意志薄弱の文学史
日本現代文学の起源
序 章 「曖昧未了」から「意志薄弱」まで
第一部
第一章 運動する写生 ―― 正岡子規と映画の論理 一 「起源」としての一八九六年 二 活動写真の時代 三 「写生」の二面性 四 「活動」の原理 五 「曖昧未了」の美学 ―― 余韻から運動へ 六 写生的認識とモンタージュ 七 夢の〈推移〉の理論へ
第二章 催眠、あるいは脳貧血の系譜 ―― 夏目漱石から志賀直哉へ 一 催眠術言説の成立 二 漱石文学と催眠現象 ―― 〈夢見〉る心地 三 「さびしさ」という方法 ―― 国木田独歩の感化 四 志賀直哉の「さびしさ」へ 五 悲喜劇の構造 ―― 「鳥尾の病気」論 六 病と熱情のサロメ ―― シンボリズムとしての神経衰弱 七 脳貧血の美学 ―― 文学による「心の自由」を求めて 八 「風流」論へ 第三章 〈気づき〉の神秘主義 ―― 内田百閧ニ夢小説 一 「気づく」ことのテーマ性 二 既視のメカニズム 三 漱石という端緒 四 媒介項としての志賀直哉 五 「崇高」と「美」のはざまに 六 「ぼんやり」から「はっきり」へ ―― 「冥途」論 七 佐藤春夫「西班牙犬の家」の夢空間 八 照応する「城の崎にて」 ―― 夢の軌道 九 「新感覚」の先へ
第二部
第四章 発声映画(トーキー)の時代 ―― 横光利一の〈四次元小説〉論 一 昭和文学への転換 ―― 「新感覚」のパラダイム 二 〈超‐現実〉の心理 ―― 「曖昧」の「朦朧」からの脱離 三 トーキーの思想圏 ―― 発声という革命 四 矛盾的同一体としてのトーキー 五 有声を支える四次元 六 小説の「連絡体」としての四次元 七 偶然性と倫理 ―― プロトタイプとしての『寝園』 八 「純粋小説」における恋愛の意味 九 「懐疑」と「会議」 ―― 『家族会議』における〈幸福〉への決意
第五章 一九六三年の分脈 ―― 大江健三郎と川端康成 一 「曖昧」から「あいまい」への受け渡し 二 サルトルの「想像力」 三 「空の怪物アグイー」論 ―― 空の夢、あるいは映画の空 四 川端康成の何が「あいまい」なのか 五 虚無を解消する方法 ―― 「片腕」論 六 「あいまい」の行方
終 章 「意志」をめぐる攻防
あとがき 文献一覧 人名索引
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