幕藩制転換期の経済思想
序 本書の視点と各章の位置づけ 小室正紀
第1章 「道を知る」こと ―― 学問の転換期と頼春水 ベティーナ・グラムリヒ=オカ(山本嘉孝訳) はじめに ―― 学問の転換期 1 父親による投資 2 人名録を携えて 3 ネットワークへの参加とその費用 4 ネットワークのさらなる拡大 5 学問の活用 6 帰郷への思い 7 ネットワークの構築者として おわりに
第2章 近世高砂社の芸能興行と賑わい 塩川隆文 はじめに 1 興行の推移 (1)明和九年の祭礼芝居 (2)寛政八年の尉姥神像遷座と芸能興行 (3)寛政期以降の芸能興行 2 興行の種類・担い手・出願理由 (1)興行の種類 (2)興行の担い手 (3)興行の出願理由 3 興行の出願過程 4 不許可・中止になった興行 5 高砂に常芝居はあったか おわりに
第3章 伊能忠敬の経営観と家 ―― 文化期の書簡から 田口英明 はじめに 1 伊能忠敬の略歴と佐原本家の動向 (1)伊能忠敬の略歴およびその家族 (2)佐原本家の経営動向 2 文化期佐原本家の経営基本方針 (1)貸金の停止 (2)酒造業の休止 (3)「帳合」の重要性 3 利得・価格・費用に対する姿勢 4 「手強家内取締の世話人」 ―― 能力者の採用 おわりに
第4章 大坂両替商草間直方の貨幣史 ―― 『三貨図彙』の著作意図をめぐって 小室正紀 はじめに 1 草間直方と『三貨図彙』 (1)経歴 (2)『三貨図彙』の概要 2 主意書、凡例に見られる著作の意図と姿勢 3 「銭之部」の主要論点と視角 (1)皇朝十二銭をめぐる問題 (2)中世から寛永通宝体制の成立へ 4 「金之部」「銀之部」の主要論点と視角 (1)江戸時代金銀貨制度成立の意義 (2)元禄宝永改鋳批判 (3)正徳享保改鋳批判 (4)元文改鋳への賞賛 おわりに
第5章 海保青陵の富国策 ―― 経世済民から経営へ 青蜿~子 はじめに 1 海保青陵が捉えていた経済社会と「治国」の目的 2 資金調達方法と「元手」の重要性 3 「国ノ富」と「興利」策 4 「諸藩」への提言、生産力の増強と「産物マワシ」 おわりに
第6章 社倉法にみる経済思想 ―― 近世後期の広島藩における社倉法理念 落合 功 はじめに 1 広島藩の社倉法の実施と展開 2 広島藩社倉法実施の思想史的背景 3 『社倉攷意』に見る近世後期の社倉法理念 おわりに
第7章 本多利明の蝦夷地開発政策論 ―― 天明〜寛政期を中心として 宮田 純 はじめに 1 蝦夷地を主題とした実績の編年的整理と分析方法 2 T期の実績について ―― @『大日本国の属嶋北蝦夷の風土艸稿』、 A『別本赤蝦夷風説考』、B『赤蝦夷風説考』 3 U期の実績について ―― C『蝦夷拾遺』、D『蝦夷国風俗人情之沙汰』の 「序文」、E『蝦夷土地開発愚存の大概』、F『利明上書』 4 V期の実績について ―― G『蝦夷乃道知辺』 おわりに
第8章 蝦夷地政策論に見る日本経済観 ―― 享和元年の三奉行による建議を中心に 橋 周 はじめに 1 享和元年の蝦夷地 2 『三奉行建議書』と柳生久通 (1)『三奉行建議書』 (2)勘定奉行柳生久通 3 海外貿易をめぐる議論 (1)柳生の建議 (2)他の奉行の見解 4 蝦夷地開発をめぐる議論 (1)柳生の建議 (2)他の奉行の見解 おわりに
あとがき 索引
|