西洋教育思想史
はじめに 西洋教育思想史は何のために学ぶのか 「教育学」「教育思想史」の終焉? 教育思想史をどう考えるか 教育思想史をどう叙述するか 「星座」作成としての教育思想史 『教育思想史』の学び方
第T部 西洋教育思想の伝統 概観
第1章 古典古代の教育思想 第1節 古代ギリシアの教育思想 1 前5世紀のアテナイ 2 言葉による教育 3 人間教育としてのパイデイア 第2節 ヘレニズム・ローマの教育思想 1 ギリシア文化とローマ 2 ヘレニズム期の教育思想 3 古代ローマの教育思想
第2章 中世の教育思想 第1節 キリスト教の形成 1 信仰と理性 2 「神の像」 3 アウグスティヌスの教育思想 第2節 中世宗教施設・制度と教育思想 1 修道院の教育思想 2 カロリング・ルネサンス 3 大学とトマス・アクィナスの教育思想 4 13、14世紀の修道会の思想的展開 補論1 中世大学の誕生 1 大学はいつ「誕生」したのか 2 組合・団体としての大学 3 大学における教育・学習
第3章 近世の教育思想 第1節 ルネサンス期の人間形成論と教育思想 1 新しい人間形成観の誕生 2 イタリア・ルネサンス期の教育思想 3 エラスムスの人間観と教育思想 第2節 宗教改革期の人間形成論と教育思想 1 宗教改革とは 2 ルターの宗教観、人間観、人間形成論 3 メランヒトンの「キリスト教的人文主義」
第4章 「教育的世界」の誕生 ―― コメニウス教育思想 第1節 17世紀オランダの文化環境 1 オランダ絵画の世界 2 科学革命の認識観 第2節 コメニウスの教育構想 1 「すべての人に」(教育基礎論) 2 「すべてのことを」(教育内容論) 3 「全面的に」(教育方法論) 4 「汎教育」(教育制度論、生涯学習論) 5 コメニウス教育思想の意義
第U部 市民革命・市民社会時代の教育思想と陶冶論(人間形成論) 18世紀〜19世紀前半 概観
第5章 啓蒙主義期の教育思想 第1節 イギリス啓蒙主義期の教育思想 1 イギリス市民社会と啓蒙思想 2 スコットランド啓蒙思想とポリティカル・エコノミー 3 改革の時代と功利主義教育思想 4 啓蒙主義のもうひとつの帰結 第2節 アメリカ啓蒙主義期の教育思想 1 「典型的アメリカ人」としてのフランクリン 2 アメリカ植民地期の教育 3 フランクリンの生涯 4 学術協会と「アカデミー」の構想 5 近代産業社会・資本主義の先駆として 6 ジェファーソンの教育制度構想と思想 7 マンの「コモン・スクール」の教育思想 8 ラルフ・ウォルドー・エマソン 第3節 フランス啓蒙主義期の教育思想 1 社会的文化的背景 2 エルヴェシウスとディドロの教育思想 3 ルソーの教育思想 4 革命期の教育思想 ―― コンドルセ公教育論 第4節 ドイツ語圏啓蒙主義期の教育思想 1 政治的社会的状況 2 汎愛派の教育思想 3 カントの教育思想
第6章 古典的陶冶論(人間形成論)の誕生 第1節 ‘反’啓蒙主義の人間観と陶冶論(人間形成論) 1 ハーマンとヘルダー 2 ヘルダーとゲーテの出会い 3 ゲーテの陶冶論(人間形成論) 第2節 シラーと美的陶冶論(人間形成論)の誕生 1 カント哲学との関係 2 『人間の美的教育について』の問題意識と方法 3 「遊戯衝動」 4 「美的仮像」と「美的国家」 第3節 フンボルトの新人文主義的陶冶論(人間形成論) 1 フランス革命と陶冶(人間形成)の必要性 2 陶冶論(人間形成論)としての人間学的研究 3 古代と言語 第4節 ロマン主義の子ども観と陶冶論(人間形成論) 1 「ロマン主義」という問題 2 「ファンタジー」と「ポエジー」の復権 3 「無垢な存在」としての「子ども」 4 ジャン・パウルとエルンスト・モーリッツ・アルント 第5節 ドイツ観念論哲学と陶冶論(人間形成論)・教育思想 1 フィヒテ哲学と陶冶論(人間形成論)・教育思想 2 ヘーゲルの哲学と陶冶論(人間形成論)・教育思想
第7章 古典的教育学の誕生 第1節 ペスタロッチ教育学 1 ペスタロッチ教育学の影響力 2 生涯 3 「基礎陶冶」 4 『探求』における「道徳状態」の意味 5 「母の愛」に基づく教育 6 「実現不可能な夢」としての「基礎陶冶」 第2節 ヘルバルト教育学 1 思想史上の位置 2 「自由を欲する」ことはいかにして可能か 3 「美的判断力」の養成 4 教師の「判断力」養成 5 教育制度改革とヘルバルト 6 ヘルバルト学派 第3節 シュライアマハー教育学 1 シュライアマハーの位置づけと生涯 2 宗教と陶冶(人間形成) 3 両極弁証法と教育思想 4 シュライアマハー教育学 5 シュライアマハー教育学の影響史 第4節 フレーベル教育学 1 フレーベルの思想史的位置づけ 2 遍歴・修行時代 3 カイルハウ学園と『人間の教育』 4 「恩物」と『母の歌と愛撫の歌』 5 キンダーガルテン設立運動と三月革命 補論2 ヨーロッパエリート中等教育機関の教育思想 1 イギリス:パブリック・スクール 2 フランス:リセ 3 ドイツ:ギムナージウム 補論3 近代高等教育機関の教育思想 1 イギリス:ロンドン大学 2 フランス:グラン・ゼコール 3 ドイツ:ベルリン大学
第V部 国民国家・資本主義の時代 19世紀中葉〜20世紀 概観
第8章 イギリスの教育思想 第1節 初期社会主義の教育思想 第2節 古典的自由主義の教育思想 第3節 ロマン主義的社会主義の教育思想 第4節 新教育運動の教育思想 1 社会主義と新教育運動 2 教育学の体系化と新教育 3 優生学・教育心理学と新教育 4 メリトクラシーと新教育
第9章 フランス語圏およびイタリアの教育思想 第1節 19世紀前半フランス社会における自由・平等と教育 1 ギゾー ―― 初等学校の組織化 2 トクヴィル ―― デモクラシーへの診断と教育 第2節 デュルケーム ―― 社会の所産・社会的事実としての教育 1 19世紀後半のフランスの社会と教育 2 デュルケームによる教育の定義 ―― 「方法的社会化」としての教育 3 教育科学の提唱 4 『道徳教育論』 ―― 学校での世俗的な道徳教育はいかにして可能か 5 『フランス教育思想史』 ―― フランス中等教育の発展と教養問題 第3節 新教育運動の教育思想 1 新教育概観 2 モンテッソーリの教育思想 3 ピアジェと新教育運動 4 ワロンと新教育運動
第10章 アメリカの教育思想 第1節 進歩主義教育運動の思想 1 革新主義期のアメリカという社会的背景 2 進歩主義教育の代表的実践とその思想 3 社会改造主義 第2節 デューイの教育思想 1 アメリカ社会とデューイ 2 シカゴ実験学校における学びの活動 3 教育の公共性と民主主義 4 リベラリズム批判と民主主義の教育 5 デューイの再評価 第3節 進歩主義教育批判の諸相 1 公的教育制度の整備とアメリカ社会の変動 2 革新主義期社会改革と新教育運動の交差としての進歩主義教育 3 主流化とそれへの対抗・批判としての教育思想 4 「進歩主義教育」の狭義と広義 5 20世紀アメリカにおける教育思想の諸類型 6 「エッセンシャリスト綱領」とバグリーの進歩主義批判 7 ハッチンズの進歩主義批判とデューイとの論争 8 デューイの進歩主義批判と進歩主義の衰退 補論4 アメリカ「児童研究」から教育心理学へ 1 「教育心理学」成立以前の心理学と教育 ―― 児童研究と児童研究運動 2 ソーンダイクと教育心理学の成立 3 第一次世界大戦と心理学研究の応用
第11章 ドイツの教育思想 第1節 19世紀前半の社会と教育 1 一般史的概観 2 教育史・教育思想史的概観 第2節 アードルフ・ディースターヴェークの教育思想 1 生涯 2 ディースターヴェークの教育思想 第3節 19世紀後半(ドイツ帝国期)の社会と教育思想 1 「近代の危機」と青少年問題 2 ケルシェンシュタイナーの補習学校改革 第4節 古典的陶冶・教養への批判と文化批判 1 人文主義ギムナージウム批判 2 マルクスの労働疎外論 3 ニーチェ「教養俗物」批判 4 文化批判と反近代 第5節 ドイツ青年運動 1 生活改革運動 2 ドイツ青年運動 3 マックス・ウェーバー『職業としての学問』 第6節 ドイツ新教育運動 1 20世紀前半のドイツ社会と新教育運動 2 「子ども神話」 3 「創造性」と芸術教育 4 「労作」と「共同体」 第7節 教育学の新たな展開 1 パウル・ナートルプの『社会教育学』(1899) 2 「精神科学的教育学」の成立と新教育運動 3 ディルタイの哲学と教育学 4 「精神科学的教育学」に共通する教育学的視座 5 「精神科学的教育学」を構成する根本問題 補論5 実験的教育学と精神科学的教育学 補論6 ナチズムと教育思想 1 問題としてのナチズム期の「教育思想」 2 ナチズム「教育学」のイデオローグ 3 ナチズムの教育政策 ―― 同調と抵抗
第12章 第二次世界大戦後の教育思想と教育学 第1節 戦後社会と教育思想 1 民主主義化と戦後教育 2 フランクフルト学派と教育思想・教育学 3 解放的教育学(批判的教育科学) 第2節 加速する近代化と教育思想・教育学 1 分析的教育哲学の成立と展開 2 「近代教育批判」という思想1 ―― ブルデューの「文化再生産論」 3 「近代教育批判」という思想2 ―― フーコーの権力批判 4 「近代教育批判」という思想3 ―― アリエスの心性史研究 5 「近代教育批判」という思想4 ―― イリイチの脱学校論
おわりに
人名索引 図版出典一覧 編者 / 執筆者紹介
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