) グローバル時代のスペイン語 COLUMN 01 統計でみるスペイン語 COLUMN 02 イベリア半島の諸言語 COLUMN 03 なぜirはvoy, vas, va ... と活用するのか? COLUMN 04 中世に大流行した語尾脱落 COLUMN 05 Ñはコスト削減が生んだ合理的文字 COLUMN 06 なぜcon+míはconmigoになるのか? COLUMN 07 なぜ“*Le lo doy.”と言えないのか COLUMN 08 seの多機能は近世以降 COLUMN 09 スペイン語ならではのことわざ・慣用句
U スペイン語の広がり 1 大西洋を越えたスペイン語 開始は1492年 2人称単数túとvosの分布はなぜ? アンダルシア方言との類似性 2 スペインとラテンアメリカにおける語彙の違い ラテンアメリカ特有の語彙 なぜ語彙が異なるのか? ブエノスアイレスのルンファンド アメリカ先住民語発祥の語彙 3 スペイン語と非−スペイン語との混成言語 ウルグアイのポルトニョール フロンテリーソ(スペイン語×ポルトガル語) 米国のスパングリッシュ(スペイン語×英語) 小アンティル諸島のパピアメント(スペイン語/ポルトガル語×オランダ語×アフリカ系言 語) フィリピンのチャバカーノ(スペイン語×タガログ語/セブアノ語) COLUMN 10 地名が語る征服者の思い COLUMN 11 ユダヤ・スペイン語
V 意外な語源さまざま Adolescente「青年」/Adulto「大人」――実は同一語の現在分詞と過去分詞 Alumno/-a「生徒」――元は「養子」だった Cada「それぞれの」――起源はギリシア語の前置詞 Café「コーヒー」――セルバンテスの知らない語彙 Castigar「罰する」――中世においては「教える」と同義だった Deber「〜しなければならない、〜にちがいない」――英語のdue, duty, debtの遠い親戚 Encantar「大好きである」――歌は神との交信だった Equilibrio「平衡、バランス」――equi-, ecu-は「同じ」を意味する形態素 Este/Esta/Esto「これ、この」――元は「それ、その」だった Guerra「戦争」――軍事用語の多くはゲルマン起源 Hasta「〜まで」――珍しいアラビア語起源の機能語 Hermano/Hermana「兄弟/姉妹」――元は「生粋の」を意味する形容詞だった Hermoso「美しい」――国名の「台湾」と同じ語源の形容詞 Huésped「宿泊客」/Hueste「軍勢」――「客」と「敵」は紙一重 Juego「ゲーム、競技、賭博」――元は「悪戯」だった Lindo「かわいい」――mujer lindaとは「正妻」のことだった Llegar「到着する」――英語arriveとの意外な接点 Llevar「持って行く、運ぶ、着ている」――まず活用形ありきの不定詞llevar Mirar「見る」――本来は「驚く」だった Muy「とても」――実はmuchoの語尾脱落形 Nada「何も〜ない」/Nadie「誰も〜ない」――起源においては否定語と無関係だった Naranja「オレンジ」――英語のorangeと語源は同じ ¡Ojalá!「どうか〜でありますように」――元はイスラムの習慣 Pagar「支払う」――必ずしも金銭取引とは関係なかった Pensar「思う、考える」――通貨単位ペソ(peso)と兄弟語 Pueblo「町」/Ciudad「都市」――英語peopleと同一起源のpueblo Querer「欲する、愛する」――cuestiónは本来quererの名詞形 Señor「〜氏、紳士」――元は「年長者」を意味する比較級 Ser「(永続的に)〜である」/Estar「(一時的に)〜である、居る、有る」――「永続的vs一時的」という対立の源は「安定vs不安定」 Semana「週」――元は「7つの朝」という複合語だった Siesta「シエスタ、昼寝」――元は単なる序数詞 Trabajo「仕事」――実は英語travelと同じ語源 Usted「あなた」――ustedだけが敬語ではなかった
W スペイン語文学の多様な世界 1 スペイン文学の始まり――中世の叙事詩とキリスト教文学 最古のスペイン文学 『わがシッドの歌』 俗語で書かれた文学――教養派文芸 2 黄金世紀の文学(16〜17世紀) ルネサンスの新ジャンル――対話文学と小説 近代小説の創始者セルバンテス 演劇 奇想主義と誇飾主義 3 近代のスペイン文学(18〜19世紀) 啓蒙主義の時代 ロマン主義文学 写実主義・自然主義文学 4 スペインの現代文学(20世紀以降) 98年の世代 20世紀初期の詩・戯曲 20世紀スペイン最大の思想家オルテガ スペイン内戦直後の文学 5 ラテンアメリカの文学 ラテンアメリカ文学の始まり 魔術的リアリズム メキシコ――ルルフォ、フエンテス、パス カリブ・中米――アストゥリアス、カルペンティエル、カブレラ = インファンテ コロンビア・ペルー――ガルシア = マルケス、アルゲダス、バルガス = リョサ チリ――ドノソ、アジェンデ、ボラーニョ アルゼンチン――ビオイ = カサレス、コルタサル、ボルヘス COLUMN 12 アンデルセンに連なるスペイン中世文学―― 『ルカノール伯爵』 COLUMN 13 黄金世紀の女流作家サンタ・テレサ COLUMN 14 なぜ一般庶民は 『ドン・キホーテ』 を楽しめたのか? COLUMN 15 ガルドスの 『マリアネラ』 ――視力を回復したがための不幸 COLUMN 16 スペイン語で書かれたフィリピン文学 COLUMN 17 アンダルシア方言の文学 COLUMN 18 フエンテスを通して読むメキシコ語法 COLUMN 19 キューバ語法満載のカブレラ = インファンテ COLUMN 20 バルガス = リョサから読み取るペルー語法 COLUMN 21 コルタサルにみるアルゼンチン語法
おわりに 付録1 ラテン語からスペイン語への音韻変化法則 付録2 スペイン語史・文学史年表
文献案内 参考文献 索引(事項・人名・地名)
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