ネット選挙が変える政治と社会
― 日米韓に見る新たな「公共圏」の姿

序 「ネット選挙解禁」は何を生むのか ――「公共圏」としてのインターネットか「選挙のアメリカ化」か
第1章 ネット選挙解禁で何ができるようになるのか ――2013年公職選挙法の一部改正で変わる日本の選挙運動 清原聖子 1 はじめに 2 日本におけるネット選挙解禁の背景――2012年までを振り返る 3 日米韓における選挙管理委員会の役割とネット選挙 4 2013年公職選挙法の一部改正 ――「できるようになったこと」と「できないこと」 5 おわりに
第2章 進化するネット選挙戦略 ――2012年アメリカ大統領選挙戦を読み解く 清原聖子 1 はじめに 2 連邦選挙資金規正法とネット選挙に対する“規制”の考え方 3 有権者はどのメディアから2012年大統領選挙情報を取得したのか 4 ツイッターとスマートフォンの普及をベースにした新しいネット選挙戦略 5 おわりに
第3章 「下からの起爆剤」か「上からのコントロール」か ――変貌するアメリカ大統領選挙のソーシャルメディア利用 前嶋 和弘 1 はじめに 2 2008年の「革命」 ――「下からの改革の起爆剤」としてのソーシャルメディア 3 2012年大統領選挙――ソーシャルメディアの利用増とオバマの圧倒 4 「上からのコントロールの道具」としてのソーシャルメディア 5 むすびにかえて――アメリカから見た日本の「ネット選挙」導入
第4章 ネット選挙が変える有権者の政治参加 ――2012年韓国大統領選挙に見る市民ネットワーク型政治参加 高 選 圭 1 はじめに 2 有権者の情報発信メディアとしてのネットの進化 3 2012年韓国大統領選挙とネット選挙運動 4 ネット選挙と投票参加 5 ネット選挙と市民ネットワーク型政治への変化 6 まとめ
第5章 若者の政治参加とSNS選挙戦略の世代別効果 ――2012年韓国大統領選挙におけるリベラルの敗北 李 洪 千 1 はじめに 2 インターネットの影響に関する諸議論 3 ソーシャルメディア選挙運動解禁と選挙環境の変化 4 政治的不満と支持率 5 保守系政党のインターネット選挙戦略 6 インターネット空間における保守層の増加 7 メディア利用の変化 8 2012年の選挙におけるソーシャルメディア選挙運動戦略 9 おわりに
第6章 マスメディアよりも「中立」な日本のネットニュース ――2012年衆議院議員選挙時のニュース利用における党派的バイアス認知 小林 哲郎 1 はじめに 2 敵対的メディア認知の妥当性 3 党派的な選択的接触とその限定性 4 日本のメディア環境における選択的接触と敵対的メディア認知 5 調査概要 6 党派的バイアス認知の測定と記述統計 7 党派的バイアス認知の規定因 8 党派的バイアス認知の方向性――敵対的メディア認知か選択的接触か 9 1993年CNEP調査との比較 10 なぜ、党派的な選択的接触が生じにくいのか 11 考察
第7章 ケータイの進化とSNSの普及が変えたコミュニケーションのあり方 ――ネット選挙に与えるインパクト 清水 憲人 1 携帯電話の登場と普及――高価な電話機から1人1台の情報端末に 2 iPhoneの大ヒットと「スマートフォン」がもたらしたパラダイム・シフト 3 フェイスブックの急成長と失速 4 ソーシャルメディアの課題 5 まとめ
第8章 鼎談 2013年参院選に見るネット選挙運動の将来 清原 聖子・前嶋 和弘・李 洪 千 1 参院選でのネット選挙運動をどう評価するか? 2013年公職選挙法改正の意味/投票率の低さをどう解釈するか?/ 政党間の明暗/有権者は変われるか?/政党−候補者関係の変容 2 「ネット選挙」解禁がもたらすのは「選挙のアメリカ化か「新たな公共圏」創出か? 有権者はなぜ受け身に回ったか?/日本人は「冷めている」のか?/「選挙のア メリカ化」か「公共圏」か?/ネットによる亀裂の増幅/カギを握るのは誰か?/ 少数者にとってのネット選挙/メディアとサウンドバイト/マスメディアの役割/ インターネットと既存メディアの相互補完/選挙報道の公平性とは?/マスメデ ィアを補完するインターネット/市民組識と政治文化/「公共圏」創出への道筋 3 日本の「ネット選挙」の行方 技術革新が支える「ネット選挙」/選挙期間の廃止/収支の透明化と小口献金/ 未成年者の政治運動/戸別訪問/選挙教育
索 引
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