東アジア生産ネットワークと経済統合

序文 木村福成
第T部 生産ネットワークの安定性・頑健性
第1章 世界金融危機と生産ネットワーク 大久保敏弘 1 はじめに 2 アジアにおけるフラグメンテーションの進展と経済危機 2.1 フラグメンテーションに関する研究動向 2.2 サバイバル分析と国際貿易 3 本分析のデータ 4 退出と再参入 ―― 「退出・再参入ダイアグラム」 4.1 退出と再参入の確率 4.2 「退出・再参入ダイアグラム」 5 サバイバル分析 5.1 Kaplan-Meier推定 5.2 Cox比例ハザードモデル 6 推計結果 6.1 退出 6.2 再参入 7 さらなる分析 ―― 新規参入 8 まとめ ―― アジアのフラグメンテーションと中間財・部品貿易
第2章 3つの危機と生産ネットワークの頑健性 安藤光代 1 はじめに 2 2つの危機と日本の輸出動向 3 2つの危機に直面した生産ネットワークの特徴 3.1 輸出額の変化とその要因分解 3.2 機械輸出の下落と回復の確率 3.3 機械輸出の復活の確率とそのタイミング 4 タイでの大洪水と日本企業の対応 5 おわりに
第U部 生産ネットワークの新展開
第3章 東アジアの生産ネットワーク 安藤光代 ―― 域内での深化と域外との結びつき 1 はじめに 2 東アジア域内での深化 3 北米の生産ネットワークとのリンク 4 欧州の生産ネットワークとのリンク 5 おわりに 補論 電気電子産業と輸送機器産業の特性
第4章 生産ネットワークと生産性・雇用 松浦寿幸 ―― 海外直接投資の企業データによる分析 1 はじめに 2 海外直接投資の影響の概念整理 2.1 海外直接投資のインパクトの概念整理 2.2 これまでの海外直接投資に関する実証研究 3 分析の枠組み 3.1 因果関係の特定について 3.2 分析の手順 4 データ 5 推計結果 5.1 単純比較 5.2 マッチングによる分析 5.2.1 傾向スコアの推計 5.2.2 DID推計量 6 おわりに
第5章 海外直接投資概念の再整理 大久保敏弘 ―― 新しいFDIの分析手法と概念:「ネットワークFDI」 1 はじめに 2 直接投資の分類 ―― 伝統的な2分類から多様な分類へ 2.1 実証研究の進展 ―― 多様な分類と新たな分析の視点 2.2 理論研究の進展 ―― 「第3国」の存在 3 「販売・調達ボックス・ダイアグラム」 3.1 1つの事例 ―― FDIと開発戦略 4 日本企業の海外子会社による販売と調達 ―― データ分析 4.1 日本の海外直接投資 4.2 販売・調達のパターン ―― 現地子会社の貿易パターン 4.3 産業の特性 4.4 進出先の国の特性 5 3国以上での販売・調達パターン 5.1 機械産業と「ネットワークFDI」 5.2 アジアと欧州における電子機械産業のFDI 5.3 米国における電子機械産業のFDI ―― 特異なパターン 5.4 自動車産業のFDI 6 「ネットワークFDI」と「販売・調達ボックス・ダイアグラム」の拡張と応用 6.1 研究のアイデア 6.2 応用例 6.2.1 『通商白書2012』 6.2.2 清田(2015) 7 おわりに 第V部 生産ネットワークと経済統合
第6章 自由貿易協定の利用 早川和伸 1 はじめに 2 自由貿易協定の概形 3 関税スキーム選択 3.1 基本設定 3.2 関税スキーム選択と特恵利用率 4 実証研究の整理 4.1 特恵利用状況 4.2 特恵利用に与える影響に関する実証研究 4.2.1 特恵マージン、原産地規則、企業規模の影響 4.2.2 特恵利用のための固定費用の計測 4.2.3 特恵利用率に影響を与える、その他の要因 4.2.4 スパゲティ・ボウル現象に関する分析 5 今後の研究の方向性 補論 第3節のモデルにおける導出
第7章 生産ネットワークとメガFTAs 木村福成 1 GVCsと生産ネットワーク 2 生産ネットワークを中心に据えた開発戦略 2.1 GVCsとティア構造 2.2 ティア3:GVCsへの接続 2.3 ティア2:生産ネットワークへの参加 2.4 ティア1a:産業集積の形成 2.5 ティア1b:イノヴェーション・ハブの創出 2.6 他地域への応用可能性 3 ASEAN経済統合 3.1 独自の経済統合モデル 3.2 モノの貿易 3.2.1 関税撤廃 3.2.2 原産地規則・貿易円滑化・非関税障壁など 3.3 その他の自由化努力 3.3.1 サービス貿易 3.3.2 熟練労働者の移動 3.3.3 投資 3.3.4 資本・金融 3.3.5 グローバル・サプライ・チェーンへの参加 3.4 開発アジェンダ 4 RCEPとTPP 4.1 第4の柱とRCEP 4.2 TPPのインパクト 5 おわりに
あとがき 索引 執筆者紹介
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