「難民」をどう捉えるか
難民・強制移動研究の理論と方法
はしがき
序 章 難民・強制移動研究とは何か――分野と現状(小泉康一) はじめに 1 現代世界の逃亡と庇護 2 強制移動を形成する主要なテーマ おわりに
第T部 難民・強制移動研究を捉える視座と分析枠組み 第1章 難民・強制移動研究の理論と方法(小泉康一) はじめに 1 研究の目的と範囲 2 用語・概念と分類 3 学際的な中範囲の理論をめざして 4 学際研究――さまざまな学問分野からのアプローチ 5 研究の方法 6 研究と倫理 おわりに 第2章 難民と人道主義――歴史的視点からのアプローチ(上野友也) はじめに 1 人道とは何か 2 第二次世界大戦と戦後処理 3 冷戦と植民地解放 4 冷戦終結後の現代 5 難民支援の意味 おわりに
第U部 移動のダイナミクス――発生要因とプロセス 第3章 紛争・政治対立と移動のダイナミクス――移民/難民の主体的な移動先選択(錦田愛子) はじめに 1 多様化する「紛争」難民の現状 2 移民政策と移動の過程についての先行研究 3 移動の動機を探る――質的・量的研究の併用アプローチ 4 なぜ、そこへ移動するのか――アラブ系移民/難民の移動の選好 5 結論 おわりに
第4章 環境および開発と難民・強制移動――開発事業に伴う立ち退きと生活再建(浜本篤史) はじめに 1 強制移動としてのダム建設による立ち退き問題 2 代表的な研究枠組みとモデル 3 中国の経験をどう見るか おわりに――当事者の視点と隣接領域との接合
第5章 ジェンダーと難民・強制移動――抜け落ちる難民女性への視点(中村文子) はじめに 1 難民危機の時代と難民女性の現状 2 難民女性の被迫害要因 3 国際社会の対応と課題 おわりに
第V部 法制度と政策――国家の管理と国際組織 第6章 法・政治理論と強制移動――難民保護と国際法・制度の現在(池田丈佑) はじめに 1 救う側の論理(1) 2 救う側の論理(2) 3 救われる側の論理 おわりに
第7章 国際協調と国際機関――難民レジームの展開と新たな負担分担の模索(佐藤滋之) はじめに 1 難民に関する国際協調はなぜ必要か 2 難民問題に関する国際協調の萌芽 3 第二次世界大戦後の難民レジームの成立 4 UNHCRに見る国際協調を形作る「力」 5 「規範」の形成とレジームの変容 6 難民保護の新しいアプローチと「利益」のダイナミズム おわりに――国際協調と負担分担の未来
第8章 無国籍とは何か――削減条約の現代的課題における作用(新垣修) はじめに 1 無国籍者と無国籍削減条約 2 人間の新しいつくり方――国際代理出産と無国籍 3 国籍剥奪と無国籍 4 消えゆく島嶼国家と無国籍 おわりに
第W部 難民の生活と社会――定住と共生、再構築への道 第9章 国内移動と国際移動(杉木明子) はじめに 1 難民の移動と移動モデル 2 国内移動 3 国際移動 おわりに
第10章 新たな人生に向き合う――難民の暮らしとメンタルヘルス(森谷康文) はじめに 1 トラウマとは何か 2 「一般化されたトラウマ」の採用――オーストラリアの政策と定住支援 3 難民のトラウマとどのように向き合うのか――オーストラリアの定住支援を通して おわりに 第11章 メディアの機能と影響――治安と安全保障、彼らは負担か資源か(藤巻秀樹) はじめに 1 メディアから見た難民 2 報道を変えた難民政策 3 新聞の社説に見る難民 おわりに
第12章 定住と社会統合――アイデンティティの再確立(小泉康一) はじめに 1 定住の目的と内容 2 定住を支える制度的枠組み 3 統合――用語と要因 4 統合――難民の社会編入 おわりに
第X部 地域研究――事例分析と研究手法、課題の発掘 第13章 ダルフール紛争における国内避難民支援と遊牧民(堀江正伸) はじめに 1 遊牧民の置かれた状況 2 ダルフール紛争と人道支援 3 IDPと遊牧民 4 新しいモルニでの生活手段 5 外部者による再分類 6 国際機関のめざす解決策 おわりに
第14章 トルコにおけるシリア難民の受け入れ――庇護、定住・帰化、帰還をめぐる難民政策の特質と課題(伊藤寛了) はじめに 1 先行研究と分析手順 2 トルコにおける難民政策の史的展開 3 一時保護体制下のシリア難民支援と実状 4 人道主義に優先される実利主義 おわりに
第15章 「脱北」元日本人妻の日本再定住(宮塚寿美子) はじめに 1 帰国事業と日本再定住の脱北者 2 日本人妻をめぐる研究動向 3 日本人妻の北朝鮮での生活 4 日朝関係の推移と日本人妻の日本再定住 おわりに
索引 執筆者紹介
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