戦略史としてのアジア冷戦
序 論 赤木完爾・今野茂充
第一部 アメリカの対外戦略とアジア冷戦
第一章 トルーマン政権期における「冷戦戦略」の形成とアジア冷戦の始まり ――対ソ脅威認識を中心に 李 錫敏 はじめに 一 ローズヴェルトの戦後構想とアジア政策 二 トルーマン政権による戦後構想の継承と失敗――対ソ脅威認識の形成 三 ヨーロッパ政策とアジア政策の相違――ソ連の脅威の有無、あるいは程度の差 四 「原点」への回帰の試み、そして失敗――「大戦略」と「冷戦戦略」の同一化 おわりに
第二章 アイゼンハワー政権移行期の東南アジア政策 ──PSB D-二三の形成と変容、一九五二〜一九五三年 狩野直樹 はじめに 一 心理戦略──定義と組織 二 トルーマン政権の東南アジア政策 三 PSB D-二三の形成と変容 四 タイにおける心理戦 五 アイゼンハワー政権の東南アジア政策の形成 おわりに
第三章 大量報復戦略下の東アジア 赤木完爾 はじめに 一 ニュールックの戦略態勢 二 核兵器使用のコントロール 三 朝鮮半島、インドシナ、台湾海峡 おわりに
第二部 アジア冷戦形成期の朝鮮半島と日本
第四章 米軍の南朝鮮進駐――間接統治から直接統治へ 小此木政夫 はじめに 一 ホッジ司令官の懸念 二 敵国領土の間接統治 三 進駐軍が直面した難問 四 直接統治――日本からの分離 おわりに
第五章 朝鮮戦争における対立構造の起源――満洲における治安戦との連続性 平野龍二 はじめに 一 三八度線を挟んだ二つの「軍隊」の創設 二 満州国軍の創設と育成 三 共産主義の浸透と満州における治安戦 四 第二次世界大戦後の満州とアメリカの東アジア政策 おわりに
第六章 戦後日本の防衛政策(一九五一〜一九五二年)――「Y委員会」を中心として 石田京吾 はじめに 一 海上警備隊発足前夜――朝鮮戦争と日本の海上防衛力 二 アメリカの対日期待 三 海上防衛力の創設に向けて 四 戦後日本の海上防衛力と「Y委員会」 おわりに
第三部 アジア冷戦を俯瞰する
第七章 東アジアにおける冷戦とアメリカの大戦略 ――オフショア・バランシング論の観点から 今野茂充 はじめに 一 大戦略の理論 二 オフショア・バランサーとしてのアメリカ 三 アメリカの戦略的行動――トルーマン政権からニクソン政権まで おわりに
第八章 歴史・戦略・道徳――正戦論の視座からの批判的検討 眞嶋俊造 はじめに 一 方法論としての「歴史から学ぶ」ということ 二 理論としての戦略と道徳 三 ヴェトナム戦争――冷戦期アジアにおけるアメリカの戦略 四 ヴェトナム戦争から学ぶこと 五 正戦論と戦略 六 正戦論の適用――ヴェトナム戦争 おわりに
あとがき 索 引 執筆者紹介
|