ネットワーク・メディアの経済学

はじめに
第1章 ネットワーク・メディア産業の実態と特徴 1 メディア産業の現状 1−1 放送サービスの分類 1−2 各放送サービスの状況 (1) 地上波民間放送 (2) ケーブルテレビ (3) 衛星放送 (4) 公共放送―― NHK (5) 番組制作市場 1−3 市場環境の変化と放送法改正 (1) 放送規制の根拠と内容 (2) 2011年放送法改正とその背景 1−4 関連市場の動向 (1) 広告市場 (2) 新聞 (3) 出版(雑誌・書籍) (4) コンテンツおよびサービス (5) 受像機・端末市場 2 ネットワーク・メディアの特徴 2−1 経済的特徴 (1) ネットワーク効果 (2) 価値財 (3) 経験財 (4) 市場の多面性 (5) 需要の2面性 (6) 互換性 (7) 規模の経済性および範囲の経済性 (8) スイッチング・コスト (9) 即時消費性 (10) 非排除性と非競合性 (11) ソフトとハード・インフラの補完性 2−2 ネットワーク技術の変化による影響 (1) 無線化の影響―― アクセス手段の多様化と競争進展 (2) IP化の影響―― ネットワークの共有・共用の促進 (3) 共有と競争の両立 2−3 ネットワーク・メディアと民主主義・倫理 (1) メディアと民主主義 (2) メディアと倫理
第2章 等量消費性 1 情報財の等量消費性 2 独占供給の場合 2−1 消費者の効用が同一の場合 2−2 効用の異なる消費者が存在する場合 2−3 価格差別が可能な場合 2−4 価格差別が不可能な場合 2−5 消費者規模の効果 3 複数の供給主体が存在する場合 4 情報の非対称性 5 情報の複製と移転(フリーライド) 6 一律負担と強制加入 7 有料放送市場における競争 7−1 先行研究 7−2 市場支配力仮説と効率性仮説 7−3 実証 7−4 推計結果の含意 8 ケーブルテレビと衛星放送の差別化要因 8−1 分析の方針 8−2 推計結果 9 価格差別と均一価格 9−1 設定 9−2 地域別料金の場合 9−3 一律料金の場合 9−4 料金設定が異なる場合 9−5 価格戦略と余剰の分配 10 小括
第3章 補完性 1 情報財と補完財 2 補完性とネットワーク効果 3 補完財の結合供給 3−1 設定 3−2 社会厚生の最大化条件 3−3 補完財を含む等量消費財の供給 3−4 補完財の分離供給 4 補完財供給の一般的なケース 4−1 価格決定の場合 4−2 数量決定の場合 4−3 分離供給と結合供給の比較 5 新技術の導入と補完財の連携 5−1 デジタルテレビ普及に関する先行研究 5−2 デジタル化と受信端末の購入選択 5−3 受信端末の購入とネットワーク効果 5−4 設定 5−5 データ 5−6 推計結果 6 補完性とプラットフォーム 7 プラットフォームの戦略 7−1 バンドリング戦略 7−2 ロックイン戦略 7−3 ウインドウ戦略 8 プラットフォーム競争 8−1 設定 8−2 加入者数の決定 8−3 価格の決定 8−4 情報財の共有 8−5 対称制約下の均衡 8−6 情報財の共有インセンティブ 8−7 情報財共有の互恵性 9 多様性選好パラメータの推計 9−1 放送サービスに対する効用 9−2 設定 9−3 推計結果 10 小括
第4章 市場の多面性 1 多面市場 2 広告に対する効用 3 多面市場下での価格戦略 3−1 独占モデル 3−2 復占モデル 3−3 収入方式と差別化 4 多面市場における市場支配力 4−1 広告放送の利潤 4−2 利潤と集中度 4−3 実証モデル 4−4 分析データ 4−5 推計結果 4−6 多面市場と市場集中度 5 収入方式と差別化 5−1 広告収入型と有料収入型の行動 5−2 広告放送の差別化戦略 5−3 有料放送の差別化戦略 5−4 放送事業者の差別化に関する先行研究 5−5 差別化と視聴行動 6 小括
第5章 メディア需要者の行動 1 メディア利用の実態 2 情報の受け手に対する影響 2−1 メディアの存在と人々の行動 2−2 メディア報道と政治行動 2−3 メディア報道と株式市場 2−4 テレビ報道と利用者行動
第6章 メディア市場の制度設計 1 通信・放送の融合と規制制度 1−1 国境のないテレビ指令 1−2 2002年電子通信規制パッケージと放送分野 (1) 放送サービス提供の認証と放送目的のための周波数利用 (2) マスト・キャリー(Must-Carry)責務 (3) ネットワークと関連設備へのアクセス 1−3 国境のない視聴覚メディアサービス指令 (1) 広告規制の緩和 (2) 発信国主義の維持 (3) 視聴覚メディアサービス提供者にかかる透明性確保義務 2 メディア集中排除原則―― ドイツの事例 2−1 ドイツにおけるメディア監督制度 2−2 競争当局によるメディア規制 2−3 ケーブルテレビ市場における競争当局の判断 (1) リバティ・メディア社の地域ケーブル会社買収差し止め (2) KDGの他ケーブル事業者買収案撤回 (3) KDGによるOrionの一部買収認可 3 公共放送の扱い 3−1 EUにおける公共放送の扱い 3−2 イギリスの公共放送 3−3 ドイツの公共放送 3−4 フランスの公共放送
第7章 公共放送 1 放送における「市場の失敗」 1−1 公共財 1−2 不完全競争 (1) 独占的競争 (2) 空間的競争 (3) 番組重複の問題 (4) 公共放送の存在と不完全競争 1−3 外部効果、価値財、不確実性 2 多様な番組の供給と無料広告放送・有料放送 2−1 Spence and Owen(1977)のモデル分析 2−2 Peitz and Valletti(2008)のモデル分析 (1) 2面市場の分配上の特性 (2) 基礎モデル (3) 有料放送 (4) 無料広告放送 (5) 広告量と番組の多様性 2−3 Armstrong(2005)のモデル分析 3 公共放送の存在と民間放送事業者間の競争 3−1 モデル 3−2 民間放送事業者間の競争 3−3 公共放送が存在する場合 3−4 公共放送の存在が民間放送事業者に与える効果 4 品質維持の政策 4−1 モデル 4−2 品質に関連づけた料金制度の可能性
初出一覧 参考文献 索引 執筆者紹介
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