東アジアのロシア

総 論 横手慎二
第1部 冷戦後のロシアの対外関係
第1章 ロシアと東アジア ―歴史的背景 横手慎二 はじめに 一 領土・国境問題 1 ロシアと中国 2 ロシアとモンゴル 3 ロシアと日本 二 同盟と敵対 1 1917年革命前までのロシアの同盟関係 2 ロシア革命から第二次大戦までの同盟関係 3 第二次大戦以降の同盟関係 三 イデオロギー対立 1 アメリカとのイデオロギー対立 2 中国とのイデオロギー対立 結 び
第2章 ロシアの対米・対NATO関係 松井弘明 はじめに 一 エリツィン政権下の対米外交 1 蜜月時代(1992?94年) 2 モラトリアム時代(1994?95年) 3 対立の顕在化(1996?99年) 二 プーチン政権の対米政策 1 プーチン政権前期の対米外交― 一極支配反対 (1) アメリカ本土ミサイル防衛(NMD)構想反対網の形成 (2) ロシアの影響力拡大 2 プーチン政権後期の対米外交― 反テロ親米への転換 (1) アメリカの対アフガニスタン作戦への全面的協力 (2) ミサイル防衛・ABM問題への対応 三 ロシアの対NATO政策 1 エリツィン政権下の対NATO政策 (1) 平和のためのパートナーシップ(PFP)協定調印まで (2) ロシア・NATO基本文書に至るロシア=NATO関係 (3) コソヴォ危機をめぐるロシア=NATO関係 2 プーチン政権下のロシア=NATO関係 (1) 9.11テロ事件以前 (2) 9.11テロ事件以後 おわりに
第3章 ロシアの対中国外交 ―「チャイナ・シンドローム」を越えて 岩下明裕 一 「シンドローム」の深層 1 ロシア人の対中国感 2 対中外交の出発点 二 国境問題の方程式 1 信頼醸成措置 2 領土と移民のリンケージ 3 将来への不安 三 戦略問題の方程式 1 「帝国」の重圧 2 「多極化世界」のロマンと現実 3 一致のなかの矛盾 4 対立のなかの協調 四 「シンドローム」の向こう側 1 「戦略的三角パートナーシップ」の現実 2 方程式の解 3 中露関係にとっての「9.11」
第4章 ロシアの再興と朝鮮半島 中野潤三 はじめに 一 朝鮮半島政策の指針 二 ロシア?韓国関係 1 露韓関係の総括と展望 2 露韓経済協力 3 借款償還問題と露韓軍事協力 三 ロシア?北朝鮮関係 1 露朝関係の総括と展望 2 露朝経済協力 3 露朝軍事協力と核開発問題 おわりに
第5章 ロシアの対中央アジア外交 角田安正 はじめに 一 ロシアの国境政策 二 ロシア・タジキスタン関係 三 カザフスタンの外交 1 ロシアとの相互依存関係 2 多角的アプローチ 3 CIS域内のブロック化現象 四 ウズベキスタンの外交 1 ウズベキスタンとその周辺諸国との関係 (1) 周辺諸国との関係の概略 (2) ロシアとの関係 (3) 中央アジア諸国との関係 2 集団安全保障条約からの脱退 3 イスラム過激派対策 五 天然資源の開発 1 天然資源産出国に対するロシアの圧力 2 トルクメニスタンの天然ガス 3 カザフスタンの石油 4 ロシア・エネルギー産業の動向 5 カスピ海の法的地位 六 プーチン大統領登場以後のロシア・中央アジア関係 1 集団安保条約の活性化 2 独自路線を走るウズベキスタン 3 9.11テロ以降の状況 まとめ
第6章 ロシアの対日外交 ―領土交渉を中心に 小澤治子 はじめに 一 ゴルバチョフ政権とソ連の対日外交 1 ペレストロイカと日ソ関係 (1) アジア太平洋参加の意思表明 (2) 日ソ外相定期協議 (3) 領土問題をめぐるソ連改革派の発言 2 ゴルバチョフ訪日と領土問題 (1) ゴルバチョフ政権の危機 (2) 日ソ共同声明 二 エリツィン政権とロシアの対日外交 1 ソ連解体と日露関係 (1) 関係構築の模索 (2) エリツィン大統領訪日延期 (3) 東京宣言 2 多極化外交と日露関係 (1) プリマコフの外相就任 (2) 日本政府の対ロシア姿勢??「重層的アプローチ」に転換 (3) 日露非公式首脳会談@??クラスノヤルスク合意 (4) 日露非公式首脳会談A??川奈提案 (5) モスクワ宣言 (6) アジア太平洋への参加に一歩 三 プーチン政権とロシアの対日外交 1 森政権期の日露関係 (1) プーチン政権誕生 (2) プーチン大統領公式訪日 (3) 四島一括返還論と段階的解決論 (4) 56年共同宣言をめぐるロシアの立場 (5) イルクーツク声明 2 小泉政権誕生後の日露関係 (1) 日露関係の停滞 (2) 同時多発テロ事件と日露関係 (3) 日露行動計画 おわりに
第2部 変貌する国内環境
第7章 ロシアにおける政軍関係 ―ロシア軍の内政的源泉 下斗米伸夫 はじめに―「赤軍」、ソ連軍からロシア軍へ 一 改革のなかの政軍関係 二 ロシア期の政治と軍 三 プーチン政権と軍 おわりに
第8章 ロシアの対外政策の国内的要因 ―北東アジア諸国を中心にして ドミトリー・V・ストレリツォフ はじめに 一 大統領の役割 1 憲法上の規定 2 大統領の政策決定に対する影響要因 二 政府の役割 1 政府全体の役割 2 外務省の役割 3 武力担当省庁の影響力 4 安全保障会議 三 国家会議(下院)と連邦会議(上院)の役割 四 学術・研究機関の役割 五 経済界の役割 六 世論の役割 結 び
第9章 東アジア諸国とロシアの経済関係 ―問題と傾向 ワレリー・キスタノフ はじめに 一 対外経済関係の概要 1 対外経済の条件 2 ロシア領極東とザバイカル地方の全般的傾向 3 東アジアとの経済協力 二 日本とロシアの経済関係 1 貿易指標 2 問題点 3 対策と展望 三 日本以外の東アジア諸国との経済関係 1 中国 2 北朝鮮と韓国 3 台湾 4 モンゴル人民共和国 5 ASEAN 結 び
第10章 ロシアのエネルギー資源と外交 杉本 侃
はじめに―本章を執筆するに当たって 一 ロシアのエネルギー資源 1 ロシアの資源の位置づけ (1) エネルギー資源の埋蔵量 (2) 世界におけるロシアのエネルギー資源 (3) CO2排出権取得におけるロシアの位置付け 2 国内経済における資源の重要性 (1) 国内経済に果たすエネルギーの役割 (2) 最大の外貨獲得源 二 ロシアの長期エネルギー戦略 1 エネルギー産業の動向と現状 (1) エネルギー生産の推移 (2) エネルギーの輸出動向 2 ロシアの長期エネルギー政策 (1) エネルギー生産見通し (2) エネルギーの輸出見通し 3 エネルギー戦略の実現に向けた課題 (1) 投資環境の整備 (2) 埋蔵量の減少 (3) 開発の経済性低下 三 ロシアの対外経済政策 1 経済外交の特色 2 海外におけるロシアの経済活動 (1) 欧州とのエネルギー協力 (2) ロシア企業による海外での事業展開の事例 四 ロシアのエネルギー外交に影響を及ぼす外的要因 1 中東情勢の見通しと代替供給源の可能性 (1) 2003年のイラク戦争とその影響 (2) 代替供給源の見通し 2 アメリカのエネルギー政策と緊密化する米露協力―アメリカのエネルギー事情 3 カスピ海と中央アジアのエネルギー資源 (1) カスピ海周辺のエネルギー資源の賦存状況と生産・輸出の見通し (2) パイプラインの力学 (3) カスピ海の領有問題と資源分割 (4) ロシアと他のNISとの関係 五 アジア太平洋圏とのエネルギー協力 1 日本のエネルギー情勢とロシアとの揚力 (1) 日本のエネルギー事情 (2) サハリン海洋プロジェクトの実現 (3) シベリアからの石油・天然ガス輸入問題 2 中国へのエネルギー供給計画 (1) 原油パイプライン敷設計画の見通し (2) 天然ガス供給構想の実現性 おわりに
第11章 日露韓のイメージ・ギャップ 井手康仁 セルゲイ・E・タルノフスキー 一 これまでの研究 1 日露交流史のアプローチ 2 比較政治のアプローチ 3 戦略研究のアプローチ 4 政治社会学のアプローチ 二 日本からみたロシア 1 日本の世論の全体的傾向 2 現在の対露世論を支えるイメージ (1) 「後進国イメージ」「トラブルメーカー・イメージ」 (2) 「膨張イメージ」と「軍事的脅威イメージ」 (3) 「共産主義国家イメージ」「革命国家イメージ」 (4) 「無法者国家イメージ」「無秩序国家イメージ」 3 ステレオタイプの可能性 三 ロシアからみた日本イメージ 1 ロシアの対日イメージ研究の全体的傾向 2 現在の対日世論を支えるイメージ (1) 「文明国イメージ」「地域パワー・イメージ」 (2) 「重要な外交相手国イメージ」「経済的協力者イメージ」 (3) 「帝国イメージ」「汚職国家イメージ」 3 ロシアの対日イメージのまとめ 四 むすび
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