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目次
崩壊の経験
四六判/上製/592頁
初版年月日:2013/10/31
ISBN:
978-4-7664-2061-6
 
(4-7664-2061-6)
Cコード:C3010
税込価格:5,720円
崩壊の経験
現代ドイツ政治思想講義

目次

 序論
  1 知的世界の変貌
  2 市民性の崩壊 (1) ――経験の貧困化
  3 市民性の崩壊 (2) ――モデルネの意識
  4 溶解の時代、とくに政治の拡散
  5 本書の叙述形式

第一部 市民層の社会意識――現代思想の前提
 第一章 「資本主義の精神」とルター派
  1 ウェーバーにおける「問題の所在」
  2 カルヴァン派、ルター派、カソリック
  3 「資本主義の精神」――過渡期の精神
  (1) 「世俗内的禁欲」の外的継承
  (2) 宗教的脈絡から経済的脈絡へ
  (3) 倫理の内容としての営利追求
  4 近代的個人と職業義務の観念、ルター派
  (1) 近代的個人主義の誕生
  (2) 「職業義務」の観念
  5 ルター派の「エートス」とドイツ
  (1) ルターと伝統主義
  (2) エートスとしてのルター派の特徴

 第二章 「文明化」と「文化」――市民層と貴族
  1 「文明化」と「文化」の概念
  2 「文明化」と「文化」の社会的基礎
  3 宮廷社会と大学
  4 社会的対立から国民的対立へ

 第三章 市民層の社交形式
  1 市民的社交の場としてのカフェ
  2 サロンの隆盛と衰退
  3 社交形式としての結社

 第四章 一九世紀ドイツにおけるブルジョアジーの思想
  1 一九世紀のブルジョアジーと都市の改造
  2 ショースキーの「ウィーン都市改造」論
  3 市民層と百貨店――ベンヤミンの視点から
  4 アレントのブルジョアジー論

 第五章 保守主義とロマン主義
  1 近代批判の思想としてのロマン主義と保守主義
  (1) ロマン主義の非政治的性格
  (2) 〈近代〉への対応としての保守主義とロマン主義
  (3) 後発国の自己主張としてのロマン主義
  (4) 過渡期の現象としてのロマン主義
  2 保守主義とロマン主義の成立
  3 ロマン主義の思考様式
  4 ロマン主義的「個性」の両義性
  5 ロマン主義の影響と意義
  6 世紀転換期以降の保守主義とロマン主義

第二部 〈崩壊〉の始まり――世紀転換期から一九二〇年代へ
 第六章 「文明化」の挫折とウェーバーの宗教社会学
  1 エリアスの「文明化の挫折」論
  (1) 市民階級の挫折と敗北
  (2) 戦士貴族の伝統
  (3) 戦士貴族と学生組合
  2 ウェーバーのドイツ「政治文化」批判の一断面
  (1) 選挙法と民主主義
  (2) 「貴族主義」の育成
  (3) 「精神の貴族主義」と学生組合
  3 ウェーバーにおける宗教社会学と政治
  (1) 市民層と「貴族主義」
  (2) 「貴族主義」と「内面的距離」
  (3) 「政治家」の資質
  (4) カルヴィニズムと「内面的距離」
  (5) 職業人と「鉄の檻」

 第七章 社会の多様化――市民層の解体と大衆の成立
  1 社会の多様性の増大と一体性の崩壊
  2 新しい人間像を求めて
  3 大衆の誕生と一九二〇年代
  4 ワイマール共和国期の諸政党と市民層
  5 ティリッヒの「動態的大衆」論
  6 クラカウアーのサラリーマン論
  7 ユンガーの〈労働人〉論
  8 「ブント」と「有機的構成態」

 第八章 モダニズムの展開と社会的基礎
  1 ボードレールの「モデルニテ(現代)」論
  (1) 「現代生活」の「新しさ」
  (2) 「意のままに再び見出された幼年期」
  2 「現代性(モデルネ)」の基盤としての大都会
  3 ジンメルにおける〈流行とモデルネの社会学〉
  (1) ジンメルの方法
  (2) 「ベルリン勧業博覧会」と「モデルネ」の意識
  (3) 流行現象と「モデルネ」の意識
  4 ジンメルにおける〈印象主義と表現主義〉
 
 第九章 生と形式――経験の貧困化と大都市の精神状況
  1 生と形式――日本とドイツ
  2 ベンヤミンと経験の貧困化
  (1) ワイマール共和国の成立
  (2) 「経験の貧困化」
  (3) 経験の解体とワイマール期の精神状況
  (4) 状況化的思考の誕生
  3 ベルリンにおける「ゼロ状況」――カネッティのベルリン体験
  4 ジンメルと大都市の精神

 第一〇章 ダダイズムから新即物主義の時代へ
  1 諸領域の自律化論
  2 「思想」?としてのダダイズム
  3 ダダイズムと同時代
  4 「新即物主義」の〈新しさ〉
  5 精神史における〈一九二四年〉
  6 エルンスト・トラー『どっこい、おいらは生きている』
  7 芸術史における新しい現実
  8 ルポルタージュの方法

第三部 〈崩壊〉の経験――ワイマール時代の「政治思想」
 第一一章 〈ポスト・ロマン主義の世界〉と市民層――マン、ウェーバー、シュミット
  1 作家の「思想」
  2 作家の「良心」
  3 マンと「共感」
  4 マンの方法と戦争論
  5 ウェーバーの「学問」論――「知的誠実」の道
  6 「明晰性」への奉仕と人格的決断
  7 シュミットの歴史哲学――「中立化」の追求と技術の時代
  8 シュミットのロマン主義批判(1)――「機会=原因論」的精神構造
  9 シュミットのロマン主義批判(2)――「イロニー」と政治

 第一二章 ワイマール期の世代対立
  1 〈一八九〇年代の世代〉と〈一九二〇年代の世代〉
    ――「社会的モデルネ」から「美的・文化的モデルネ」への転換
  2 媒介者ジンメル
  3 ルカーチのジンメル論
  4 アドルノのジンメル論
  5 〈一九二〇年代の世代〉と〈一九三〇年代の世代〉
  (1) クラカウアーと「待っている人びと」
  (2) ノートの「戦後世代」(〈一九三〇年代の世代〉)論
  6 〈一九三〇年代の世代〉の意識状況(1)
    ――学生グスタフ・ホッケの「当惑」を中心として
  7 〈一九三〇年代の世代〉の意識状況(2)
    ――ズーアカンプの「戦後世代」論

 第一三章 政治思想の諸類型――現実像との関連
  1 シュミットの「政治的なもの」の概念――制度的現実と具体的現実
  (1) 政治領域の独自性
  (2) 「政治的なもの」の発生
  2 現実イメージの社会学――マンハイムの「知識社会学」
  (1) 現実的概念の多義性
  (2) マンハイムの〈方法〉
  3 政治思想の諸類型とその現実像
  (1) 市民的自由主義の現実像
  (2) 近代保守主義の現実像
  (3) 社会主義の現実像
  (4) 「ファシズム」の現実像
  4 「ファシズム」における歴史意識の崩壊
  5 「市民的自由主義」の溶解と「ファシズム」への接近

 第一四章 「複製論」とメディアの世界
  1 ベンヤミンの方法
  2 密室性と室内――民衆性と接する場所
  3 複製技術と芸術作品
  (1) 活字の世界
  (2) ベンヤミンの「複製論」
  4 複製芸術と近代人批判
  5 複製技術の時代におけるメディアと政治

 第一五章 政治イメージの両極化――政治の「点化」と「溶解」
  1 シュミットの方法論と点化的思考様式
  (1) シュミットの方法論
  (2) シュミットのロマン主義論
  (3) 法学的思考における「点化」的思考様式
  2 シュミットの価値哲学論と攻撃点
  (1) シュミットの方法
  (2) 価値哲学をめぐって
  (3) ウェーバーと「攻撃点」
  3 シュミット理論における政治の溶解
  4 ツェーラーにおける政治の溶解
  5 「表現主義論争」にみられる政治の溶解の問題
  (1) 表現主義と政治
  (2) ルカーチの表現主義批判とブロッホ
  6 ワイマール時代における〈カオスとしての現実像〉

 第一六章 ワイマール時代における「保守」と「革命」
  1 「保守的革命」の希求――トレルチ、マン、ホフマンスタール
  (1) エルンスト・トレルチとトーマス・マン
  (2) ホフマンスタールの「保守革命論」
  2 マンハイムにおける「保守」と「革命」
  3 「原初的保守主義」――ユストゥス・メーザーの思想
  4 ロマン主義的保守主義の形成過程
  (1) 近代保守主義成立期の社会学的状況
  (2) アダム・ミュラーの思想
  (3) ロマン主義、ヘーゲル、マルクス主義

 第一七章 保守革命論とナチス
  1 ナチズムの思想?
  2 保守革命派とは?
  3 社会的勢力としての保守革命派
  4 ナショナルボルシェヴィズム、ナチス、共産主義運動
  5 保守革命派の命運(1) ―― エルンスト・ユンガー
  6 保守革命派の命運(2) ―― ハンス・ツェーラー
  7 保守革命派の命運(3) ―― 「ナチス左派」

 第一八章 ティリッヒの政治思想とナチ、保守革命
  1 溶解からの離脱と拠点の模索
  2 政治思想としての「根源」の概念
  3 ティリッヒ理論と保守革命
  4 ティリッヒの『社会主義的決断』の思想史的意味

 第一九章 「真剣さ」の時代――シュトラウスとシュミットの「ニヒリズム」論
  1 ナチズムと「真剣さ」の時代
  2 シュトラウスとニヒリズムの革命
  3 〈真面目〉路線の分裂と社会
  4 ホッブスとシュミット――シュトラウスのシュミット論
  5 〈真剣さ〉の思想――シュミットとシュトラウス
  6 「真剣さの世界」と「興味深い世界」――シュミット理論の問題点

第四部 〈崩壊〉のあと――おわりに
 第二〇章 教養と経験――レーヴィットとアドルノの「始まりの意識」
  1 レーヴィットの生涯
  2 ヘーゲル哲学における思考の前提
  3 主体的に受動的であること
  4 ヘーゲルの「教養」論
  5 自己の忘却から超越へ
  6 アドルノの方法意識と媒介
  (1) 思想内容と経験内容
  (2) アドルノの直接性批判の方法
  (3) 認識の社会的次元
  7 精神的形成物の堕落形態と経験の概念

 第二一章 文化産業とテクノロジーの支配――アドルノとアンダース
  1 「文化産業」の時代
  2 文化産業と技術的合理化
  3 アンダースの世代
  4 テクノロジーと快適さの追求
  5 「液状化」と「点的存在」
  6 等価性の世界

後書き

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