ジャーナリズムの国籍
途上国におけるメディアの公共性を問う

序 ジャーナリズムの国籍 山本信人 1. 本書の狙い/2. 本書の構成/ 3. 本書の成り立ち
第T部 ジャーナリズムと民主主義
1 フィリピン ―― 権利擁護とフォトジャーナリズム ヴァイオレット・B・ヴァルデス はじめに ―― 民主主義の確立に向けたPSMの役割 / 1. 報道の自由2.0プロジェクト ―― パートナーシップの構築 / 2. フィリピン・プロジェクト / 3. 研究枠組み / 4. 研究の構想 / 5. 分析結果 ―― 確固たる自己認識 / 6. 疎遠な関係
2 台湾 ―― オルタナティヴ・ジャーナリズムの展開 劉昌コ はじめに / 1. 台湾におけるオルタナティヴ・ジャーナリズムの歴史 / 2. 市民 / 独 立系レポーターの労働条件とその戦略 / 3. 独立系メディアの財政状況と組織的な戦 略 / 4. 結論 ―― 限定的な生産分野の形成過程
3 香港 ―― 「萎縮」するメディアと「闘う」メディア 山田賢一 はじめに / 1. 香港メディアの歴史と現状 / 2. 香港メディアの“動揺”を示す諸事件(2 011〜12年) / 3. 深刻化の一途をたどる主要メディア(2013年以降) / 4. 「代替機 能」への期待高まるネットメディア / 5. ネットメディアへの関係者の評価 / おわりに
4 エジプト ―― 2つの革命と公共テレビ報道 ディナ・ファルーク・アブ・ゼイド はじめに / 1. エジプトの公共テレビ / 2. ERTUの規定 / 3. 情報担当相 / 4. 2011年のエ ジプト革命 / 5. 2013年のエジプト革命 / 6. 調査 / 7. 2011年の革命 / 8. 2011年の革命 以降 / 9. ムルシー大統領の時代 / 10. 2013年の革命の間 / おわりに
COLUMN アジアのメディア状況(山田賢一)
第U部 ジャーナリズムと統制
5 モロッコ ―― 国家主導による公共サービス放送 ブージアン・ザイド はじめに / 1. モロッコ放送業界の政治経済 / 2. 方法論 / 3. 1997年以前の政治状況 およびメディア環境 / 4. 1997年以後の競争的権威主義とメディア環境 / 5. 憲法 / 6. プレス・コード / 7. 視聴覚通信最高評議会(HACA) / 8. 視聴覚通信法 / 9. 放送 ―― 政治的論争のための不公平な土俵 / 10. コンテンツと編集の独立性 / おわり に ―― 競争的権威主義の罠
6 ナイジェリア ―― メディアの透明性と情報公開請求 バルキス・サイドゥ はじめに / 1. データ収集の方法と資料について / 2. 理論的枠組み / 3. 先行研究 / 4. ナイジェリアにおけるPSMの経緯 / 5. 情報公開請求・報道の自由 vs 検閲 / 6. PS Mと社会的「不文律」 / おわりに
7 メキシコ ―― 民主化のための報道 ホセ・アントニオ・ブランビラ はじめに / 1. 独裁時代から現在までのメキシコ・メディア / 2. 現代メキシコにおけ る調査報道に課せられた制約 / おわりに
8 マレーシア ―― 放送メディアの限界と展望 ロスリナ・アブドゥル・ラティフ はじめに / 1. 公共サービス放送 / 2. 先行研究 / 3. マレーシアの状況 ―― 歴史的 背景 / 4. マレーシアの放送業界 ―― メディアの多元化と編集の独立性について / 5. データ分析の結果 ―― 慣習、準則、代理 / 6. ニュースルームの将来と政策の破壊 力/おわりに
COLUMN アフリカの放送メディア事情(田中孝宜) COLUMN 中南米のメディア状況(斉藤正幸)
第V部 メディアの越境的展開 9 トルコとヨーロッパ ―― クルド語公共放送「TRT6」の誕生:トルコの挑戦と限界 阿部るり はじめに / 1. トルコにおけるクルド問題 / 2. クルド問題とメディア / 3. クルド系衛 星放送とヨーロッパのクルド系ディアスポラ / 4. トルコにおけるクルド語放送と「民 主化」 / 5. クルド語放送をめぐる諸問題 / おわりに
10 トルコ ―― 公共メディアとパブリック・ディプロマシー ディルルバ・チャタルバシュ・ユルペル はじめに / 1. トルコにおける公共放送の歴史とTRTの制度的限界 / 2. 「トルコが飛 躍する時代」というオザルのビジョンとTRT / 3. 「新生トルコ」というAKPのビジョン とTRT / おわりに
COLUMN 多様化する中東・イスラーム世界のメディア(阿部るり)
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