南方熊楠
――複眼の学問構想

序 T 教養の基盤としての東アジア博物学 U 西洋科学との出会い V 進化論と同時代の国際情勢 W アメリカにおける一東洋人として X ハーバート・スペンサーと若き日の学問構想 Y 「東洋の星座」と英文論考の発表 Z 「ロンドン抜書」の世界 [ フォークロア研究における伝播説と独立発生説 \ 「南方マンダラ」の形成 ] 「十二支考」の誕生 終 章 複眼の学問構想 あとがき 初出一覧 注 参考文献 南方熊楠顕彰館蔵書中のハーバート・スペンサー著作への書き込み 「ロンドン抜書」目録 欧文人名索引 人名・事項索引
<目次・詳細> 序 1 南方熊楠研究の変遷 2 『南方熊楠 一切智の夢』における分析 3 南方熊楠邸資料調査と研究の進展 4 本書『南方熊楠 ―― 複眼の学問構想』の位置づけ 凡例
T 教養の基盤としての東アジア博物学 1 幼少期に親しんだ和漢の書籍 2 『和漢三才図会』との出会い 3 『和漢三才図会』と東アジアの博物学 4 フォークロアとしての東アジア博物学 5 アメリカ・英国時代の熊楠と和漢書 6 東アジアの科学に向ける視線 7 英文論考における『和漢三才図会』の活用 8 『和漢三才図会』から「十二支考」へ 9 「十二支考」における博物学思考 10 東アジア博物学と「十二支考」
U 西洋科学との出会い 1 鳥山啓の影響 2 自作の教科書「動物学」 3 「動物学」の四つの稿の比較 4 動物の分類法に関して 5 「動物学」における博物誌的記述について 6 和歌山中学卒業から東京遊学へ
V 進化論と同時代の国際情勢 1 東京での生活 2 東京大学予備門での学修 3 進化論への傾倒 4 モースの跡を追って 5 東アジア情勢を見る目 6 『佳人之奇遇』に受けた影響 7 予備門の退学と和歌山での静養 8 アメリカ行きの決断
W アメリカにおける一東洋人として 1 サンフランシスコ到着とビジネス・カレッジ入学 2 日本人福音会 3 ランシングでの農学校時代 4 「人種」に対する視線 5 「予はのち日本の民たるの意なし」 6 アナーバーでの学問生活 7 ミシガン大学博物館とスティア 8 アマチュア博物学者カルキンスとの交流 9 ジャクソンヴィルの中国人社会とのつきあい 10 フロリダ南部・キューバへの旅 11 江聖聡との友情 12 その後の江聖聡
X ハーバート・スペンサーと若き日の学問構想 1 アメリカ時代の進化論受容 2 ウォレスをめぐる議論 3 ハーバート・スペンサーの影響 4 日本におけるスペンサー受容と熊楠 5 トーテミズムに関する書き込み 6 『社会学研究』への書き込み 7 『社会学原理』の読解と英文論考への応用 8 記述社会学から「ロンドン抜書」へ 9 『第一原理』とその問題点 10 熊楠によるスペンサー批判の変遷
Y 「東洋の星座」と英文論考の発表 1 ロンドンでの生活環境 2 一八九三年秋の二つの出会い 3 「東洋の星座」の執筆過程 4 中国・インドの星座比較 5 「東洋の星座」の立論の甘さとその自覚 6 「東洋の星座」の可能性 7 「東洋の星座」の反響 8 『マンチェスター・タイムズ』での熊楠紹介 9 「拇印考」とその反響 10 熊楠の英文執筆とアーサー・モリスン
Z 「ロンドン抜書」の世界 1 大英博物館図書室での抜書開始 2 「ロンドン抜書」の体裁 3 筆写文献の言語別・内容別分類 4 「ロンドン抜書」見返しに見られる文献の分類 5 「ロンドン抜書」における人類学構想 6 ムーラ『カンボジア王国』の筆写 7 ヨーロッパと日本の文化衝突・交流 8 航海・旅行記集成の活用 9 ハクルート叢書 10 ユールの東西交渉史研究 11 時間的・空間的に拡がる旅行記の採取 12 「異文化接触」と旅行記 13 「セクソロジー」への傾倒 14 ヴィクトリア時代の社会と性に対する規制 15 「ロンドン抜書」と「ロンドン私記」
[ フォークロア研究における伝播説と独立発生説 1 「マンドレイク」と「さまよえるユダヤ人」 2 大英博物館での文献収集による増補 3 ヨーロッパにおける伝播説の台頭 4 熊楠による比較説話研究の展開 5 マンドレイクと商陸の類似についての結論 6 「さまよえるユダヤ人」に関する熊楠自身の評価の揺れ 7 帰国後の伝播説に関する論文 8 「燕石考」における共感理論
\ 「南方マンダラ」の形成 1 書簡による土宜法龍との対話 2 シカゴにおける万国宗教会議 3 因果律の説明としての「事の学」 4 科学から真言密教へ 5 曼陀羅に関する法龍からの教示 6 華厳経の影響 7 粘菌とマンダラ 8 因果の交錯としての宇宙 9 「やりあて」と異常心理 10 マンダラからエコロジーへ
] 「十二支考」の誕生 1 帰国後の研究環境 2 ディキンズとの共同作業による日本文学の翻訳 3 『ノーツ・アンド・クエリーズ』への投稿 4 「ロンドン抜書」調査の再開 5 柳田国男との協力 6 熊楠的文体の誕生 7 「十二支考」虎の回における方法論 8 高木敏雄宛書簡と「十二支考」への助走 9 「腹稿」による論理の組み立て 10 「十二支考」と熊楠の学問世界
終 章 複眼の学問構想 1 従来の学問分野と南方熊楠 2 「萃点」へと迫る複眼思考 3 南方熊楠の学問構想がもたらすもの
あとがき 初出一覧 注 参考文献 南方熊楠顕彰館蔵書中のハーバート・スペンサー著作への書き込み 「ロンドン抜書」目録 欧文人名索引 人名・事項索引
|