日独冷戦秘史
東独機密文書が語る歴史の真実

プロローグ 大物スパイの日本潜入
第1章 なぜ日本だったのか――東西冷戦の裏舞台 1.東西陣営がせめぎ合う日本/2.独裁政党が決める対日政策/3.日本を舞台とした西独との攻防
第2章 国家承認への渇望――社会党工作の失敗 1.自民党との遠い距離/2.東独の「同志」となった日本社会党/3.国家承認への渇望/4.立ちはだかる日本政府の壁/5.阻まれた訪日団/6.社会党工作の失敗
第3章 歴史に消えたカリ貿易――不正で始まった東独ビジネス 1.スターリン体制下の対日輸出/2.日綿實業との直接取引/3.河野農相と農林官僚の介入/4.灰色決着と全購連汚職
第4章 東独・日本経済委員会の発足――政冷経熱の60年代 1.成長モデルは日本/2.東京五輪での情報収集/3.「東独・日本経済委員会」の発足
第5章 自民党と手を結べ――東西デタントと国交樹立 1.東西デタントと「2つのドイツ」/2.ハンス・モドロウの登場/3.駐日ソ連大使のアドバイス/4.赤坂ヒルトンでの密談/5.2人の政治家と対日政策/6.国交正常化交渉
第6章 最高権力者を送り込め――帝国主義陣営への橋頭堡 1.東独の「水先案内人」となった鍋島直紹/2.国家元首を日本に招いた河野謙三/3.大物政治局員ギュンター・ミッタークの登板/4.仮面をかぶった独裁政党SED/5.最高権力者を送り込め/6.ホーネッカーの野望/7.友好の裏に潜む猜疑心/8.日本企業への工作と西独の介入/9.水面下での訪日準備
第7章 財界人を活用せよ――絡め取られる日本企業 1.独占資本との同床異夢/2.国家プロジェクトへの参加/3.膨らむ貿易赤字、破綻した経済
第8章 暗躍する産業スパイ――ココム違反への誘惑 1. 標的になった日本/2.商業調整部という犯罪組織/3.罠にはまった東芝、見返りは大型商談/4.繰り返された不正/5.会社ぐるみの技術支援/6.工作員ロンネベルガーの逮捕と対日工作の停滞
第9章 崩壊への道程――もう一つの東芝ココム事件 1.64Kおよび256KDRAMの技術移転/2. かりそめの成功/3.破綻した計画と証拠隠滅/4.NEC、シャープ、三菱電機、JVCとの接触/5.秘密警察の手先となった欧亜通機 〈コラム1〉 産業スパイの総司令官を日本に招いた自民党衆院議員・佐藤一郎
第10章 ホーネッカー訪日――無謀なる野望の終焉 1.ホーネッカーの初訪日、東独外交の勝利/2.「東側陣営の代表」に酔いしれた東独/3.「戦略的パートナー」に格上げされた日本/4.暗転した対日政策――ロン・ヤス時代の溝/5.外交攻勢に転じた日本、「ソ連との仲介役」への期待/6.最後のあがき 〈コラム2〉 東独と北方領土問題
第11章 文化政策の虚実――そして、何が遺ったのか 1. 日本公演という名のプロパガンダ/2.メディア工作の実態/3.落日の東独、音楽家の亡命ルートとなった日本 〈コラム3〉 国家保安省特務将校ヘルマン・へーバーと対日政策
エピローグ 冷戦とは何か、過ちを繰り返さないために あとがき 解題に代えて(ベルリン大学教授 クラウス・シュレーダー)
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