現代中国政治研究ハンドブック

序文(高橋伸夫)
総論(高橋伸夫) はじめに ―― 日本の中国政治研究が置かれている状況について T 近年における日本の中国政治研究の諸傾向 U われわれの認識装置をいかに組替えるか V 本書の狙い
第T部 政治体系の環境を形づくる要素
第1章 政治文化の役割(高橋伸夫) はじめに ―― 政治文化の概念 T 政治文化へのアプローチ 1 解釈学的アプローチと実証主義的アプローチ / 2 政治文化の概念をめぐる批判 U これまでの研究 ―― 中国の政治文化の特徴をめぐって 1 解釈学的研究の代表例 ―― L・パイとR・ソロモン / 2 日本人による解釈学的研究 / 3 実証主義的研究の代表例 ―― A・ネイサンと閔g V 中国の政治文化の変化と持続 ―― グローバリゼ―ションのなかで おわりに ―― 中国の政治文化研究の展望
第2章 中国政治に対する外部からの影響 ―― グローバリゼーションと現代中国(江藤名保子) はじめに T アプローチ ―― 中国政治の主体性と受動性をめぐって 1 二つの対立的なアプローチ / 2 戦後中国研究のパラダイム転換 / 3 現状に対するアプローチと新しい課題 U 現状と課題 ―― グローバリゼーションと中国の政治体系 1 グローバリゼーションの理論的考察と中国 / 2 中国の政治経済とグローバリゼーション / 3 外部からの民主化圧力と中国の政治体系 おわりに
第U部 権力機構
第3章 中国共産党と中国政治(小嶋華津子・加茂具樹) はじめに ―― 政治体系と中国共産党 T 中国共産党への視座 U 中国共産党の政治的機能に関する先行研究 ―― イデオロギーと組織 1 イデオロギー工作 / 2 組織工作 V 巨大利権ネットワークと化した中国共産党とその将来 1 非制度的側面の把握 / 2 共産党統治の強靱性を測る基準 おわりに ―― 中国共産党研究の展望
第4章 人民解放軍の役割(毛利亜樹) はじめに T 研究へのアプローチ 1 中国の軍事、安全保障研究の誕生 / 2 主要な分析枠組 U これまでの研究 1 軍事専門化と政治統制の葛藤 / 2 解放軍の政治行動 / 3 改革開放時代の政治と軍事 / 4 天安門事件(1989年) V 現状と展望 ―― ポストケ小平時代の政軍関係 1 制度による軍隊統制と軍の官僚化 / 2 軍隊の国家化? / 3 軍事と外交の調整 おわりに
第V部 政治体系への「入力」に関わる要素
第5章 政治参加(中岡まり) はじめに ―― 「政治参加」とは何か? T 現代中国の政治参加へのアプローチ U これまでの研究 1 1950〜60年代 ―― 全体主義モデルからの脱却 / 2 1970〜80年代 ―― 「政治参加」の定義拡大から研究対象の拡大へ / 3 1980年代以降 ―― 民主化を促進するのか V 研究の現状と課題 1 米中における研究の相違 / 2 研究の現状 ―― 民主化の可能性と権威主義体制の維持の間で おわりに ―― 研究の課題と展望 1 研究の課題 / 2 中国の政治参加の展望
第6章 中国政治と「市民社会」(小嶋華津子) はじめに T 政治学における市民社会論の復活 U 市民社会研究史 ―― 民主化の萌芽を求めて 1 市場経済化と市民社会の発展 / 2 自律的市民社会による民主化への期待と挫折 V 中国の現実に即した市民社会理解の試み 1 「分析的市民社会論」と実態の量的把握 / 2 規範的市民社会論からの脱却と多面的・多層的実態の質的把握 おわりに ―― 日本からの発信:市民社会研究の展望
第W部 政治体系からの「出力」に関わる要素
第7章 政策決定と政策過程(加茂具樹) はじめに T 研究の射程 U 研究の現状 1 政策決定機構の研究 / 2 分断化された権威主義 / 3 「強靱性」という概念 / 4 偽装された民主制度 / 5 二つの強靱性 おわりに
第8章 中央・地方関係(磯部 靖) はじめに T 中央・地方関係へのアプローチ 1 主要概念 / 2 アプローチ U これまでの研究 1 毛沢東時代の中央・地方関係をめぐって / 2 ケ小平時代の中央・地方関係をめぐって / 3 ポストケ小平時代の中央・地方関係をめぐって / 4 研究の現段階 おわりに 第9章 国民統合(田島英一) はじめに ―― 本章の関心 T これまでの研究 1 原初主義的な試み ―― 中国国内の研究から / 2 再構築される中国アイデンティティ ―― 天安門事件と冷戦崩壊後の議論 / 3 大衆ナショナリズムの顕在化 ―― コソボ紛争と海南島事件後の議論 / 4 少数民族問題 ―― 諸民族集団のエスノ・ナショナリズムと民族政策 おわりに
第10章 社会の統制(金野 純) はじめに ―― 社会統制へのアプローチ T これまでの研究@ ―― 抑圧的統制 1 毛沢東時代の社会統制論 ―― 中国社会主義モデルからのアプローチ / 2 近代化理論から見た逸脱と統制 ―― J・リュウらの共同研究 / 3 社会統制の組織分析 ―― X・グオ U これまでの研究A ―― 情報統制 1 毛沢東時代のメディア統制 ―― 全体主義モデルからのアプローチ / 2 メディア統制への相互作用論的アプローチ ―― S・シャーク / 3 インターネット革命とオンライン・アクティビズム ―― G・ヤンの多元相関論 / 4 「応対性のある権威主義体制」 ―― D・ストックマン おわりに ―― 研究の課題と展望
第X部 政治体系の変化
第11章 民主化の可能性(高橋伸夫) はじめに T 概念とアプローチ 1 構造的アプローチ / 2 主意主義的アプローチ / 3 状況的アプローチ U 既存の研究 1 「下からの」民主化のポテンシャルに関する兆候発見主義的文献群 / 2 中国における権威主義体制の「強靱性」について論じた文献群 V 民主化への展望はいかに開けるか 1 不安定化しつつある均衡状態 / 2 均衡の崩壊と民主化の可能性 おわりに
補遺 欧米の研究者による中国政治研究 ―― 道具箱のなかのあらゆる道具を使用する?(メラニー・マニオン/上野正弥訳) はじめに T 利用可能な方法論的ツール U 実際に使用されている方法論的ツール V 2013年に発表された三つの優れた研究 おわりに
人名索引・事項索引
|