帝国大学の朝鮮人
大韓民国エリートの起源

日本語版序文 はじめに プロローグ──玄海灘を渡った青年たち 植民地留学生の苦悩、志士か出世か?/植民地(人)/帝国(エリート)の間の分裂/帝国大 学朝鮮人留学生の集団伝記
第1章 帝国大学──近代日本のエリート育成装置 ヨーロッパ(ドイツ)の大学を翻案する/法学部エリートが支配する国/新人会、あるいは抵抗 と転向の精神構造/帝国大学とノーベル賞、そして講座制
第2章 京都帝大の朝鮮人学生、帝国の事業家になる 大阪工団に魅了された植民地の少年/民族企業家か、帝国の反逆者か/帝国大学という社 会資本/「京城紡織奨学生」と階級再生産
第3章 帝国大学に留学した朝鮮人たち 日本「内地」の帝国大学を選んだ理由/帝国大学朝鮮人留学生の規模/帝国大学の玄関口、 旧制高校/帝国大学の学生は特権階級?
第4章 官費留学と帝国の奨学金 貧しい帝大生/日本帝国の官費留学生/官費留学生は親日派か?/人間的な厚意と帝国の 利益のあいだ/自疆会はなぜ朝鮮人学生を支援したのか?/自疆会の奨学金をもらった留学 生
第5章 寮生活──帝国エリートのアイデンティティを育む 大学予科としての旧制高校/寮という特殊な共同体/バンカラ/ストーム/デカンショ節/旧 制高校生の読書/帝国大学の入試/勉強と娯楽と恋愛
第6章 帝国大学の教授たち 帝国大学のキャンパスの風景と教授たち/吉野作造と金雨英/河合栄治郎と李東華/河上 肇と延禧専門学校・普成専門学校の商科/藤浪鑑と尹日善
第7章 総督府の特権層となって帰ってきた朝鮮人たち 帝国大学の朝鮮人留学生の進路/植民地版の科挙、高等文官試験/行政官僚たちの弁 明/司法官僚たちの弁明/高秉國、あるいは例外的人間/植民地官僚たちの解放以降
第8章 植民地人、科学技術を通じて帝国の主体を夢見る 科学者と祖国/植民地版「文科ですみません(ムンソンハムニダ)」/差別を克服する「科学」フ ァンタジー/植民地文学が描いた科学技術者/京都帝大の二人の朝鮮人教授/科学者の選 択──道徳と合理のあいだ/李升基の科学は道徳的か?
第9章 帝国の知で帝国に抵抗した人々 星になった青年、宋夢奎/「熊」と呼ばれた闘士、朴英出/劉亨植、帝大出身の小市民の肖 像/親日派の父と左翼の息子/学生運動の大学生から総督府警察に/マルクス主義者か らピンク映画ブローカーに
第10章 女人禁制の領域、帝国大学に進学した朝鮮人女性たち 帝国大学に登場した女子学生たち/辛義卿、帝大初の朝鮮人女子留学生/趙賢景、九州帝 大最初の女子留学生/金三純、最初の女性農学博士/梨花女子専門学校と帝国大学/申 眞順、北朝鮮の文学芸術を動かした帝大生
第11章 植民地人たちの帝国大学同窓会 連合学友会から帝国大学同窓会に/関東大震災と一九二〇年代の京都学友会/『学潮』と一 九二〇年代の帝大留学生の認識/『同窓会報』と植民地後期の帝大生の認識/植民地留学 生会から帝国の地方郷友会に
第12章 帝国大学の留学生は解放後に何をしたか 大韓民国臨時政府と「行政研究委員会」/帝国大学法学部と制憲憲法/「四捨五入改憲」と 帝大出身者/権力と知識人、二人の同窓のそれぞれの処世/閔ェ植と高校平準化/帝国 大学と「文学」の社会的地位
第13章 大韓民国の知の再編を主導する 帝大出身者と解放後の教育・学術/植民地の清算と「国大案」騒動/「教授自治」の理想と虚 像/日本の知からアメリカの知に/「朝鮮学」から「韓国学」に
第14章 北朝鮮の知の制度を確立した帝国大学の卒業生 金日成総合大学の創設/「愛国米」と「人民の大学」/帝大出身者が金日成総合大学に行っ た理由/日本の知からソ連の知に/崔應錫の医療システム
エピローグ──「帝国大学留学」の歴史化のために
原注
訳者あとがき 付録 東京帝国大学・京都帝国大学朝鮮人学生名簿 人名索引
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