数理経済学の源流と展開

序文
第1部 効用理論と意思決定
第1章 効用理論の学説史 ―― ParetoとSamuelsonについての覚書(須田伸一) 第1節 はじめに 第2節 Paretoと積分可能性問題 第3節 Samuelsonと顕示選好理論 第4節 おわりに
第2章 効用理論の新展開(細矢裕誉) 第1節 はじめに 第2節 効用理論の論点 1 どんな好みならば効用で表せるのか 2 どうやって実際に効用を測るのか 3 効用理論は妥当か否か 4 効用は比較できるか否か 第3節 積分可能性について 1 古典的な結果 2 Hurwicz-Uzawa理論 3 筆者の結果 4 もうひとつの方向性 第4節 効用理論の未来
第3章 曖昧さとシグナリング・ゲーム(尾崎裕之) 第1節 はじめに 第2節 曖昧さを伴う不完全情報展開形ゲーム 1 フレームワーク 2 均衡概念の拡張 第3節 曖昧さを伴うシグナリング・ゲーム 1 モデル 2 逐次均衡 3 一括均衡 4 分離均衡 5 Cho-Krepsによる均衡選択 第4節 おわりに
第2部 社会数学の伝統と経済理論の潮流
第4章 「社会数学」の学統と数理経済学の誕生(武藤功) 第1節 はじめに 第2節 数理経済学への批判 第3節 Condorcet の「社会数学」の構想 第4節 Cournot の方法論 1 大量現象としての規則性 2 集計による円滑化効果 第5節 Cournot からWalras へ 第6節 おわりに 第5章 自由貿易均衡と不等価交換(金子創) 第1節 はじめに 第2節 準備および問題の概観 1 Perron-Frobenius定理 2 国際的不等価交換論 第3節 代替的なHeckscher-Ohlin モデル 1 経済 2 均衡 第4節 不等価交換としての労働搾取 1 搾取の定式化 2 搾取を伴う均衡の存在と特徴付け 第5節 おわりに
第6章 社会的選択理論の基礎(佐藤伸) 第1節 はじめに 第2節 記法と定義 第3節 定理 1 Arrowの定理 2 Senの定理 3 Gibbard-Satterthwaiteの定理 第4節 証明 1 Arrowの定理の証明 2 Senの定理の証明 3 Gibbard-Satterthwaiteの定理の証明 第5節 無関連対象からの独立性 1 正当化 2 限定反応性 第6節 耐戦略性 1 耐戦略性に特有の事情 2 小さな嘘 第7節 おわりに
第7章 価格決定・資源配分機構としてのオークションの理論(花薗誠) 第1節 はじめに 第2節 オークションモデルの設定と類型 第3節 対称独立私的価値のモデル 1 封印一位価格入札 2 封印二位価格入札 3 期待収入等価(Revenue Equivalence) 4 表明原理と期待収入等価定理 5 リスク回避的な入札者 第4節 調達入札とスコアリングオークション 1 スコアリングオークションの考え方 2 準線形の評価ツール 3 価格性能比による評価ルール 4 その他のケース 第5節 おわりに
第8章 協力ゲームにおけるNTU値の公理論的関係(虞朝聞) 第1節 はじめに 第2節 準備 1 数学的記法 2 NTUゲーム 3 NTU値 第3節 結果 1 公理 2 NTU値の特徴付け 3 公理の独立性 第4節 おわりに
第9章 がん保険の数理(友寄一郎) 第1節 はじめに 1 がん保険商品の現状 2 がん統計の現状 第2節 がん保険商品の分類 1 タイプ1(1回払い継続) 2 タイプ2(1回払い消滅) 3 タイプ3(複数再発払い) 4 タイプ4(複数継続払い) 第3節 モデルの導入 第4節 数理モデル 1 マルコフモデルの基礎 2 がん保険のタイプ別基礎率 第5節 モデルの実装 1 がん有病率の導出 2 死力の導出 3 回復力の導出 4 がん罹患力の導出 5 支払インターバルの修正 6 マスター方程式の数値解 第6節 おわりに
第10章 一様大数法則とその応用について(田中久稔) 第1節 はじめに 第2節 一様大数法則と計量経済学 第3節 Glivenko-Cantelli の定理 第4節 対称化・鎖状化・集中不等式 1 準備 2 補題 3 定理4の証明 第5節 具体例 1 リプシッツ連続函数族 2 単調函数族 3 ノンパラメトリック回帰 4 多変数単調族 5 線形指数族 第6節 おわりに
第3部 動学と均衡理論の潮流
第11章 順序集合上の不動点定理と動的計画法(八尾政行) 第1節 はじめに 第2節 不動点定理 1 位相空間の不動点定理 2 距離空間の不動点定理 3 順序集合の不動点定理 第3節 経済学における動的最適化問題と動的計画法 1 例:1部門成長モデル 2 モデル 3 ベルマン作用素の不動点 第4節 おわりに
第12章 貨幣的資産価格モデルと経済変動理論(加藤寛之) 第1節 はじめに 第2節 結果の概観 第3節 モデル 第4節 分析 第5節 おわりに 第6節 数学付録
第13章 公債発行ルールとマクロ経済動学(盛本圭一) 第1節 はじめに 第2節 公債発行ルールの理論研究 1 経緯と比較 2 先行研究のまとめ 第3節 公債発行ルールの数理分析 1 Morimoto et al.(2013)のモデル 2 Morimoto et al.(2013)の結果 3 成長モデルにおける財政政策と数理解析 第4節 今後の課題と展望 1 数量評価 2 公債発行ルールの理論的基礎付け 第5節 おわりに
索引
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