バルトーク 音楽のプリミティヴィズム
序 論 T
第一章 民俗音楽の「精神」を求めて――バルトークの文化ナショナリズムとモダニズム 一 バルトークと民俗音楽の「精神」 二 ハンガリーの文化ナショナリズムと「民俗藝術」の流行 三 チャートの音楽批評と「民謡の精神」 四 アディによるハンガリーの文化アイデンティティの捉え返し 五 新しい「ハンガリーの音楽」のナショナリズム
第二章 音楽のナショナリズムからプリミティヴィズムへ――バルトークと一九一〇年前後のフランス音楽 一 バルトークにおける「プリミティヴ」なるものの位置づけ 二 ハンガリーの文化ナショナリズム運動と「原初的なもの」 三 プリミティヴな民俗音楽への関心の高まり 四 一九一〇年代初頭のパリにおけるバルトークの音楽の受容 五 比較項としてのストラヴィンスキーの役割
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第三章 イデオロギーとしての「農民音楽」――バルトークの民謡研究と近代的な藝術観 一 一九一〇年代のハンガリーの藝術批評における「農民(paraszt)」の位置づけ 二 バルトークの民謡研究の方法論 三 民謡研究と近代的な藝術観とのかかわり 四 バルトークの民謡研究の問題点 五 「変形」説の同時代における受容
第四章 音楽史の中の「農民音楽」――ストラテジーの複合性 一 バルトークの「国民楽派」批判 二 理想像としてのバッハとウィーン古典派 三 バルトークと一九世紀ドイツ音楽との間の距離 四 ナショナリズムとインターナショナリズムのはざまで
第五章 クライマックスのストラテジー――バルトークの器楽曲をめぐって 一 同時代の批評家たちからみたバルトークの音楽様式 二 バルトークの音楽の様式的特徴と「ハンガリー的な頂点」のストラテジー 三 「ハンガリー的な頂点」の音楽史的背景 四 クライマックスのストラテジーと音楽のプリミティヴィズム
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第六章 民謡研究者バルトークの用語法――音楽構造の解釈の歴史性 一 バルトークにおける「ペリオーデ」の概念とその起源 二 「ペリオーデ」概念に対するバルトークの態度の変化 三 用語法の変化と比較音楽学の影響 四 用語法の変化と創作活動との関係
第七章 プリミティヴィズムの新たな展開――ストラヴィンスキーの新古典主義と一九二六年のバルトーク 一 ストラヴィンスキーの新古典主義に対する当初の反応 二 トートとモルナールのストラヴィンスキー批判 三 ストラヴィンスキー批判としての《ピアノ協奏曲第一番》 四 ストラヴィンスキーの新古典主義に対する評価の変遷 五 「感傷性のなさ」にむかって
結 語
あとがき 註 参考文献一覧 索引
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