Contents
目次
失踪の社会学
A5判/上製/368頁
初版年月日:2017/10/20
ISBN:
978-4-7664-2481-2
 
(4-7664-2481-6)
Cコード:C3036
税込価格:4,620円
失踪の社会学
親密性と責任をめぐる試論

目次

はじめに

  I いま、失踪を問う意味

第1章 なぜ私たちは「親密な関係」から離脱しないのか
 1 自殺について
 2 「無縁」のイメージの変容
 3 「純粋な関係」の出現と、親密性の変容
 4 「親密な関係」からの離脱に対する抵抗感の根拠(リスク・愛・外的基準)
 5 失踪の社会学へ

第2章 失踪の実態はどこまで把握可能か
 1 諸概念の整理(失踪・家出・蒸発・行方不明)
 2 失踪の件数と内訳
 3 失踪発生後の一般的な流れ
 4 「現代的な問題」としての失踪?

 U 失踪の言説史

第3章 失踪言説の歴史社会学――戦後から現在までの雑誌記事分析
 1 失踪言説の分析は何を語るのか
 2 失踪言説の戦後史――「家出娘」と「蒸発妻」
 3 失踪言説の背後にあるもの@――家族の戦後体制
 4 失踪言説の現代史
 5 失踪言説の背後にあるものA――個人化
 6 雑誌記事における失踪批判の論点

 V 当事者の語る失踪

第4章 失踪者の家族社会学
 1 失踪の当事者の研究へ
 2 「社会的死」と「曖昧な喪失」
 3 研究の方法――失踪者の家族へのインタビュー
 4 さまざまな失踪のかたち
 5 失踪者の家族たちの特殊な経験
 6 失踪者はなぜ失踪してはいけなかったのか

第5章 失踪者の家族をいかにして支援すべきか――MPSの取り組みから
 1 「曖昧な喪失」理論の問題点
 2 研究の方法――支援団体に対するケーススタディ
 3 MPSのプロフィール
 4 情報提供者としてのMPSスタッフの語り
 5 情報提供者がなしうるケアとは何か
 6 共に物語を作るという可能性
 7 失踪に対する筆者の立場

第6章 失踪者のライフストーリー
 1 失踪者本人への問い
 2 先行研究の検討(家出・蒸発・runaway・ホームレス)
 3 研究の方法――失踪者のライフストーリーを聞く
 4 〈失踪〉経験者のライフストーリー@――家族からの離脱と応答の拒否
 5 〈失踪〉経験者のライフストーリーA――自殺未遂から失踪へ
 補論 〈失踪〉経験者のライフストーリーB――職場からの〈失踪〉

 W 「親密な関係」に繋ぎとめるもの

第7章 親密なる者への責任
 1 責任という問いへ
 2 本書における責任の定義
 3 責任の「行為−因果モデル」
 4 責任の「傷つきやすさを避けるモデル」
 5 「親密な関係」と責任の倫理

第8章 現代社会と責任の倫理
 1 「親密なる者への責任」の重要性の高まり
 2 「神隠し」と〈逃がし〉の論理
 3 自己責任論と親密圏の過負荷

終 章 行為としての〈失踪〉の可能性
 1 〈失踪〉を実行させたもの
 2 〈失踪〉は自殺の代わりになるのか
 3 第三者からの承認であることの効用



参考文献
あとがき
初出一覧
索引
ページトップへ
Copyright (C)2004-2024 Keio University Press Inc. All rights reserved.