現代中国の維権運動と国家
序 章 なぜいま維権運動なのか 第一節 問題の所在 第二節 研究の対象、研究動向 一 「維権」(権利擁護)行為の出現 / 二 中国の社会運動研究の文脈と最近の動向 / 三 集合行為に関する研究動向 第三節 問題意識と分析方法 一 研究対象と問題意識 / 二 分析枠組み / 三 資料、説明変数 第四節 本書の構成と結論 一 本書の構成 / 二 本書の結論
第一部 維権の現場 第一章 中国における消費者運動の台頭とマス・メディア ―― 「王海現象」を事例として ―― 第一節 はじめに 第二節 消費者運動の発展経緯と性質 一 消費者問題の浮上 / 二 消費者運動の発展経緯及び性質 / 三 消費者運動の変 化 / 四 マス・メディアの現状 第三節 「王海現象」に見るメディアと消費者運動 一 分析の枠組みと概念整理 / 二 「王海現象」の顚末 / 三 消費者維権運動 / 四 政治への影響 第四節 おわりに
第二章 都市部における所有権者たちの維権行為 ―― 深圳、北京、上海の事例を手がかりに ―― 第一節 はじめに 第二節 政府の住宅制度改革と不動産管理システム 一 政府の住宅制度改革 / 二 住宅不動産管理システムの普及と深圳市の先例 / 三 新たなアクター、新たな関係、三市の概況 / 四 住宅不動産をめぐる諸問題 第三節 維権の現場 一 意識から行動への「維権」 / 二 維権運動の諸要素と特徴 第四節 政治への影響 一 政策過程に対する影響力 / 二 政治秩序への影響 第五節 おわりに
第三章 タクシー業界における運転手たちの維権行為 ―― 政策提言からストライキまで ―― 第一節 はじめに 第二節 タクシー産業の概況、政府管理、問題点 一 発展概況 / 二 政府管理の方針、管理体制、規制内容 / 三 争議事件の争点 第三節 維権行為の構造 一 目標、対象 / 二 維権の方式、資源動員能力 / 三 ストライキ 第四節 政治への影響 一 政策過程への影響 / 二 政府側の対応 第五節 おわりに
第四章 労働者たちの維権行為 ―― 国有企業の従業員と農民工たちを中心に ―― 第一節 はじめに 第二節 市場経済化と激化する労使紛争 一 経済体制改革と労働市場の形成 / 二 新たな産業労働者 ―― 農民工の登場 / 三 労使関係の変化と多発する労働争議の内容 第三節 維権行為の構造 一 目標と対象 / 二 方法 / 三 資源の動員 / 四 維権行為の変化と課題 第四節 政治への影響 一 政策過程への影響 / 二 政治秩序への影響、制度内への吸収 第五節 おわりに
第五章 陳情制度をめぐる維権と安定維持の力学 ―― 西安整流変圧器工場の従業員たちの事例を手がかりに ―― 第一節 はじめに 第二節 利用者にとっての陳情制度 一 出発点、維権活動の全体像 / 二 陳情行為の変化 第三節 運用者にとっての陳情制度 一 運用側の対応 / 二 制度運用の特徴 第四節 陳情政治 一 維権の台頭、権利救済メカニズムの機能不全 / 二 陳情行政の実態 / 三 民と官の相克 第五節 おわりに
第二部 維権運動と国家 第六章 維権運動の構造と言説 第一節 はじめに 第二節 維権運動の生成条件 一 「維権元年」説 / 二 維権が提起された時代背景、必要条件 / 三 維権行為の発生 要因 第三節 維権運動の定義と政治への影響 一 維権行為の内容と様相 / 二 政策過程、政治秩序への影響 / 三 維権運動の定 義、構造、性質、特徴 / 四 包括的な社会運動としての維権運動 第四節 「維権」という言説 一 維権言説の中身と特徴 / 二 主流言説との共鳴 / 三 新たな言説を求める社会 第五節 おわりに
第七章 台頭する維権運動への国家の対応 第一節 はじめに 第二節 維権観をめぐる諸議論 一 社会側の維権観 / 二 体制側の維権モデルと維権観 / 三 維権観に見る国家と社 会の隔たり 第三節 「社会管理」の強化 一 社会管理の提起 / 二 法制化の両義性 / 三 行政幹部の問責強化 / 四 安定維 持体制の構築 / 五 組織資源に対する「分類控制」 第四節 おわりに
終 章 結論と今後の課題 第一節 既成事実としての維権運動 第二節 可能性としての維権運動 第三節 今後の課題
主要参考文献 初出一覧 あとがき 索 引
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