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目次
占領期ラジオ放送と「マイクの開放」
A5判/上製/544頁
初版年月日:2022/02/28
ISBN:
978-4-7664-2802-5
 
(4-7664-2802-1)
Cコード:C3021
税込価格:4,620円
占領期ラジオ放送と「マイクの開放」
支配を生む声、人間を生む肉声

目次

はじめに
  1 支配のなかで共鳴を生むラジオ――本書の問題意識  
  2 「マイクの開放」を問い、〈声〉に〈肉声〉を聴く――本書の目的と分析視点 
  3 声をことばから探究する――本書の理論的・方法論的枠組み  
  4 占領期ラジオ放送がもつ可能性――本書の特色  
  5 時を超え流れだす数多の声――本書の構成

 第一部 マイクに拾われた声を聴きなおす

第一章 占領期ラジオ放送の批判的談話研究──理論と方法
  1 ラジオに関する先行研究  
  2 批判的談話研究(CDS)とは何か
  3 ディスコースの歴史的アプローチ(DHA)とは何か  
  4 支配の〈声〉に抗う〈肉声〉を聴くために

第二章 「マイクの開放」からみるラジオ史──本放送開始から占領開始まで(1925〜1945年)
  1 いきものへの「マイクの開放」  
  2 ラジオドラマへの「マイクの開放」  
  3 臣民への「マイクの開放」  
  4 天皇への「マイクの開放」  
  5 占領下の「マイクの開放」  
  6 CIEと情報番組
  7 日本人意識変革のためのキャンペーン
  8 ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムと民衆の声  
  9 CIEとPPBによる指導・統制  
  10 戦後ラジオ放送への戸惑いと非難

 第二部 支配を生む〈声〉

第三章 「真実」が進軍を始める〈声〉――『真相はこうだ』(1945年12月)
  1 『真相はこうだ』とは何か  
  2 分析手法と、分析する放送内容  
  3 太郎と文筆家の役割  
  4 太郎と文筆家の関係性  
  5 聴取者の位置付け  
  6 太平洋戦争史観の提示  
  7 日本占領をめぐるメッセージ  
  8 占領初期における「真相」・「真実」の意味  
  9 聴取者の反応

第四章 「我々」の戦争責任を問う〈声〉――『真相箱』(1946年5〜7月)
  1 『真相箱』とは何か  
  2 分析する投書の一覧  
  3 黙りこむ/口を開く天皇  
  4 ラジオが伝えた「人間宣言」  
  5 平和を祈る天皇/戦争に突き進む「我々」  
  6 東京裁判への準備としての『真相箱』
  7 天皇免責から国民有責へ  
  8 聴取者の反応  

第五章 親米民主化を「面白く」する〈声〉――『質問箱』(1946年12月)
  1 『質問箱』とは何か 
  2 分析する投書の一覧  
  3 模範的国民としての司会者  
  4 常識を共有する〈模範的日本人の共同体〉  
  5 物語としてのウォー・ギルト  
  6 為政者の物語としてのウォー・ギルト  
  7 勝利熱に燃えていた日本  
  8 忘れてはならないアメリカの歴史  
  9 長期戦の終局に目をむけない軍閥・日本軍将兵・国民  
  10 戦争にかりたてられた過去/平和を選択できる今日  
  11 『情報玉手箱』としての『質問箱』  
  12 聴取者の反応  
  13 スポットアナウンスがつなぐ『質問箱』と『街頭録音』

 第三部 人間を生む〈肉声〉

第六章 CIEとNHKが集める『街頭録音』の〈声〉――「民主化ショー」から「生々しい社会番組」へ
  1 「マイクの開放」の矛盾 
  2 アメリカの「マン・オン・ザ・ストリート」 
  3 自由を管理するCIE
  4 自由を演出するNHK  
  5 銀座から全国を旅した「民主化ショー」  
  6 CIEが見過ごしたマンネリズム  
  7 NHKが追求した「生々しい社会番組」  
  8 CIEとNHKの複雑な関係
  9 隠されたマイク

第七章 大衆を露わにする〈肉声〉、あるいは民衆を消す〈声〉――涙する投書と太宰治「家庭の幸福」
  1 『街頭録音』への感銘の謎  
  2 声を上げるべき真の大衆  
  3 大衆を顕現させる「マイクの差しだし」  
  4 お説教を嫌う〈血の交う人間の共同体〉  
  5 「家庭の幸福」で描かれた『街頭録音』 
  6 廻る支配下に置かれた民衆の涙  
  7 「マイクの差しだし」、あるいは「マイクによる分断」

第八章 「人間」を廻り合わせる〈肉声〉――「ガード下の娘たち」(1947年4月)と田村泰次郎「女狩りの夜」
  1 戦後史の記録の誤引用  
  2 警めの〈声〉のストーリー
  3 有楽町ガード下に集う〈占領下共同体〉 
  4 娘たちの温かみと希望  
  5 パンパンの肉体が秘めた人間性  
  6 「女狩りの夜」で描かれた「ケダモノ」、あるいは「レデイ」  
  7 人間を再生させる〈肉声〉
  8 「マイクによる邂逅」  

終章 占領期ラジオ放送と「マイクの開放」──からっぽのラジオの向こう側へ
  1 後付けの紐帯と人間――日米合作による天皇免責のシナリオ  
  2 天皇から主権を託された国民――直接・間接参加の〈声〉による日本再建  
  3 方便としてのウォー・ギルト――親米民主的国民づくりをする『真相はこうだ』『真相箱』
  『質問箱』の〈声〉  
  4 「どうして」を問う「マイクの開放」――自助・共助の社会づくりをする『街頭録音』の〈声〉  
  5 耳障りな〈声〉の割れ――為政者結託の痕跡をことばからあぶりだす  
  6 紐帯を結いなおす人間の〈肉声〉――有楽町ガード下という「胎内くぐり」からの再生  
  7 メディアの〈声〉に〈肉声〉を聴く――「未来について考える批判」の実践  
  8 《私の現在》に響いてくる《日本の過去》――本書の限界と今後の展望  
  9 ガード下の娘・後日談――〈肉/声〉を聴く、それから  


あとがき
参考・引用文献一覧
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