魔法使いの国の掟
リオデジャネイロの詩と時

序 リオデジャネイロに降る雪
第1章 魔法使いの国の掟 マヌエル・バンデイラと幼年時代 T 至福の時は忘却のなかからよみがえる U 詩人たちは意のままに幼年時代を見出そうとする V 詩は魔法を言葉によって失い言葉によって取り戻す W もっとも偉大な魔法使いはみずからをも欺く魔法使いである
楽園の日常
第2章 儚いものと永遠のもの セシーリア・メイレーリスと過ぎ去る女 T 絶えず逃げ去ろうとするものが永遠と出会う U 詩は一瞬を永遠のものにすることができる V 儚く失われるものが美しいものとして現れる W 過ぎ去ることが永遠に留まることでもある
美しい季節の終わりの花嫁
第3章 前夜祭の予感 ヴィニシウスとカーニヴァル T 祭りのなかで悲しみとよろこびはひとつである U 祭りの直中にあるときそれについて語ることはできない V 祭りの日々とは祭りに先立つ日々である W 祭りを待ち望むよろこびが悲しみのなかで語る
愛はそれが続いているあいだは永遠である
第4章 言葉と幽霊 マヌエル・バンデイラと憑依 T あらゆる作家はみずからの幽霊作家である U 死を想う者は生きながらすでに幽霊として存在する V 言葉を知らない者はまた死をも知らない W 生とは未来の亡霊としてみずからに憑依することである
カーニヴァルの遠い響き
第5章 見出されぬ時 ドゥルモンと無意志的記憶 T おまえひとりは生き存えてこの物語を語り伝えよ U 証言することができない者が真の証人である V すべてが廃墟となったあとに記憶という建物が残る W 途方もない惨劇の証言となるのは証言の不在である
コパカバーナ海岸の緩やかな弧
第6章 人魚姫の叶わぬ恋 セシーリア・メイレーリスと沈黙 T 声を失った人魚姫は海の泡となって消える U 語り伝えられないことがもっとも重い悲劇である V 純粋な悲劇ほど証人を持つ可能性は小さくなる W 言われた言葉や開かれた言葉は空気のうえの空気でしかない
最初で最後のまなざしで落ちる恋
結 失われた幸福な結末を求めて 註 謝辞
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