入門講義 キリスト教と政治

第1部 政治思想テクストとしての旧・新約聖書 第1章 旧約聖書における「共同性」 一 共同性というメッセージ / 二 旧約聖書における「啓示」 / 三 聖書の王制批判 / 四 「契約」が律するもの
第2章 新約聖書における「終末意識」 一 現世と相対化する「終末意識」 / 二 イスラエルの民におけるメシア / 三 イエスの言動の政治思想的意味 / 四 初代教会の成立と使徒パウロ / 五 終末論的日常性を生きる思想
第2部 古代地中海世界と教会 第3章 エウセビオス 一 宗教共同体としてのキリスト教会 / 二 アレクサンドリア学派と「霊肉二元論」 / 三 ニケーア公会議と三位一体論争 / 四 三位一体とキリスト教神学 / 五 エウセビオスによる帝政の正当化 / 六 エウセビオス批判と歴史理解
第4章 アウグスティヌス 一 その生涯 / 二 教会を確立する教父 / 三 時間の客観主義 / 四 政治思想のメタ理論――歴史哲学 / 五 罪の矯正装置としての政治 / 六 政治共同体と終末を目指す信仰共同体
第3部 中世教会史と政治 第5章 キリスト教帝国としての中世西欧世界 一 教皇ゲラシウス一世の書簡 / 二 ゲラシウス理論の意義 / 三 フランク王国の台頭 / 四 「西ローマ帝国の再生」とその意味 / 五 中世皇帝権の確立とその問題 / 六 帝国教会政策の意義と問題
第6章 グレゴリウス改革 一 問題設定と戦術 / 二 叙任権闘争のはじまり / 三 叙任権闘争の終結 ―― ヴォルムス協約とシャルトル学派の貢献 / 四 叙任権闘争の内実 / 五 教会と国家の区別 / 六 世俗権力への介入の正当化 / 七 封建制度の再整備へ / 八 「霊の自由」と「教会の自由」
第7章 中世盛期 一 「ポスト・グレゴリウス改革期」における一二世紀ルネサンス / 二 フライジングのオットーとシトー派修道会の政治思想 / 三 オットーの両剣論 / 四 オットーの歴史観 / 五 「中世の夏」と思想の課題 / 六 トマス・アクィナスの思想、その概観 / 七 トマスの人間観と共同体観 / 八 二つの支配服従関係 / 九 トマスの国家観 / 一〇 トマスの政治思想をどう評価するか
第8章 中世後期 一 フィリップ四世 対 ボニファティウス八世 / 二 ナショナルなるものの台頭 / 三 アヴィニョン期の教皇と政治 / 四 パドゥアのマルシリウス / 五 中世の政治思想、その総括
第4部 宗教改革と「終末意識」の再生 第9章 ルター 一 ドイツの人文主義者とルターの登場 / 二 僧院のルターと『九五カ条の意見書』 / 三 福音主義=信仰義認説+聖書主義 / 四 「宗教の非政治化」と「政治の非宗教化」 / 五 ルターの思想と家父長主義 / 六 律法と福音 / 七 ルターの教会観
第10章 カルヴァン 一 古典研究から「突然の回心」へ / 二 初期福音主義神学の問題 / 三 「聖化」から「義認」へ / 四 「福音」から「律法」へ / 五 自律的なプロテスタント教会の形成へ / 六 ユグノー戦争の思想的背景 / 七 「主権」への希求 / 八 宗教改革期における「終末意識」復興とその政治思想的帰結
第5部 近現代の教会と国家 第11章 プロテスタンティズムと敬虔主義 一 教派の「棲み分け」と教理の体系化 / 二 ドイツ・プロテスタンティズムの歩みと敬虔主義 / 三 シュライエルマッハーと「絶対依存の感情」 / 四 カント哲学とキリスト教
第12章 現代ドイツにおける神学と政治 一 ナチスに抵抗する神学者、カール・バルト / 二 「総力戦」と教会への批判 / 三 「バルメン宣言」 ―― ナチス・ドイツへの不服従 / 四 「キリスト論的集中」と後期バルト / 五 「終末意識」の再構築 / 六 「赤い神学者」と戦後世代
第13章 近代アングロ・サクソン世界と宗教共同体 一 英国国教会の成立 / 二 ピューリタニズムとイングランドの政治思想 / 三 アメリカの政治文化における「離脱への傾向性」 / 四 「道徳的共同体」としてのアメリカン・コミュニティ
第14章 現代アメリカ政治とキリスト教の新潮流 一 ニーバーとモラリズムの相対化 / 二 罪をめぐる相対的視点 / 三 ニーバーとベトナム戦争 / 四 アメリカ福音派と終末意識 / 五 福音派の政治的目覚め / 六 宗教と政治的メッセージ ―― むすびにかえて
主要参考文献 あとがき 索 引
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