日中終戦と戦後アジアへの展望

『日中戦争の国際共同研究』(第6巻)に寄せて
総論 日中終戦と戦後アジアへの展望 編者
第1部 日中終戦と戦後構想
第1章 太平洋戦争末期における日本の対中和平構想 戸部良一 はじめに 一 重慶「政治」工作 二 小磯内閣の対中和平案 三 南京政権への「信義」 おわりに
第2章 戦争末期の日中戦争と日ソ関係 ――「日中ソ」提携構想をめぐって 波多野澄雄 はじめに 一 国共関係の変化と対ソ政策 二 重光外相と「容共」問題 三 日中ソ提携構想 四 もう1つの和平論 五 広田・マリク会談と日中ソ提携構想 おわりに
第3章 韓国臨時政府の本国帰還問題に対する中国国民政府の対応 ――終戦前後における東北アジア国際秩序再構築の一側面 裴京漢(丸田孝志訳) はじめに 一 戦争終結前の国民政府の対韓国政策構想 二 戦後韓国臨時政府の本国帰還問題と国民政府の立場 おわりに
第4章 国共内戦下の戦後日中提携 ――支那派遣軍と国民政府 加藤聖文 はじめに 一 ポツダム宣言受諾と「対支処理要綱」 二 支那派遣軍と国民政府の接近 三 日本人の留用と送還 おわりに
第5章 台湾における日本人墓地および遺骨の処理問題 浜井和史 はじめに 一 復員・引揚げ時における遺骨処理 二 戦後における日本人墓地および遺骨の状況と日本政府の対応 三 日本人墓地および遺骨をめぐる日台交渉とその帰結 おわりに 第2部 中国の変動
第6章 戦後中国における憲政への移行と警管区制 吉見 崇 はじめに 一 警管区制と自由・憲政 二 上海市警察局が主張する警管区制 三 アメリカ型の警察制度としての警管区制 四 警管区制をめぐる対立のゆくえ おわりに
第7章 戦後中国の税政と工商同業公会 ――上海の貨物税制度を素材に 金子 肇 はじめに 一 戦後上海の貨物税制度――1946年「貨物税条例」を対象に 二 貨物税稽徴業務と工商同業公会の反発 おわりに
第8章 1940−50年代の中国経済と日中関係 久保 亨 はじめに 一 大戦終結前後の中国経済と日中経済関係――1940年代 二 1950年代の貿易構造と対外依存症 三 対外依存症克服の努力――1940−50年代 四 1950年代の日中経済関係 おわりに
第9章 国民党政権と南京・重慶『中央日報』 ――戦時から戦後にかけての自立化傾向 中村元哉 はじめに 一 制度と政策から見た南京・重慶『中央日報』 二 ジャーナリズム学と南京・重慶『中央日報』の人事 三 国民党政権と南京・重慶『中央日報』社論 四 『中央日報』の経営自立化への道程 おわりに
第10章 リベラル派知識人の国際情勢観 ――1945年前後を中心に 水羽信男 はじめに 一 国際情勢認識(1)――政治的な側面 二 国際情勢認識(2)――思想的な観点から おわりに
第11章 錯綜する願い ――国民政府教育部に寄せられた学生の手紙から アーロン・W ・ムーア(李仁哲訳) はじめに 一 若者の動員と国民党の革命的伝統 二 中断された生活――教育部への陳情 おわりに――浪費された資源と失われた青春
第3部 東南アジアの変動
第12章 戦争・民族・国家 ――抗戦前後における雲南土司の苦境と選択:1942−1952 呉啓訥(藤井元博訳) はじめに 一 苦境と伝統のつながり 二 保家、保族のための抗戦参加 三 切迫した危機の消失と旧来の苦境の再来 ――国民政府および土司の選択と妥協 四 新たな主人との対面 ――人民共和国成立期における歴史的慣性と最終的な転換 おわりに
第13章 重慶国民政府のビルマ国境政策と軍事占領 1942−1945 藤井元博 はじめに 一 ビルマ反攻以前における重慶政府の国境問題意識 二 民族問題への波及 三 土司をめぐる中英間の対立 四 再占領と管轄権をめぐる議論 五 イギリス植民地側から見た国境問題 おわりに
第14章 日中終戦前後の国民政府と東南アジア ――重慶当局の戦後ラオスに対する構想および実践を中心に 王文隆(柳英武訳) はじめに 一 三・九クーデタ(仏印処理)前の中華民国とラオスの関係 二 中泰回廊開拓の構想 三 三・九クーデタ(仏印処理)より占領降伏まで おわりに
特論 南京大虐殺と難民の宗教生活 張連紅(土肥歩訳) はじめに 一 南京大虐殺時期のキリスト教コミュニティ 二 難民収容所における宗教活動 三 難民のキリスト教認識の変化 四 宗教の違いを超えて おわりに
あとがき 波多野澄雄・久保亨・中村元哉 編者・執筆者紹介/訳者紹介 索引
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