No.1246(2020年7月号)
特集
No.1246(2020年7月号)
特集
三田評論
2020年7月号表紙
コロナ禍で炙り出された「弱者」たちの実態がとりあげられている。筆者も絵に描いたような「交通弱者」であるが、特集「人口減少社会のモビリティ」では、主に地方を中心に捉えた移動や交通の問題点と取り組みが紹介され、他人ごととは思えない切実感、切迫感があった。筆者が住む東京武蔵野市を走る「ムーバス」に乗っただけで、一瞬にして現代日本の高齢者と児童たちの縮図が得られるからである。特別座談会は「コロナ報道」を多角的に論じ、マスメディアとソーシャルメディアに日々振り回されている自称「情報通」で実は「情報弱者」である私たちの危うさを浮き彫りにする。忘れてはいけないのが「時の話題 コロナ禍と芸術」に聴かれるオーケストラ、美術館、ミニシアター関係の「芸術弱者」たちからの声。この声は遠く深い場所からやってきて、「丘の上」の古関裕而「早慶讃歌」(池井優)、「社中交歓」の4台のピアノの調べに見事に唱和している。
鷲見洋一
日本は人口減少の局面に入り、とりわけ地方公共交通が危機を迎えています。マイカーでの移動が困難な、高齢者などのいわゆる“交通弱者”の方の移動(モビリティ)をどのようにしていくか。ライドシェア、自動運転、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)など新しい技術や枠組みの可能性を探るとともに「コロナ後」の移動についても展望します。
ウイルスという見えないものと戦わなければならないコロナ危機。そこには科学的な知見に基づくリスクをどのように伝えるかという課題が生じます。この3か月あまりの間、報道そしてSNSなどの世論はどのようにこのコロナ危機を伝えていたのか。フェイクニュースも交じり合う時代のメディア状況について、気鋭のメディア学者たちが語り合います。
平田麻莉さん
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事
インタビュアー:花田光世(慶應義塾大学名誉教授)
人生百年時代、女性活躍社会と広く言われるなか、特定の組織に属さない働き方「フリーランス」についても注目が集まっています。「フリーランス協会」を立ち上げ、自らもそのような働き方をしつつ、フリーランスの働き方を支援し、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を受賞された平田さん。そのチャレンジ精神溢れる生き方について語っていただきました。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。